カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2021年3月10日 (水)

時空棋士

著者:新井政彦

 奨励会三段の棋士中島遼平が、時空を超えて幕末にタイムスリップしてしまう。彼は茶屋で仕事をしながらも、将棋の真剣師と対戦して連戦連勝を続け、とうとう伝説の棋士・天野宗歩の若かりし時代の天野留次郎と対局することになる。というなんとなく想像できそうなタイムスリップストーリーであるが、そのテーマが将棋だというところが斬新なのである。

 江戸の町並みや風俗に関しては、かなり丁寧に調査した跡がみられ、読みやすいし、きよとの淡い恋もなかなか楽しめる。ただ棋譜とその解説の部分が異常に長く、将棋を知らない読者は完全に置いてけぼり状態。将棋を良く知っている私も、最初のうちは棋譜とその解説部分を丁寧に読んでいたものの、だんだん面倒臭くなり棋譜部分はカットして読むようになってしまったくらいだ。
 
 この棋譜部分が特徴と言えばそれまでだが、本作は将棋本では無いのだから、棋譜部分はもっと簡略化したほうが良かったのでは無いだろうか。そのあたりの考え方は過去に大ヒットしたマンガの『ヒカルの碁』を参考にされたい。
 またすぐ天野宗歩を登場させるのではなく、もう少しストーリーに幅を持たせた方が良かったのではないだろうか。さらにラストにどんでん返しや、過去との繋がりを示唆するような何かを用意しなかったのも味気なかったね。

評:蔵研人

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2021年2月20日 (土)

プリズム

著者:貫井徳郎

 小学校の女性教師殺人事件がテーマになっているミステリーである。殺害されたのは美貌の新人教師山浦美津子で、凶器は彼女の家にあったアンティーク時計。従ってこの時計が落下した不運な事故とも考えられるが、窓がガラス切りで外されたうえ、睡眠薬入りのチョコレートが発見されてしまい、他殺の線が濃くなってきたのである。

 本作は1.虚飾の仮面 2.仮面の裏側 3.裏側の感情 4.感情の虚飾 の4部構成となっており、第一部は被害者の教え子である小宮山真司ほか4名の小学生が探偵役を務め、被害者の同僚で恋敵の桜井先生が犯人だと結論付ける。
 ところが第2部では、その桜井先生が探偵役となり、犯人捜しをするのである。なんだ彼女は犯人ではなかったのか。そして何人かの怪しい人物が浮かび上がるが、結局は元恋人で医師の井筒が犯人と断定する。

 第3部に突入するが、井筒は犯人ではなく、今度は井筒が新犯人捜しの探偵役となる。そしてやっとたどり着いたのが、冒頭で探偵役をこなした小宮山真司の父親で、被害者の不倫相手だった。やっとこれで決着し、第1部に結局ループしてゆくのかな…。
 と思いきや、第4部ではその小宮山が探偵役となって、またまた犯人捜しをはじめるのだ。それでは一体誰が犯人なのだろうか。そして小宮山が行き着いた結論は、余りにも恐ろしい結論であった…。

 だが結局のところ犯人は想像だけの存在であり、含みを残しながらも曖昧なまま終劇となってしまう。どうもこれらのストーリー形式は、英国のミステリー作家アントニイ・バークリーが1929年に著した『毒入りチョコレート事件』を参考にしたようだ。
 結局本作は犯人捜しのミステリーを装いながら、被害者山浦美津子の多面性をじっくりと描くことが主眼だったのだろうか。彼女は生徒たちの視点からは、はつらつとして子供たちの立場で考えてくれる信頼できる存在だが、恋敵の同僚の視点は自由奔放で身勝手な女に映っている。
 また元恋人にとっては、女王様のような我儘な存在なのだが、忘れられない魅力的な存在でもあった。ところが年長の不倫相手には、孤独な女性に映ったようである。

 その不倫相手の小宮山から見た美津子については、次のような記述がある。
 美津子は私が思っているような女性ではなかった。堅すぎず、かといって軽薄にはならず、適度に抑制があり、適度に奔放だった。
 美津子のお喋りは、手綱を解き放たれた駿馬のようにあちこちに飛んだ。音楽や絵画鑑賞など趣味の話かと思えば、若い女性らしくファッションや食事の話になる。そしてそこから派生していきなり哲学を論じたかと思えば、なぜか医学用語にも精通していたりする。私にとってそれは、目まぐるしく姿を変える万華鏡か、あるいは様々な光を乱舞させるプリズムのようだった。話をすればするほど、私の目に彼女は謎めいて映じた。

 これでタイトルの『プリズム』の意味が理解できたはずである。とにかくこうした異色作品も読めるのだから、ミステリーの奥深さをつくづく感じてしまった。

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2021年2月14日 (日)

こどもしょくどう

著者:ひろはたえりこ

 映画『こどもしょくどう』の完全ノベライズである。
 車の中で寝泊まりし、行方不明の親を待ち続ける少女姉妹たち。そんな二人に、おずおずと手を差し伸べる少年。豊かに見える日本社会のひずみを受け、満足に食事をとることのできない子どもたちもいるのである。

 大きな文字でかつ138頁の児童向け書籍なので、遅読の私でも1時間足らずで読破してしまった。映画のほうは観ていないが、近いうちに是非レンタルしてみたい。

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2021年2月 7日 (日)

飛ぶ夢をしばらく見ない

著者:山田太一

 奇妙なタイトルだが、「空を飛ぶ夢」というのは、青春真っ最中と言うことで、男女二人で飛ぶ場合は恋愛かつセックスの比喩だというらしい。ということで、本書の中身もエロチックで奇妙な展開が続くのだろう。

 田浦が初めて病院で逢ったときの睦子は67歳の老女だったのだが、なんと退院後は逢うたびに若返ってゆく。2度目に逢ったときは40代の女盛り、3度目は20代半ばの美女、4度目は悪戯っぽい18歳位の少女、そして最後は5歳の幼女として田浦の前に現れるのである。
 まさに女性版『ベンジャミンバトン』なのだが、本作の方が先に発表されているのでパクリではない。ただ『ベンジャミンバトン』の下敷きになったのが、1922年に書かれたF・スコット・フィッツジェラルドによる短編小説なので、そちらを参考にしたかどうかは著者に聞かないと分からない。

 36年前の作品なのだが、全く色褪せていない。本作の主人公田浦修司は、建設会社の営業部次長で妻子のある働き盛りの男性である。ただどうした弾みで精神を病んだのかは説明されていないが、寿司屋の二階から飛び降りて骨折して入院する。そしてそこで自殺未遂で骨折した睦子という謎の女と遭遇するのであるが、エロチックでかつ謎めいた序段はなかなか秀逸であった。

 本作は時間を逆行して生きる女性がヒロインなので、ある種のタイムトラベルファンタジーとも考えられるのだが、かなりきわどい性描写が多いのでエロ小説の趣も備えている。またある意味で、異常世界と精神異常と狂気の漂う純文学と言えなくもないし、当時50歳だった著者の「初老人の恋愛願望」かもしれない。
 いずれにせよ、最初から最後まで目の離せない興味深い小説であることは間違いないだろう。ただ拳銃を携えて映画館で強盗事件を起こす下りは、全く必然性もなく馴染めなかった。またラストも予想の範囲内で、特に目を見張る展開がなかったのも味気なかったね。
 さて余談であるが、本作は1990年に細川俊之、石田えり主演で映画化されているようなので、機会があればそちらも鑑賞してみたいものである。

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2021年1月31日 (日)

1日10分のしあわせ

 NHK国際放送が選んだ日本の名作シリーズで、いくつかの短編をまとめた文庫本である。いまのところ本作のほかに『1日10分のごほうび』と『1日10分のぜいたく』の三冊が出版されていて、シリーズ累計で25万部を突破しているという。
 本書はわずか167頁の薄い本の中に、10作の短編が詰め込まれているため、1作平均約17頁という超短編集であり、まさに1日1作読めば10分程度で読み切ってしまうだろう。作者は8名で以下のような構成になっている。

 朝井リョウ 『清水課長の二重線』
 石田衣良  『旅する本』
 小川洋子  『愛されすぎた白鳥』
 角田光代  『鍋セット』
 坂木司   『迷子』、『物件案内』
 重松清   『バスに乗って』
 東直子   『マッサージ』、『日記』
 宮下奈都  『アンデスの声』

 全て駄作はなく、皆しっかりと読書を楽しむことはできたが、その中でも特に味わい深かった作品は以下の通りである。もちろん私自身の独断であり趣味の問題なので、決して他の作品がつまらないというわけではないので念のため。

 『鍋セット』、『迷子』、『バスに乗って』、『マッサージ』、『アンデスの声』で、いずれも家族愛がいろいろな角度から描かれており、読了後には、じんわりとしたような感動に包まれてしまった。

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2021年1月24日 (日)

AX アックス

著者:伊坂幸太郎

 
 本作は『グラスホッパー』『マリアビートル』に続く『殺し屋』シリーズの最新作。本作では妻と息子の三人暮らしをしている殺し屋「兜」が主人公である。彼は超一流の殺し屋なのだが、表向きは文房具メーカーのベテラン営業マンだ。また家では極端な恐妻家で妻には頭が上がらず、息子には優しく物分かりのよい父親を演じている。そして息子の克巳が生まれた頃から、殺し屋から足を洗いたいと考え続けていた。だが殺人仲介役の医師が、なかなかそれを許してくれないのである。

 タイトルの『AX』とは、その名の通り『斧』を意味し、兜と克巳の会話の中で登場する「蟷螂の斧」という慣用句を援用している。つまり力のないものが、自分の実力を超えた強い者に立ち向かうことを例えているのだ。またその具体的な意味は、最終章で明らかにされるだろう。
 本書は殺し屋が主人公なのだが、殺しのシーンというような非日常ではなく、日常生活をメインに描いているところが面白いのだ。ことに自分が殺し屋だとは知らない家族に対する気の配りようが、涙ぐましいほど細部にわたり描かれているところが実に魅力的なのである。

 本書の構成は『AX』『BEE』『Crayon』『EXIT』という独立した短編と、10年後の克巳視点で全てを総括した『FINE』でまとめられている。もちろん独立した4作の短編も面白いのだが、やはり一番長い最終章の『FINE』が謎の解明とともに、実に感動的な展開で読者の心を掴んで離さないだろう。

 また本作は本屋大賞にノミネートされたり、静岡書店大賞を受賞し、2020年上半期のベストセラーを達成、さらに冒頭で述べた『殺し屋』シリーズでは、累計265万部を突破しているという。とにかく思わず「面白く読ませてもらってありがとう」という気分になってしまう一冊であることは間違いないだろう。できれば未読の『殺し屋』シリーズも読んでみたいものである。

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2021年1月 8日 (金)

敵の名は、宮本武蔵

著者:木下昌輝

 武蔵と戦い敗れ去った剣豪たちは数多い。本書は彼等の視点から見て、宮本武蔵の実像を語っているところがユニークである。345頁の長編であるが、読み易く天下無双の面白さのためか、あっという間に読破してしまった。

 著者の木下昌輝氏は、ハウスメーカーから脱サラしてフリーライターとなり、2012年に『宇喜多の捨て嫁』でオール読物新人賞を受賞している。また同作は直木賞候補になり、その他数々の文学賞も受賞している。
 さらに本書『敵の名は、宮本武蔵』でも、直木賞・山本周五郎賞・山田風太郎賞の候補作になっているという。

 本書は7つの話に分割されているのだが、決して時系列順ではないところが、本書のミソとなっている。まず鹿島新当流免許皆伝の有馬喜兵衛が、13歳の少年武蔵と戦うことになった経緯に始まる。
 そして第2章は、牛馬同然に売買され蔑まれていたシシド(吉川英治の小説では宍戸梅軒)が、鎖鎌の達人として山賊の頭領になり、武蔵により成敗されるまでの儚く悲しい物語となる。

 さらに第3章では4代目吉岡憲法こと吉岡源左衛門が、武蔵との試合を通して「憲法染」と呼ばれる黒褐色の染物を発明し、家伝の一つである染物業に専念するまでを描いている。このあたりは吉川文学には登場しないが、こちらの成り行きのほうが史実らしい。そして武蔵も憲法との戦いを経て、剛力だけだった剣に優しさを匂わせるようになるのである。

 その後武蔵は神道夢想流杖術の流祖である夢想権之助や、自身の弟子である幸坂甚太郎との戦いを経て、巌流津田小次郎との試合へと導かれてゆく。なお吉川文学の佐々木小次郎は架空の人物であり、古文書によると巌流島での決闘相手は、津田小次郎という年老いた剣士のようだ。本書は史実に沿って巌流津田小次郎として、架空の物語を創りあげているところが面白いのである。

 さて本書がさらに俄然面白くなるのはこの辺りからである。まず巌流津田小次郎の出自というか、その悲運に満ちた生涯に心が痛む。そして武蔵の父・無二のさらに悲しき生き方に遭遇し、ここではじめて本当は彼が裏の主人公であることを確信する。
 これだけでも、嫌というほど面白いのだが、このあたりで今まで少しずつ疑問に感じていた部分が、時間を遡って順次完全解明されてゆくのだ。まさにこれはミステリー小説の収束技法だと言っても良いだろう。それにしても、緻密に調査した事実をベースにしながら、これだけの嘘(創作)を捻り出した著者の力量は計り知れない。

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2020年12月31日 (木)

時間エージェント

著者:小松左京

 私が読んだのはポプラ文庫の『小松左京セレクション2』に収録されたもので、タイトルの作品以外に四次元トイレ、辺境の寝床、米金闘争、なまぬるい国へやって来たスパイ、売主婦禁止法、愛の空間の6作も併録されていた。
 『時間エージェント』は時間管理局の取締り話を面白おかしく描いた連作で、全8話構成で約220頁を占めている。また本収録7作品の中では、唯一のタイムトラベル小説だった。

 本作が書かれたのは1965年だし、発表誌が平凡パンチということを考えると仕方がないのだが、読みやすいのは良いのだが、バカバカしくて単調で底が浅い小説だったのは期待外れであった。小説より漫画のような作品なのだが、なんと1979年にあのルパン三世のモンキー・パンチによって漫画化されているではないか。この漫画は未読だが、表紙を見る限りエロっぽさも含めてピッタシカンカンかもしれないね。

 さて本書に収録されている『時間エージェント』以外の6作の短編についても、すべてが軽くてエロっぽいドタバタ作品で占められており、アイデアとしては面白いのだが、私が期待しているものではなかったのが残念であった。

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2020年12月27日 (日)

時間は存在しない

著者:カルロ・ロヴェッリ 翻訳:冨永星

 下記のような丁寧な構成になっていて、読み易いのだが、読めば読むほど難解になってきて、ほぼギブアップ状況のまま無理矢理完読してしまったかもしれない。

もっとも大きな謎、それはおそらく時間
第一部 時間の崩壊
 第1章 所変われば時間も変わる
 第2章 時間には方向がない
 第3章 「現在」の終わり
 第4章 時間と事物は切り離せない
 第5章 時間の最小単位
第二部 時間のない世界
 第6章 この世界は、物ではなく出来事でできている
 第7章 語法がうまく合っていない
 第8章 関係としての力学
第三部 時間の源へ
 第9章 時とは無知なり
 第10章 視点
 第11章 特殊性から生じるもの
 第12章 マドレーヌの香り
 第13章 時の起源
眠りの姉
日本語版解説
訳者あとがき
原注

 著者はイタリア生まれの理論物理学者で、現在はフランスのエクス=マルセイユ大学の理論物理学研究室で量子重力理論の研究チームを率いている。
 本書では、「時間はいつでもどこでも同じように経過するわけではなく、過去から未来へと流れるわけでもない」という驚くべき考察を展開している。だがそれにもかかわらず、私たちが時間が存在するように感じるのはなぜなのか。
 その答えを物理学ではなく、哲学や脳科学などの知見を援用しながら論じているところがユニークである。だがその辺りが本書を難解にしている源なのかもしれない。

評:蔵研人

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2020年12月21日 (月)

トキオカシ

著者:萩原麻里

 富士見ミステリーのライトノベルである。タイムトラベルものということで購入したのだが、どうも著者の作風と波長が合わないようだ。駄作とまでは言わないが、こんな軽い小説をなかなか消化できず、かなりまごまごしてしまった。そして昨日やっと読み終わったのだが、特に感動もなければ充実感も湧いてこない。

 序盤は学園ラブストーリー風の展開だったのだが、中盤に明治時代にタイムスリップしたあたりから、急におどろおどろしい雰囲気に包まれて萬葉集まで飛び出してくる。さて「時置師」と書いてトキオカシと読むそうだが、彼等一族は永遠に若返りが止まらないため、他人の記憶を食らうことによって、一時的に若返りを阻止して現状を保持しているという。

 トキオカシたちの目的は何なのか、そしてどんな活躍をするのだろうか。と目を皿のように読み進めたのだが、トキオカシの超人的能力は何も発動されないし、主人公は相変わらず弱々しくて、誰の力にもなれないのだ。
 また登場人物や舞台などもかなり限定的で、スケール感も乏しくストーリーも単調である。そして退屈感ばかりが充満してのめり込めないまま、いつのまにか終劇となってしまったのである。なんだこりゃあ!。


 せめてタイムスリップしてきた意味くらいは解明されてもよいのだが、思わせぶりな説明はあるのだが、なにかスッキリとしない。かなり中途半端な気分のまま、本書を閉じることになってしまったのである。
 さてよくよく調べてみると、本作にはまだ続編があるようなのだ。その続編は「カタリ・カタリ トキオカシ(2)」なのだが、もう読む気はしないな…。

評:蔵研人

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