カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2023年1月19日 (木)

将棋の子

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著者:大崎善生
 
 本書は『奨励会』でしのぎを削り、プロ棋士を目指す将棋の天才少年たちの、ノンフィクション劇場である。奨励会とは正式名称を『社団法人日本将棋連盟付属新進棋士奨励会』といい、将棋の天才たちがプロを目指して修行する「虎の穴」だ。
 ただプロとして認められるには、その厳しい「虎の穴」の中で勝ち抜き四段にならなくてはならない。そして四段となれば将棋連盟から給料、対局料などの収入が保障されるが、それまでは何の権利も保証も一切ないのである。つまり三段と四段の差は地獄と天国と言ってもよいだろう。さらに奨励会には、満二十六歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段になれなければ「退会」しなくてはならないという厳しい年齢制限規定があるのだ。
 
 本書の主人公は、著者と同郷の北海道から奨励会入りした成田英二なのだが、中座真、岡崎洋、秋山太郎、関口勝男、米谷和典、加藤昌彦、江越克将など、無事プロ棋士になった者、あるいは途中で奨励会を退会した者たちの悲哀のエピソードも織り交ぜて描かれている。
 著者の大崎も少年時代から将棋が好きで大学時代に四段まで昇段したが、奨励会に入会できるほどの腕はなかった。ただ毎日将棋を指しに来る大崎を見ていた将棋道場の席主の紹介により、大学卒業後の1982年、日本将棋連盟に就職し、将棋道場の手合い係を経て、雑誌編集部に移り、『将棋年鑑』『将棋マガジン』『将棋世界』を手がけ、1991年には『将棋世界』編集長となった。
 
 そんな大崎だから奨励会の少年たちとは親しく付き合ったが、ことに同郷で親しみの持てる成田英二は弟のようにかわいがったようである。その成田は両親の期待と愛情に染まりながら、青春の全てをかけて四段を目指して必死に頑張った。だが残念ながら父を亡くし、母を亡くし、将棋の夢も叶わず泣く泣く奨励会を退会してゆく。そしてその先に待つ、無残で非情な生活に溺れてゆくのだった。
 本書はそんな成田を優しく見守る感動の一冊であり、第23回講談社ノンフィクション賞受賞作でもある。将棋好きな人はもとより、将棋を知らない人たちにもお薦めしたい名作である。
 
評:蔵研人

 

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2023年1月 8日 (日)

ダレカガナカニイル…

著者:井上夢人
 
 話の中身は、タイトル通り自分の中から別の声が聞こえてくるという話である。その声が聞こえ始めたのは、新興宗教の教祖が焼死した直後だということで、その教祖が乗り移ったのではないかと推測しながらストーリーが展開してゆく。
 なんとなくホラー染みているが全く怖くない。どちらかと言えばオカルト風味がたっぷり漂ってくる。俄然興味はこの声の主は本当に教祖なのか、またこの声を追い出すことが出来るのか、さらには教祖は自殺したのか殺されたのか。もし他殺だとしたら一体誰が犯人なのだろうか、といったミステリーモードに染まってゆく。
 
 そして中盤以降の見せ場は、精神科医による催眠術の施術と、それによって「声」が目覚めるということ。また突然現れた教祖の娘とのラブストーリー展開にも、ワクワクとこころが奪われてしまう。さらにラストの着地では、オカルト風味が突如としてSF色に大転換というおまけまでついているのだ。
 約650頁に亘る長編であるが、全く苦も無く退屈せずに一気読みできた。それは本作が新興宗教批判にはじまり、ミステリー、オカルト、恋愛、SFを融合し、ジャンルを超越した面白さに支えられているからであろう。
 
 さて著者の井上夢人とは、漫画家の藤子不二雄同様コンビで岡嶋二人と名乗り、創作活動を続けていた井上泉と徳山諄一のうち、コンビ解消後の井上泉のことである。そして本作はそのデビュー作となるようだ。従ってデビュー作と言えども、すでにベテランの味がするのは当たり前なのである。まあ間違いなく面白いことは保証するが、終盤の説明なしの急展開は理解不能だし、こんな結末なら全体的にもう少し短くまとめられたのではないだろうか。
 
評:蔵研人

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2022年12月16日 (金)

穂足のチカラ

★★★★
著者:梶尾真治
 
 父は安月給のダメ社員、母は深刻なパチンコ依存症、そしてシングルマザーの娘に登校拒否の息子、さらには痴呆寸前の祖父。全く冴えない海野家で唯一の救いは三歳児の孫である穂足くんだけなのだ。その穂足はなんと予知能力を持っているらしい。だがその予知に家族が従わなかったため、彼は事故に巻き込まれて意識不明になってしまうのである。
 
 さあ大変、ダメ人間揃いの海野家の中で唯一希望の星だった孫が意識不明のまま入院してしまうのだ。ところがその日を境に家族全員に超能力のようなものが芽生え始めるのだった。それから一人一人が超人化して、いままでのダメ人間から素晴らしい人間に急成長してゆく下りが面白い。いや面白いというより、スカッとして溜飲が下がるのである。
 
 さてその先、穂足はどうなるのだろうか。それは読んでのお楽しみだが、話はだんだん大きくなり、海野家の成長物語から人類全員を救う物語へと進展してゆくのだ。SFというよりは御伽噺といった流れになってゆくのである。読む人によってはバカバカしく感じるかもしれない。だがいずれにせよ穂足ちゃんが愛らしいことだけは、誰にでも納得できるだろう。
 
評:蔵研人

 

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2022年12月 6日 (火)

時空大戦

著者:草薙圭一郎
 
 2004年4月6日のことである。突然猛烈な磁気嵐の襲来に遭遇し、北海道が丸ごと時空を超えて1945年にタイムスリップしてしまう。なんと1945年4月と言えば終戦間際で、米軍による戦艦大和の撃沈や、沖縄の占領が目の前に迫っている状況ではないか。そんな異常事態に戸惑う北海道駐屯の自衛隊だったが、悲惨な敗北や原爆の投下を防ぐため、壊滅寸前の帝国陸海軍を支援することを決定するのである。
 
 現代兵器と半世紀前の兵器の威力の差は歴然としている。だがいかに圧倒的な威力の差があろうとも、自衛隊のミサイルは100発100中で旧米軍の弾丸はほとんどかすりもしないのは行き過ぎではないだろうか。とは言いつつも実に気分爽快なのだ。戦艦大和は撃沈されず、沖縄に上陸した米軍も叩き出し、なんとマリアナ諸島やフィリピンまで奪回してしまうのである。
 さらには歴史上の人物たちも多数登場してくるし、ある意味では太平洋戦争に至った歴史的背景も描かれていてかなり勉強をさせてもらった気がする。そして最後のマッカーサーの謀反と原爆反撃には、誰もがドキドキさせられてしまうだろう。
 
 そんなわけで遅読者の私にしては、600ページを超える長編にも拘らず、あっという間に読破してしまったのだ。さてこの歴史を覆してしまった戦争の行く末はどうなるのか、そして自衛隊たちは現代に戻ることができるのだろうか。それは本作を読んでのお楽しみとしておこう。
 
評:蔵研人

 

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2022年11月19日 (土)

初恋ロスタイム

著者:仁科裕貴
 
 ある日、僕以外の時間が止まってしまった。それは平凡な高校生活を送る僕・相葉孝司に、唐突に訪れた特別すぎる青春であった。毎日午後1時35分になると、1時間だけ自分以外の時間が止まるのである。その時間を、僕はロスタイムと名付けた。そんな停止世界に突然現れた魅力的な少女・篠宮時音、僕は彼女に恋をしてしまう。それにしてもなぜ時間は止まるのか、また謎めいた少女が抱える大きな秘密とは……。
 
 時間を止められたら、下品なおじさんたちが考えるのは、たぶん泥棒とエッチなことに違いない。本作でもちょぴりエッチな想像があったけど、その前に早々と少女が登場してしまったので未遂に終わってしまった。
 いずれにせよ、本作はエロ小説ではないし、かと言って純粋なSFでもなく、とどのつまりややSF絡みの難病ラブストーリーと言った位置付けなのだろうか。そんな訳でSFとしても恋愛ものとしても中途半端で、ちょぴり物足りなさを感じたのは私だけであろうか……。
 なお本作は2019年に映画化されているが、その感想については下記を参照にされたし。
 
作:蔵研人

 

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2022年10月19日 (水)

13時間前の未来

著者:リチャード・ドイッチ
 
 何者かに最愛の妻を殺害され、そのうえ犯人容疑で警察に拘留されてしまうニック。無実を叫ぶものの、凶器に使われた拳銃にはニックの指紋が付着していたのである。そんなとき、混乱するニックの前に謎の初老の男が現れ「きみには12時間ある」言い残し、古い懐中時計を置いて去ってゆくのだった。
 なんとこの懐中時計は、一種のタイムマシンであり、1時間前の世界に戻って1時間経過すると、又2時間前へ戻る仕組みになっているのである。その度に、事件の真相に迫ってゆくのだが、協力してくれた友人などが殺されたり、妻が別の形で死んだりして、なかなか上手くゆかないのだ。
 
 過去に戻って何度もやり直すタイムループ作品は、小説では『リプレイ』、映画では『恋はデジャヴ』などに代表され、その他にも多くの作品が発表されている。だが本作は単純に同じ過去をやり直すのではなく、1時間前へさらに1時間前へと13時間前まで、1時間ずつ過去に向かってやり直してゆくところが実にユニークなのである。
 
 いずれにせよスピード感に溢れ、細かい捻りや趣向も随所にちりばめられており、息をつかせぬ連続ドラマを観ているかのようだった。またタイムトラベルあり、謎解きあり、アクションあり、恋愛ありの贅沢三昧な物語なのである。だから映画化される予定だったのだが、残念ながら今のところ製作された軌跡はないようだ。多分映画化するには長過ぎるので見送られたのかもしれない。しかし連続TVドラマならばピッタリカンカンなので、いずれはその方向で検討されることだろう。
 
 ただコアなSFファンの評価はいまひとつなのだが、そもそもタイムトラベル自体が荒唐無稽なのだから、余りむきになってタイムパラドックスや時間論を戦わせる必要はないと考えたい。なかなか馴染めない海外小説が多い中で、これほどスタートからスラスラと読み続けられた小説は珍しい。エンタメは面白ければよいので、クドクドとあら捜しをせず素直に楽しもうではないか。と言いながらも、ダンス刑事のしぶとさと悪知恵にはムカムカ・イライラが募ったね。
 
 さて著者のリチャード・ドイッチの本業は不動産投資関連の仕事で、執筆活動は夜の9時から午前3時までを当てているとのことである。彼はトライアスロン、スキー、スキューバダイビング、スカイダイビングなどをこなし、さらにギターとピアノの腕前を駆使して作曲まで手がけるスーパーマン振りを発揮しているらしい。
 
評:蔵研人
 

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2022年9月18日 (日)

元彼の遺言状

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著者:新川帆立
 
 若くして亡くなった麗子の元彼が残した遺言状は、「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という荒唐無稽なものであった。そしてその財産の時価はなんと数百億円に及ぶと言うのである。やり手でかつ強気一辺倒の弁護士である剣持麗子は、犯人選考会に犯人の代理人として乗り込むのだが……。
 それにしても主人公の剣持麗子は、自信過剰で負けん気の強い女性弁護士である。ボーナスが減額になったと、大御所の弁護士でオーナーでもある津々井先生に文句を言い、事務所を辞めてしまったり、大企業の森川製薬でもトップの三人に対して平気でハッタリをかます。それどころか警官やチンピラヤクザに向かっても全く動じない。まさにこの世の中には、怖いものなしのスーパーウーマンなのだ。
 
 この主人公はもしかすると、作者の新川帆立自身のコピーなのかもしれない。彼女は1991年生まれで、米国テキサス州ダラス出身で、東大法学部卒業後に弁護士として活躍している女性だし、弁護士・作家のほか麻雀のプロでもあり、高校時代は囲碁部所属で全国大会への出場経験もあるという。まさに剣持麗子同様のスーパーウーマンなのである。
 
 本作は宝島社主催の「第19回『このミステリーがすごい!』大賞」の大賞を受賞している。たぶんそれは本作のタイトルと「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」というストーリーテーマのお陰であろう。また序盤からバンバンと出し惜しみせず、面白い話をスピーディーに書き連ねていることも審査員たちの印象に残ったのかもしれない。そういう意味では、弁護士で培った「教養とハッタリ」が、上手くブレンドされて本作を生み出したのだろう。まさに受賞するためのテクニック全開であり、受賞するべくして受賞した作品なのだ。
 
 ただ残念ながら、面白かったのは序盤だけで、読むにつれてワクワクドキドキ感がだんだん薄れてゆく。また伏線回収はされているのだが、登場人物たちの深堀がなくストーリーが単純で未消化であった。さらに終盤の犯人登場や種明かしもあっけなく、なんとなく気怠さを感じただけでさしたる感動も湧かなかったのである。
 さて本作は綾瀬はるか主演のTVドラマが創られていて、かなり好評だったようである。と言うことは、もしかしたら小説というよりはTVドラマの脚本向けの作品なのかもしれないね……。
 
評:蔵研人
 

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2022年9月 6日 (火)

囲碁殺人事件

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著者:竹本健治
 
 『囲碁の鬼』と恐れられている槇野九段が、タイトル防衛戦の最中に何者かに殺されてしまう。しかも首なし死体で発見されるのである。一体誰が何の目的でこのような大事な時に、このような残酷な殺人をしたのであろうか。
 本作は囲碁知識を鏤めながら、天才囲碁少年・牧場智久とミステリーマニアの姉・典子、そして彼女の恋人で大脳生理学者の須堂信一郎の素人探偵トリオが迷宮事件を推理してゆくやや明るいタッチのミステリーである。
 前半は謎解きと犯人捜しに終始する。そしていつしか、智久が犯人の目星をつけるのだが……。今度はそれを良しとしない犯人が、智久を執拗に襲撃するのであった。
 
 著者の竹本健治は『匣の中の失楽』や『ウロボロスの偽書』などの幻想的で毒の漂うような作品で有名だが、本書はその概念を一掃するような健康的なミステリーだ。そしてさらに本作の続編とも言える『将棋殺人事件』と『トランプ殺人事件』さらには短編の『チェス殺人事件』へと繋がってゆくのである。
 こんな小説を書くくらいだから、もちろん竹本健治は大のゲーム好きのようだ。そしてその中でも囲碁に一番憑りつかれていて、アマ五段の腕前だという。従って本書の中では、囲碁用語や実在したプロ棋士の名前などが頻繁に登場する。だからと言って決して囲碁知識がなければ読めない小説ではないのだが、やはり多少でも囲碁に興味がないと殊に前半はやや退屈かもしれない。
 
 私自身は一応囲碁をたしなむため、前半は全く退屈しなかったし、後半の謎解きや智久が犯人に襲撃されるシーンも、ハラハラドキドキしながら十分に楽しめた。ただ犯人が解明されるシーンのあっけなさや、殺人の動機・殺害方法などにかなり無理があり、急にエネルギーが減速してしまった感がある。もう一捻りの構想が欲しかった、と感じたのは私だけであろうか。
評:蔵研人
 

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2022年8月26日 (金)

時の罠

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著者:辻村深月、万城目学、米澤穂信、湊かなえ
 
 『時』をテーマにした4人の作家によるアンソロジー、と聞いて飛びついたのだが、私が期待したタイムトラベルものではなかった。初出誌はいずれも『別冊文藝春秋』で、タイムカプセルがらみの作品が2つ重なっているし、どちらかと言えば『時間の経過』をテーマにしたような話ばかりだった。
 
 まあだからと言ってつまらなかった訳ではなく、そこそこ楽しめたのでここにその四作の内容を簡単に記しておきたい。
タイムカプセルの八年  著者:辻村深月
 四作の中では本編が一番長編で、かつ一番出来が良かった気がする。さすが人気の辻村深月である。テーマのタイムカプセルよりも、いつまで経っても大人になり切れない『人見知り・事なかれ親父』の心情と家庭の事情を、面白おかしく上手に描いている。
トシ&シュン  著者:万城目学
 縁結びの神様が学問の神様の手伝いをするという荒唐無稽なお話。それの何が時間テーマに繋がるのかと言うと、神様と人間の時間間隔の違いと言うところかな・・・。
下津山縁起  著者:米澤穂信
 下津山の大規模土地開発にからむ出来事を2000年間に亘って語り紡いでゆくお話。出来が悪いわけではないが、四作の中では一番短編なのだが退屈だった作品でもある。
長井優介へ  著者:湊かなえ
 本作もタイムカプセルがらみの作品なのだが、主人公の耳が悪くて三秒後にしか相手の声を聴くことが出来ない。それが原因で相手に誤解を与えてしまい、いじめにあったこともある。だがある人にもらった『お守り』のお陰で無事成長することが出来た。その『お守り』とは一体何だったのか。実はタイムカプセルの中に封印してあったのだ。さすが実力派の湊かなえである。辻村深月作品といい勝負だね。
 
評:蔵研人
 

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2022年8月18日 (木)

七花、時跳び!

★★★
著者:久住四季
 
 一時は100名もいた部員が、いつの間にか部長の柊和泉と後輩・七花蓮のたった二人になってしまった『未来研』だが、なかなか新規入部者が集まらない。そんなある日突然、なんと七花にタイムトラベル能力があることが分かってしまう。それから二人は『退屈しのぎのタイムトラベル遊び』を始めるのであった。
 登場人物はこの二人に加えて、柊の同級生・鈴ヶ森くるみと二人の先生だけのたった5人、しかも舞台はほぼ高校の中だけという超低予算C級映画といった趣である。まあ厳密に言えば過去や未来の二人も出演しているのだが、それが話を少しややっこしくしている。それにしてもこれだけの構成で300頁近く稼いでいるのだから、稼ぎ過ぎではないだろうか(笑)。
 
 前半はやや退屈なのだが、後半からタイムパラドックスがらみの展開となり、私的には俄然面白くなってくる。ただ気になったのは主人公の柊が余りにもおバカ過ぎてウザイこと、小説というよりはアニメやゲームで観たくだらないギャグとタメ口満載のマンガそのものだということ。
 さらにタイトルは梶尾真治の『つばき、時跳び』のパクリだし、世界観は『サマータイムマシン・ブルース』のオマージュというかパロディーというか、いずれにせよいろいろなところからの寄せ集めといった感が拭えないのだ。そのうえラストは「特別な捻り」もなくあっさり幕となり感動も湧かない。結局のところ本作は「タイムトラベルをおもちゃにした世界観の狭い軽い学園ラブストーリー」だったのかもしれないね。
 
評:蔵研人

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