カテゴリー「映画・テレビ」の記事

2017年11月 6日 (月)

ビッグ・フィッシュ

★★★★

製作:2003年 米国 上映時間:125分 監督:ティム・バートン

 父と息子の愛情をファンタジー仕立てに味付けした快作であります。
 男の子にとって、子供の頃は父親が自慢の種であり、父から聞く武勇伝や父の小さい頃の話には、目を輝かせて聞き入ったものです。これは少なくとも、昭和の半ば頃までは、日米ともに共通した伝統ではなかったでしょうか。。。
 この映画での父親も1人息子に、自分の若かりし頃の話をするのですが、その話が余りにも荒唐無稽であり、何百回も同じ話を繰り返すので、とうとう息子は結婚式の日に切れてしまうのです。

 その後父親が病に伏して、べットから出られなくなるまで、父と息子の絶縁状況が続きます。
 実は父親の荒唐無稽な話は、全くのホラ話ではなく、真実を楽しく脚色していただけだという事が判かるのですが・・・。テンポも良く、ファンタジックでロマンチックで、何よりもとても心温まる、ティム・バートンらしい作品だったと思いました。

 ただ1つ気になったのは、父と息子の愛情がテーマだと思っていたはずなのに、いつの間にか人間愛が中心になってしまったことです。タイトルから想像すると、実は初めからそちらがメインテーマだったのかもしれませんがね。
 それにしても現代の日本の父親は、ただ会社のために馬車馬の如く走り廻るだけの淋しい存在になり下ってはいないでしょうか。やはり息子には、母親だけではなく、父親の存在が大きいのだということを改めて考えさせられました。

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2017年10月30日 (月)

A・LI・CE

★★★

製作:1999年 日本 上映時間:85分 監督:前島健一

 製作当時は画期的なフル3DCGで創られたデジタルアニメとして絶賛された作品である。またタイムトラベル系のストーリー展開ということもあり、だいぶ以前から必死にレンタルDVDを探していたのだが、絶版になっているのか、なかなか見つからなかった。
 それで半分諦めながら駄目もとで、ネット中古書店に予約登録しておいたのだが・・・。登録して2年以上経過し予約していたこと自体を忘れていたとき、突然ネット書店から入荷案内のメールが送られてきたのである。と言うことで、嬉しくなって即購入してDVDプレイヤーに挿入することになったのである。

 ストーリーのほうは、西暦2000年に宇宙局の招待で月面旅行に向かった女子高生の林亜利寿が、スペースシャトルの爆発事故によって西暦2030年にタイムワープしてしまい、突然何者かに襲われているところからはじまる。その未来社会は、独裁者ネロとコンピューターが支配する荒廃した世界であった。だがなんとその独裁者ネロこそ、将来結婚した亜利寿が産んだ息子だったというのである。

 ここまで書けば、誰でもなんだあの『ターミネーター』の逆バージョンではないかと気が付くはずである。また基本的に膨大なスケールのバックボーン構成でなければいけないのに、登場人物の会話が貧弱だし、その数も圧倒的に少な過ぎるではないか。そのうえタイムパラドックスなどもほとんど無視しているので、タイムトラベルものとして見どころも少なかった。
 さらに一番期待していた映像さえも、プレイステーション2に毛が生えた程度なのだ。もちろん製作当時に観ていれば、あっと驚くほどの映像美だったのかもしれないが、残念ながら時代の進化には勝てるわけがないか。それにしても、う~ん・・・である。ただロボットのマリアだけは、キュートで可愛いよね。

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2017年10月25日 (水)

タイムライン

★★★

製作:2003年 米国 上映時間:116分 監督:リチャード・ドナー

 原作は『ジェラシック・パーク』のマイケル・クライトンのベストセラー小説である。クライトンの小説では、量子物理学上のタイムトラベル理論や中世フランス史についての正確な描写が書き綴られているらしい。だが時間的な制約と万人受けに縛られる映画においては、そのあたりを詳しく再現することは難しい。

 とは言いながらも、アクションシーンだけに集約してしまったのも、なんだか物足りない気がするのだ。それにいかにも悪人というレッテルを貼った人物が、二人も登場するのも子供騙しのようで気に入らない。
 またオープニングの石像の謎と種明かしは、タイムトラベルもののお約束的なループなのだが、ラストシーンを待たずとも中盤ですぐに気が付いてしまったのも残念だ。

 実はこの映画は、13年前に映画館で観て次に記したような評価をくだしている。2時間にまとめたところに無理があると感じたのは今回と同じなのだが、今回戦闘シーンやラストシーンに余り感動しなかったのは、13年前とはいえ一度観ていたからかもしれない。

(13年前のメモ)
 マイケル・クライトンの原作は何度かブックオフで買おうと思ったのですが、なかなか上下巻が揃わないまま買いそびれていました。その後映画化になると聞いて、ずっと楽しみに待っていたのですが、映画の評判は余り良くないですね。
 確かに肝心のタイムトラべル理論については、かなり省略されていたようですし、登場人物の描き方も今一物足りない気がしました。

 だいたいこのような大作を、2時間程度の粋の中で描くこと自体に無理があります。TVシリーズとして、10回位の連続ドラマにしたほうが正解だったのかもしれません。また壮大なストーリーにしては、余り製作費をかけなかったのも、中途半端な作品にしてしまった要因だと思います。
 苦言ばかり並べましたが、もちろん良い面もあります。囚われたヒロインが、わらの屋根を移動するシーンにはドキドキしましたし、火の玉投石と火矢を使った迫力ある戦闘シーンにも好感を持ちました。そして現代と過去を結ぶ感動的なラストシーンでは、思わず予期せぬ涙を落としてしまいました。

こんなところかな・・・。(-_-;)

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2017年10月20日 (金)

サイン・オブ・ゴッド

★★★☆

製作:2003年 ドイツ 上映時間:110分 監督:セバスチャン・ニーマン

 原作はアンドレアス・エシュバッハの大作『イエスのビデオ』で、早川書房から上下2巻にわたって出版されている。
 ストーリーは、イスラエルの遺跡発掘場所で、2000年前の人骨と一緒に、何とSONY製のビデオカメラの取扱説明書が発見されるところからはじまるのだ。そして一緒に残された文書から、イエス・キリストが撮影されたカメラが存在することを知るのだが、その肝心のカメラの行方が分からない。

 そのあとは、主人公たちが延々とビデオカメラを探す行動が続くのだが、カメラはなかなか見つからないどころか、謎の組織に追いかけられつかまって、殺されそうになる展開がしつこく続く。そして終盤まで散々引っ掻き回された敵が壊滅し、ビデオの映像が解明されるのはラスト直前の数秒間という、長過ぎるひっぱり具合に呆れたと、言うより腹が立ってしまった。

 ところが10年前にこの原作を読んだ時に、このブログに掲載した記事を再読しまたまた驚いたところである。なんと既にこの映画もGyaOで鑑賞済みだったのである。しかも原作を超える良い出来だと高評価しているではないか。これはどうしたわけであろう。
 つまりこの映画だけを観ると、書き切れないほど突っ込みどころ満載で、SFというよりも、ドタバタアクションに終始し、キリスト動画だけをネタにひっぱり過ぎるというがっかり映画なのだが、実は原作はもっともっと酷かったんだね。
 という訳でこの映画に不満を漏らす人は、是非原作を読んで映画の出来の良さを再評価してみよう。ととと、これは皮肉なのだろうか・・・。

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2017年10月12日 (木)

ゴースト・イン・ザ・シェル

★★★

製作:2017年 米国 上映時間:120分 監督:ルパート・サンダーズ

 原作は日本のSFマンガ「攻殻機動隊」だと言うのだが、そもそもそのマンガも読んだ事はない。ただ予告編でスカーレット・ヨハンソンのあの全裸スーツに魅了されてDVDをレンタルしてしまった。と言う不純な動機なのであります。(-_-;)

 ただヨハンソンのアクションと作品の世界観には共鳴できたのだが、はっきり言って、あの香港のような暗い舞台と深味の感じられないストーリーには消化不良を引き起こしてしまった。
 またなぜかただひとり日本語で喋るビートたけしの聞き取り難い声と、場違いなキャスト感もマイナス要素ではなかったか。それにしても、こんなマンガ作品にもかなりの製作費をつぎ込む米国人のオタク魂には脱帽するしかないね。

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2017年10月 6日 (金)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

★★★★

製作:2016年 日本 上映時間:110分 監督:三木孝浩

 長ったらしいが、なにげにタイムトラベル系のストーリーを彷彿させられるタイトルである。原作は七月隆文のファンタジー小説なのだが、タイムトラベルものに敏感な私にしては、うかつにもまだ未購読・未読であった。
 ただタイムトラベルものと言っても、タイムマシンなどで過去と現在を行き来すると言うような展開ではなく、時間が逆行する男女のラブストーリーというユニークな設定なのだ。

 こうしたお話は、余り詳しく紹介するとネタバレになって感動が薄れてしまうため、レビューを書くのはなかなか難しい。もっとも韓流ドラマにはよく似た話がありそうなのだが、邦画としては珍しい展開である。
 それにしても、主人公の福士蒼汰と小松菜奈はなかなかいい雰囲気で、びったしカンカンの配役だったね。だから荒唐無稽なストーリーにも拘らず、かなり共鳴してしまい涙が止まらなかった。とにかく切ないラブファンタジーである。

 ただやはり時間の逆行という現象にはなかなか馴染めず、なんとなくしっくりこなかったのだが、ラストの逆行シーンでやっとそれを体感したような気がした。ここでまた涙・涙・涙となる。近いうちに是非、原作の小説を読んでみたいものである。

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2017年9月30日 (土)

ナミヤ雑貨店の奇蹟

★★★★

製作:2017年 日本 上映時間:129分 監督:廣木隆一

Namiya

 東野圭吾原作のファンタジー作品である。原作本はだいぶ前に購入していたのだが、読むタイミングを失って映画のほうが先になってしまった。というのは、小説を買って数日後に映画化されることを知り、先に小説を読んだら映画がつまらなくなるので、保留していたという訳なのだ。
 ナミヤ雑貨店というのは、昭和時代に開業していた駄菓子屋のような店で、西田敏行扮するところの老人が一人で店番をしていた。そしてこの店では、閉店後にシャッターの郵便受けに悩み事を投函すると、翌朝牛乳受けに返事を書いて置くというサービスもしていたのである。

 時は流れて、いつの間にか2012年になってしまった。とっくに閉店した「ナミヤ雑貨店」は風化してしまったが、まだ店だけは残ったままである。そこに侵入したのは、悪事を働いて逃げ込んできた三人の若者達であった。

 そして突然驚いたことに奇跡が起こったのである。なんとシャッターの郵便受けに、32年前からの手紙が届いたのだ。
 この『時空を超えた手紙のやり取り』という手法は、韓国映画の『イルマーレ』をリスペクトしたのだろうか。こうしたタイムスリップ系のお話は、それまで謎だった事柄が終盤になって全て繋がってきたり、どんでん返しが用意されたりするものだが、本作でもいろいろな人物を繋ぎ合わせて見事にラストシーンへ収束しているではないか。

 さてこの映画の観客には、なぜか若い女性たちが多く賑やかだった。不思議に感じて後で調べたのだが、主演の三人のひとりに山田涼介という若者がいて、なんとこれが『男性アイドルグループ・Hey! Say! JUMPのメンバー』だというのだ。結局かの女性たちは彼を観にやってきただけだったのである。
 その山田涼介君以外の二人は村上虹郎君と寛一郎君なのだが、三人ともおじさんには全く無名の俳優たちが主演を張っていたとしか思えなかった。もちろん、西田敏行をはじめ小林薫、萩原聖人、吉行和子。尾野真千子、成海璃子など、おじさんでも良く知っている俳優もかなり出演していたので、決してB級作品ではない。それにしてもあの昭和時代の雰囲気を漂わせている商店街は、今でも現存しているのだろうか。当然セットやCGも援用していると思うのだが、エンドロールで協力商店街名が流れていたので『本物』なのであろう。

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2017年9月24日 (日)

プレデター

★★★★

製作:1987年 米国 上映時間:107分 監督:ジョン・マクティアナン

 本作を観るのは二度目であるが、製作年度から30年経過した現在でも全く色褪せていないところが素晴らしい。このあとプレデターシリーズが数本創られるのだが、本作を超えるものは一本も出現していない。もちろん初回作と言うこともあるが、アーノルド・シュワルツェネッガーの存在感の大きさによることは間違いないだろう。

 ストーリーとしては、屈強な軍人ダッチ(アーノルド・シュワルツェネッガー)率いる特殊部隊が、某国のジャングルの中でゲリラたちに捕らえられた政治家を救出する任務に向かい目的を達成するのだが、姿が見えず高度な戦闘技術を持つ地球外生命体・プレデターに狙われるという展開である。

 このプレデターは身体もでかくてかなり強いのに、高度な武器を使用するため、さすがの特殊部隊も全く歯が立たない。そしてひとりふたりと殺されて、最後は隊長のダッチとの一騎打ちとなるのである。まさに人類最強の男と異星人との「何でもありの死の決闘」と言えよう。
 この映画は実はこのタイマンのラストシーンのためにある作品であり、それまでのすべての出来事は前座だったと言っても過言ではないだろう。とにかく凄い戦闘であり、全てが終わった後には安堵感と脱力感が渦巻いているようであった。そしてプレデターの蟹のような醜く恐ろしい素顔が、一生心の中に刻み込まれることになるだろう。

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2017年9月19日 (火)

ディファイアンス

★★★★

製作:2008年 米国 上映時間:136分 監督:エドワード・ズウィック

 第二次世界大戦で、シンドラー同様約1200人のユダヤ人の命を救ったと言われるビエルスキ兄弟の活躍を描いた実話映画である。ただし映画化にあたってかなりの脚色が施されているようだ。
 まずはビエルスキ兄弟の次男がズシュになっているが、実際は三男役のアザエルのほうが次男であるということ。さらにラストの戦車との戦闘シーンも、映画らしさを演出するために付け加えられたアクションである。

 また映画ではビエルスキ兄弟を英雄視して描いているが、ポーランド人から略奪することで生き延びた山賊集団とみなされている歴史的な評価もあり、一概にビエルスキ兄弟の評価を語ることは出来ないようだ。
 ただ映画としてはそこそこ良い出来であり、主演のダニエル・クレイグやリーヴ・シュレイバーをはじめとした迫真の演技と緊迫感溢れるストーリー展開は、良質なサスペンス映画として評価することが出来るだろう。それにしても終戦までの三年間も、あれだけの人数の人々が隠れおおせたのか不思議でたまらないのだが…。

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2017年9月13日 (水)

ジョゼと虎と魚たち

★★★★

製作:2003年日本 上映時間:116分 監督:犬童一心

 渋谷はミニシアターが良く似合う若者の街だ。この映画を観たのはもう13年も昔になってしまったが、パルコ3にある『シネクイント』というミニシアターは、当時も若者達で熱気ムンムンの満席状況だった。
 ほとんどが女性と若いカップルで、おじさん1人というのはだぶん僕一人だけだったと記憶している。その日は本作の上映最終日だというのに、この大混雑ぶりは一体何だったのであろうか。

 奇妙なタイトルだが、『ジョゼ』は身障者であるヒロインの愛称であり、彼女の夢は好きな人が出来たら一番怖いもの『虎』を見ること。そして海を見て、『魚』を見ることなのであった。
 主人公は、次々と女性とSEXすることが大好きな大学生という設定であるが、妻夫木聡の清々しい風貌と演技のためか、全くイヤミな男には写らないのである。

 毎朝乳母車に毛布をかけて散歩する老婆に不信を持つ町の人々・・・。主人公はひょんなきっかけから、その中に歩行障害を持つ少女(ジョゼ)が乗っている事を発見するのである。
 そしてジョゼの独得の話し方、表現方法、料理の上手さなどに主人公はだんだん惹かれてゆくのだが、観て居るほうも自然と感情移入してしまう不思議な魔力がある女性であった。

 ラストの展開はちょっとあっけない気もしたが、主人公が彼女を連れて実家へ帰ることを中止したときから、なんとなく「その予感」があったと解釈すべきかもしれない。
 エンディングで、ジョゼが台所で1人食事をつくっているシーンは、かなり切ないが、同時に現実を強く生き抜こうとする彼女の思いが伝わってきて、なんとも印象的であった。そして映画が終わったあとも、1人ぼんやりとロビーで煙草をふかし、遠い青春の記憶に浸ってしまったことを今でも覚えている。

 さて本作は現在名監督になりつつある犬童一心監督の出世作なのだが、同時にベッドシーンも厭わず、ヒロインの『ジョゼ』を熱演した池脇千鶴の出世作にもなったのではないだろうか。また身体障害者の恋をテーマとした映画としては、本作より1年前に製作された韓国映画『オアシス』があるが、こちらは怒涛のような激しさを表現した問題作と言えよう。

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