カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2021年10月26日 (火)

拝啓、十年後の君へ。

著者:天沢夏月

 10年後に掘り起こすと約束し、小学生のころに埋めたタイムカプセルが今開かれる。幼い頃のひらがなばかりの文字と正直で純真な文面が懐かしい。だがそこには懐かしさだけではなく、現実の悩みとリンクする心の叫びが染みついていた。
 本書はタイムトラベル小説ではないが、タイムカプセルが「止まっていた心の時間を動かした」と考えれば、ある種のタイムトラベルなのかもしれない。

 さてタイムカプセルに詰まっていた少年少女の熱い思いを、10年後の彼らはどう受け止めるのだろうか。それが6人の悩める高校生たちの運命を変えてゆくパワーを生み出すことになるのだろうか。そしてその主役の6人については、それぞれにパートが独立していて、彼らが抱える特殊事情や心理状況が鮮明に描かれているところが嬉しいね。

 ひきこもりの少年少女、自分の意志をはっきりと伝えられない少女、自分の進むべき道を見つけられない少年などが主役である。そして青春時代の葛藤が巧みに綴られてゆく。だからこそ、若い読者たちはかなり共感できるのだろう。さらにはオープニングの「浅井千尋の章」と、ラストの「矢神耀の章」が、実に見事に繋がってゆくではないか。
 また暗い主人公が多いのだが、全般的に優しい世界観に包まれており、最後は皆前向きでハッピーに包まれるので安心して読めるだろう。天沢夏月作品は何冊か読んでいるが、本作の出来が一番かもしれない。
 

評:蔵研人

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2021年10月21日 (木)

シャイニングガール

著:ローレン・ビュークス
訳:木村浩美

 時間を超越できる古い家。そこをねぐらにして、様々な時代で猟奇的な殺人を続ける精神異常の殺人鬼。そんな触れ込みのタイムトラベル・サイコサスペンスである。

 アイデアとしてはなかなか斬新なのだが、10頁以内の短いスペースで、前後して時間が入れ替わり、次々に若い女性たちが無残に殺されてゆく。またその殺害の様子が酷過ぎる。ナイフで腹を裂かれて腸を引っ張り出されて、死体をグルグル巻きにするといった具合なのだ。そして殺害の動機もはっきりしない。まさにサイコ野郎そのものなのだ。

 そして足が悪いのにも関わらず、この殺人鬼の強いこと強いこと、拳銃で撃っても1~2発では死なないし、もの凄い腕力と異常な精神力に支えられている。これではまるでジェイソンやターミネーターではないか。

 まあそれはそれで許すとしても、余りにも内容が薄いため読みにくく、何度も投げ出しそうになった。少なくとも500頁近くある長編なのだから、もう少し登場人物の心理状態などを詳細に描いて欲しかったね。とにかく残酷描写とアクションの連続ばかりなので、小説より映画向きなのかもしれない。

 とは言っても、ラストを除いてハラハラドキドキ感も余り湧かなかったし、肝心のタイムトラベルがらみの面白さも皆無だったのは非常に期待外れだったね。かなり無駄に時間を消費してしまったような気がする。あー疲れた。

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2021年10月15日 (金)

君に出会えた4%の奇跡

著者:広瀬未衣

 恋人と婚約した灯里が、京都の実家で高校時代に書いた若草色の日記を見つけた。だがそこに書いてあるべきある人の名前が空欄になっている。また物置で探した手作りの小さな提灯には、薄っすらと「コウ」と書かれた跡があった。

 物語の大部分は、そのコウなる謎の人物が現れる満月の4日間の出来事に終始する。その4日間の青みがかった月をブルームーンと呼び、過去へ行けるという奇跡が起こるという。
 まさに少女漫画をそのまま小説にしたような恋愛ファンタジー小説である。ただ理想の男性像のようなコウ君は、なんだか無機質の幽霊みたいで物足りないし、ストーリーにも全く幅が感じられない。また最終章の種明かしにも、余り工夫がなかったのが残念である。

 京都の古い街並みや観光地の情景描写が、なかなか幻想的で美しく綴られているので、女子学生たちには楽しめるかもしれない。だが人間描写やストーリーの奥行きが薄いため、大人たちが読んでも、まず感情移入することはあり得ないだろう。

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2021年10月 7日 (木)

時間を止めてみたんだが

著者:藤崎翔

 著者の藤崎翔はお笑い芸人だったが、6年間活動した後にお笑いコンビを解消。その後バイトをしながら小説を執筆し、様々な文学賞に応募を続ける。そして4年後の2014年にはじめて書いた長編ミステリー『神様の裏の顔』で第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞して小説家デビューを果たす。 という苦労人タイプの小説家である。

 本作は勉強嫌いでおっちょこちょいな笹森陽太と、学力抜群の相沢がコンビを組んで犯人探しをする学園ミステリーである。そしてストーリーは笹森の「俺」という一人称視点の軽いコミカルタッチで、まるで高校生の日記の如く飾り気なしにテンポ良く進んでゆく。なんとなくお笑いコントネタを小説にした感があるのだ。

 さて主人公の笹森は、勉強も出来ないしスポーツもダメで、気が弱くていつも便利屋としてこき使われているのだが、ある日自分に特殊能力が秘められていることに気付く。その特殊能力とは、なんと「ひょっとこのような変顔をし、息を止めている時だけ時間を止めることが出来る」という信じられない超能力だった。

 ただこんな動作は長続きしないため、時間を止めると言ってもせいぜい30秒くらいだ。だから時間を止めて、誰にもバレないうちに出来ることは殆どなかった。せいぜい女の子の後ろに回って時間を止めて、ちょこっとだけオッパイをもみもみする程度だけだろう。そう考えた笹森はさっそく意中の女子2人に対してもみもみ作戦を開始するのだが・・・。いずれにせよ、時間停止能力がつまらないことばかりに使われていて、もう一捻りが足りないところが非常に残念であった。

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2021年9月28日 (火)

フォルトゥナの瞳 小説

★★★★
著者:百田尚樹

 最近、神木隆之介と有村架純主演の同名映画を観たばかりなのだが、幾つか気になってたシーンがあり、それを確認するためにこの原作小説を読んだ。
 死が近い人の体が透けて見える能力を知った木山慎一郎が、恋人・桐生葵と幸せな人生を送るか、二人の不幸を犠牲にして幼稚園児を含む大勢の命を救うのかの選択に迷い、葛藤してゆく姿を描いてゆく物語である。また言葉を変えて言えば、SF風味を漂わせながら、ミステリアスでヒューマニズムを追求したラブストーリー、という贅沢な小説なのだ。

 慎一郎は、透けて見えた人を救うたびに自分自身の命が蝕まれてゆく。それなのに自分の命と恋人を裏切ってまで「見ず知らずの人を助ける」という気持ちが、私にはどうしても理解出来ない。確かに目の前に死にそうな人がいて、助けられるかもしれないのに、知らんぷりをするのは寝覚めが悪いかもしれない。
 だが本作の中で医者の黒川が言ったように、そんなことをしても誰にも感謝されないし、場合によっては変質者扱いされ、結局自分の命を削ってしまうだけじゃないか。それにある人を助けたとしても、それが殺人犯だとすれば、その反動で別の人が被害に遭うかもしれないのだ。だから簡単に人の運命を変えてはならない。

 またどうしても透ける人を見たくないのなら、外出時は濃いサングラスなどをして他人のことをなるべく見ないようにすれば良いではないか。それなのに慎一郎は外出の都度、キョロキョロし過ぎるし余計な行動が多すぎる。その慎一郎の神経質な心証に、ずっとイライラさせるところが本作の狙いなのかもしれない。だがラストがあれでは、救いどころがなさ過ぎて今ひとつ感動に結びつかないのだ。

 また本書を読むきっかけとなった「映画の中での気になるシーン」だが、かなり映画のほうに脚色があり、原作を読んでも全く解消されなかった。やはり映画には多少荒唐無稽でも見た目の派手さが必要だし、逆に小説のほうは心理描写に力点を置くことになるのであろうか。

 それから余計なことかもしれないが、本作の解説文には呆れてものも言えない。素人が気張りすぎたのかもしれないが、7頁の解説文の中にはほとんど本作の解説はなく、ただ百田氏の作品は全部おもしろいと記しているだけなのだ。
 あとは本書と関係のない私事をパラパラ綴っているだけなのである。この解説文を書いたのは素人なので、ある程度仕方がないとしても、こんな雑文をそのまま解説文として載せた新潮社の編集者の罪は大きいのではないだろうか・・・。

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2021年9月10日 (金)

著者:佐藤正午

 アルファベットの「Y」というタイトルの意味は、人生の分岐点と考えて欲しい。つまりあの日あのとき、もし別の選択をしていたら、現状とは全く異なる人生を歩んだかもしれない、ということで言葉を変えれば「パラレルワールドの世界」ということになる。

 1980年9月6日、井の頭線・渋谷駅のプラットホームで、ある青年がかねてより想いを募らせていた女性を見かけて、同じ車両に乗り込むところからはじまる。そして彼は車内で彼女に声をかけることに成功し、二人して下北沢で降りることになる。だが手違いが重なって、ドアが閉まる直前に、一度ホームに降りた彼女が再び車内に戻ることになってしまう。この電車はそのまま発車し、そして運悪く次の駅の手前で凄惨な事故に遭遇してしまうのである。

 それから18年後の8月に、主人公の秋間文夫は自宅で不審な電話を受ける。声の主は北川健と名乗り秋間の高校時代の親友だと言うのだが、秋間には全く心当たりがなかった。戸惑う秋間だったが、北川の必死な願いを受けて、彼の代理人と名乗る女性から、1枚のフロッピーディスクと巨額の預金通帳を受け取ることになってしまう。そして18年前に井の頭線で起こった大惨事の顛末を知ることになる。

 というような荒唐無稽でミステリアスな時間SFである。そして秋間文夫の現状の生活と、フロッピーディスクに記載されている北川健の過去の話が並行して語られてゆく。なんとこの創作手法もまた、ある意味でパラレルワールドなのであろうか・・・。

 本作は作中でも言及されているとおり、18歳から43歳までの25年間を何度も生き直す男の話を描いた、ケン・グリムウッドの『リプレイ』が下敷きになっている。さらに北村薫の『リセット』、筒井康隆の『時をかける少女』、さらに映画『恋はデジャヴ』などを参考にしているようだ。

 いずれにせよ「あの日あの時、ああすれば良かった」「あの時に戻ってやり直しをしたい」という人間の永遠のテーマを描いたストーリーはかなり魅力的だ。もし私自身が現在の記憶を持ったまま過去の自分に戻れるとしたら、小学生になりたての頃に戻りたい。そして沢山の失敗を正してみたいのである。そしてその結果と現在の自分とを比較してみたいのである。もしかすると失敗ばかりの現在の自分のほうが、幸せなのかもしれないことを確認するために・・・。

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2021年7月 6日 (火)

不思議の扉 時をかける恋

★★★★
編者:大森望

 翻訳家・書評家でとくにSFに造詣の深い大森望氏が選んだ「タイムトラベルロマンス」の短編小説6編が収録されている。その中身を並べると次のようになる。

「美亜へ贈る真珠」著者:梶尾真治
 タイムトラベルロマンスの達人である"カジシン"さんの処女作にしてかつ名作と言って良い作品。航時機という名のタイムマシン、その装置の中と外では時間の流れが異なっている。航時機に乘り込んだ男性を、外から見守るしかない女性のいじらしさと切なさを描いたポエムのような小品だ。

「エアハート嬢の到着」著者:恩田陸
 長編小説『ライオンハート』の中の一節である。時代を超えて何度も出会う恋人同士の話で、ロバート・ネイサンの名作『ジェニーの肖像』の本家取りである。

「Calling You」著者:乙一
 一時間時間のずれた「こころの電話」で知り合う男女の悲しく切ないラブストーリー。『きみにしか聞こえない』といういうタイトルで映画化されている。

「眠り姫」著者:貴子潤一郎
 授業中に居眠りばかりしていた少女が、どんどん睡眠時間が長くなり目覚めるのに数年間もかかるようになるという話。手塚治虫の短編『ガラスの脳』も同じような話だが、本作のほうが後に書かれているので、手塚作品を参考にしたのかもしれない。
 
「浦島さん」著者:太宰治
 太宰の小説なのでSFというよりは、昔話を皮肉とイヤミでくるんだ作品なのだろうか。竜宮との時間差、そして乙姫へのあこがれということで、実験的に本書に掲載したのかもしれない。

「机の中のラブレター」著者:ジャク・フィニイ
 『ゲイルズバーグの春を愛す』の中に納められていた『愛の手紙』福島正実訳を、大森望の新訳にしてタイトルを変更したものである。古い机の引き出しを介して文通をする話で、韓国映画『イルマーレ』が影響を受けているようだ。さていつもながらだが、ジャク・フィニイの作品は、古き良き時代の風景描写が巧みだよね。

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2021年6月25日 (金)

不思議の扉 時間がいっぱい

★★★☆
編者:大森望

 翻訳家・書評家でとくにSFに造詣の深い大森望氏が選んだ「時間テーマ」ものの短編小説7編が収録されている。その中身を並べると次のようになる。

「しゃっくり」著者:筒井康隆
 時間が何度も繰り返すお話なのだが、一人だけではなく全員の記憶が残っているところがユニークである。ただ1966年に発表されたものなので、やや陳腐化してしまった感が否めない。

「戦国バレンタインデー」著者:大槻ケンヂ
 ゴスロリ少女が戦国時代にタイムスリップし、そこで同年代のお姫様と意気投合という軽くてポップなお話である。

「おもひで女」著者:牧野修
 幼い頃の記憶の中に恐ろしい女が立っている。その女は時間の中を少しずつ現在に向かって近づいてくる。といった恐ろしい記憶ホラーの傑作であり、本書の中では一番面白かった。

「エンドレスエイト」著者:谷川流
 本書の中では一番長く、他の短編の2倍以上あるのだが、正直一番退屈であった。内容はタイトルの如く夏休みの8月17日から31日までを1万回以上繰り返す話なのだが、読者にはその感覚が全く伝わらず著者だけの独りよがりな感がある。

「時の渦」著者:星新一
 時間が過去に向かって空転しながら、人間だけを回収するという摩訶不思議なお話。初出は1966年だが、全く古くささを感じない。さすがショートショートの名手である。

「めもあある美術館」著者:大井三重子
 摩訶不思議な美術館での出来事を綴った児童文学の名作。

「ベンジャミン・バトン」著者:フィツジェラルド
 産まれたときは老人で、だんだん若くなり最後は赤ちゃんから無にというベンジャミン・バトンの生涯を駆け足で描いた小説。どちらかと言えば、ブラッド・ピット主演の映画のほうが印象的である。

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2021年6月16日 (水)

誰も書けなかった死後の世界地図

著者:A・ファーニス
翻訳:岩大路邦夫 編者:山口美佐子

 本書は死亡したイタリア貴族フランチェッツォが、死後の世界を現世に伝えようと、A・ファーニスという霊媒に詳しく語った話を基に構成されている。そしてその内容をまとめると次のようになる。

1章 死の「扉」の向こうに何が見える?
 --“死後の世界”に関するソボクな疑問

2章 死んだらあなたはどこへ行く?
 --「死後の世界」の歩きかた

3章 ここまでわかった! 霊界の「しくみ」
 --学校、仕事、人間関係、宗教

4章 フランチェッツォが旅した「地獄」
 --地獄にも“希望の光”は差している

5章 “天国”へ到る道
 --フランチェッツォが教えてくれた「幸福な生きかた」

 そして死後の世界は単純に天国と地獄だけではなく、少なくとも15以上の世界に区分されているという。また死者がどの世界に行くかは生前の自分自身の行動などによって自動的に決められてしまうようだ。さらにそれぞれの世界の風景や暮らし方も、全て自分自身の心が創っているものだというのである。
 なお本作は三部作の1作目であり、以下「地上生活編」と「完結編」が続くのだが、死後世界の概略を知りたいのなら、本書だけで十分かもしれない。

評:蔵研人

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2021年6月12日 (土)

昨日は彼女も恋してた

★★☆
著者:入間人間

 本作には続編があるのだが、続編のタイトル名が『明日も彼女は恋をする』なので、間違ってそちらから読んでしまう人もいるらしい。確かに私自身も危うく間違うところであり、また連作と分かってもどちらが上巻なのか迷ってしまった。
 これを区分するには目次を開いて第1章から始まるのが上巻で、第6章から始まるのが下巻と見分けるしかない。だがそれだと書店で手に取って買わねば分からないではないか。最近の傾向では、ネットで本を買う人が増えているのだから不親切としか言い様がない。読者側に立てば余り気取ったタイトルに拘らないで、素直に同じタイトルにして上巻・下巻と表記して欲しいものである。

 いずれにせよ、本作は著者が明かしている通り、あの名作映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のパロディー小説であり、ドクに該当するのが松平博士で、タイムマシン・デロリアンに相当するのが、オンボロ軽トラという笑える構成になっている。
 ニアのことが大嫌いなマチだが、9年前のあの出来事によってマチが障害者になるまでは大の仲良しだったはず・・・。そしてその9年前に2人でタイムトラベルし、その原因を取り除こうとするお話である。

 上巻ではその原因が一体何だったのか、そしてそれはなぜ起きたかの説明は一切ない。だが何となく取り除いた雰囲気だけを残して、また現代に戻るのだが、大変な事態を巻き起こしているではないか。それでいやでも応でも下巻を買うハメになるのだ。
 それにしても一人称がニアとマチにコロコロ変わり過ぎるので読みづらいことこのうえない。さらにテンポが悪くてクドいので、なかなか先に進まない。もっとテンポが良ければ上下巻に分割する必要もなく、一冊にまとめられたはずである。

 そして下巻になっても、最後までマチが障害者になった原因が分からないのだ。まあ裏袋が代わりに障害者になった経緯が、たぶんマチが障害を負った原因なのだろうと想像するしかない。どうしてそんなにもったいぶるのか理解出来ない。
 さらに下巻ではストーリーが現実離れしてきて、かなり意味不明な展開になってしまう。またそれにとどまらず、ストーリー自体が全く面白くないのだ。かなり期待して本書を手にしただけに、非常に残念な気持ちで一杯である。

評:蔵研人

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