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2026年10月の記事

2026年10月12日 (月)

13日の金曜日 2009

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★★★
製作:2009年 米国 上映時間:95分 監督:マーカス・ニスペル

 1980年に公開された初代『13日の金曜日』は、映画評論家から酷評されたにもかかわらず、一般観客には熱狂的に受け入れられ、世界的な大ヒットとなった。殺人鬼ジェイソンのホッケーマスクは、いまやホラー映画のみならず大衆文化全体に浸透した“恐怖のアイコン”として定着している。

 本作はシリーズ最終作にあたるが、初代から第4作までの要素を新たな視点で再構築したリメイク作品である。映画としての完成度は決して高くないものの、製作費1,900万ドルに対し興行収入は9,270万ドル。『フレディVSジェイソン』に次ぐシリーズ第2位の成績を残したというから驚かされる。

 行方不明の妹を探すため、クレイは惨劇の舞台となったクリスタル・レイクを訪れる。地元住民や警察の忠告を無視して探索を続けるうち、彼は知らず知らずのうちにジェイソンの縄張りへと足を踏み入れてしまう。

 その後はお約束の展開が続く。若者たちのパーティー、セックスシーン、逃げ惑う群像、そして次々とジェイソンに狩られていく犠牲者たち────。リメイクとはいえ、薄暗く観づらい映像の中で繰り返される“お馴染みパターン”には、さすがに食傷気味になってしまった。
 さらに、超人的な身体能力を持ち、先回りしたり、罠を仕掛けるほど賢いジェイソンという“新解釈”にも違和感が残る。追跡と殺戮以外に物語性がほとんどなく、シリーズを知っていることが前提で作られた印象すら受ける。

 別荘にドラ息子たちが到着したあたりから、どこかで観たような既視感がよぎり、気づけば惰性で最後まで観てしまった。ラストシーンを見て、かつてテレビ放映で鑑賞した記憶がふと蘇った。
 とはいえ、退屈せずに最後まで観られたのだから、全くの駄作というわけでもない。ホラーの定番をなぞりながらも、それなりに楽しめる一本なのかもしれない……。


評:蔵研人

 

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2026年10月10日 (土)

スピーシーズ4 新種覚醒

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★★☆
製作:2007年 米国 上映時間:99分 監督:ニック・ライオン

 本作は『スピーシーズ』シリーズの第4作にして最終作である。前3作の直接的な続編ではなく独立した物語だが、第1作のエイリアンDNA実験に触れており、世界観はゆるやかに地続きになっている。

 ミランダ・ホランダーは、博物館で働く“叔父”トム・ホランダーと暮らす、美貌の大学教授である。触れただけで本の内容を読み取るという特殊能力を持ち、幼い頃に両親を事故で失ったと信じ込まされていた。だが誕生日の夜、デートの帰りに突然意識を失い、全裸のまま野外で倒れているところを病院へ運ばれる。

 ミランダが気絶したのは、人間としての寿命が尽き、やがてエイリアンへと変貌する前兆だった。病院内で一時的に異形の姿となり、数名を殺害してしまう。トムは倒れているミランダを見つけ、人間のホルモンを注射して彼女を落ち着かせると、警察の追跡を逃れるため、同じ研究に携わっていた友人フォーブスを頼ってメキシコへ向かう。

 ここまではそこそこ面白く、物語の先に期待も抱ける。しかしメキシコ到着後、急に作品のテンションが落ちてしまう。街中で写真を見せてフォーブスを探すのは無理があるし、突如としてシスター姿の怪物が襲いかかってくる展開も唐突だ。そこからはアクション主体のB級ホラーへと転じ、筋書きの整合性よりも勢いだけが前面に出てしまう。

 あとは誰もが想像する展開を経てエンディングへ向かうのみで、得られるものは多くない。強いて言えば、主演女優の美しさと全裸が唯一の収穫だろう。それでも途中で退屈することなく最後まで観られたのだから、全くの駄作というわけでもない。期待しすぎなければ、それなりに楽しめるB級SFホラーなのかもしれない。


評:蔵研人

 

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2026年10月 8日 (木)

消えた時間

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★★★
製作:2020年 韓国 上映時間:105分 監督:チョン・ジニョン

 都会から閑静な田舎町へ移り住んだスヒョクとイヨン夫妻。スヒョクは小学校教師として穏やかな日々を送っていたが、村人たちはよそ者に冷たく、さらにイヨンの奇妙な行動に不安を募らせていた。ある夜、彼女の“異常な状態”が村中に知れ渡り、ついには夜間だけ鉄扉の部屋に閉じ込められるという、異様な状況へと追い込まれてしまう。

 やがてその家で不審火が発生し、夫婦は焼死。村人たちの証言の曖昧さ、現場の違和感に疑念を抱いた刑事ヒョングは聞き込みを続けるが、誰も真実を語ろうとしない。そんな中、彼は無理やり強い酒を飲まされ、気がつくと“別人”になっていた。村人たちが彼を「先生」と呼ぶことから、どうやら死んだスヒョクに成り代わってしまったらしい……。

 物語は説明のないまま進み、観客は次第に“ここはパラレルワールドなのか”という疑念を抱く。しかし、そもそもヒョングがなぜ異世界に転送されたのかは語られず、終盤になっても謎は解明されない。オチも回収もなく、死んだはずの村人が鹿へと変化する場面に至っては、象徴性すら読み取れず戸惑いだけが残る。

 さらに途中から唐突にヒョングへ主役が交代するにもかかわらず、彼の背景がほとんど語られない点も惜しい。アイデア自体は悪くなく、俳優陣の演技も堅実であるだけに、脚本をもう一段練り込めば、より深みのある作品になったのではないか。非常に惜しく、残念な一作であった。


評:蔵研人

 

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2026年10月 6日 (火)

悪い夏

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★★★☆
製作:2025年 日本 上映時間:114分 監督:城定秀夫

 真面目に生きてきた気弱な公務員が、問題を抱えた女性に心を奪われ、破滅へと転がり落ちていく姿を描いたサスペンス映画である。
 市役所の生活福祉課に勤める佐々木守は、同僚の宮田有子から「先輩の高野が生活保護受給者の女性に肉体関係を強要しているらしい」と相談を受け、渋々ながら真相究明に協力することになる。

 正義感に燃える宮田とは対照的に、気弱で事なかれ主義の佐々木は、面倒くさいと感じながらも、育児放棄寸前のシングルマザー・愛美のもとを訪ねる。愛美は高野との関係を否定するが、実際には裏社会の住人・金本らとともに、ある犯罪計画に手を染めようとしていた。そんな事情を知らぬまま、佐々木は次第に愛美へ惹かれていく。

 本作には、愛美のほかにも万引きを繰り返す生活困窮者のシングルマザー・佳澄が登場し、「男に捨てられれば生きていけない」という脆さを抱えた女性たちの悲哀が描かれる。同時に、そうした状況を改善できない政治の貧困、さらには不正受給者や職権を乱用する公務員の姿も浮かび上がり、社会への皮肉が随所に滲んでいる。

 前半は社会派ドラマとしての緊張感があり見応えがあったものの、後半にかけて不自然な男女関係が続き、次第に興味が薄れてしまった。終盤のドタバタ劇に至っては、まるで喜劇のようで、落胆を覚えたのも事実である。

 しかし、佐々木を演じた北村匠海の「真面目さの奥に影を宿す」演技は見事であり、賞賛に値する。また、『宝島』でのヤクザ役に続き、本作でも一筋縄ではいかない悪役を体現した窪田正孝の役者魂にも拍手を送りたい。

 染井為人の作品は多く読んできたが、なぜか本作の原作だけは未読である。近いうちにぜひ読破したいと思っている。


評:蔵研人

 

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2026年10月 3日 (土)

スクリーム

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★★★☆
製作:1996年 米国 上映時間:111分 監督:ウェス・クレイヴン

 カリフォルニア州の田舎町ウッズボロー。恋人とホラー映画を観ようとしていた女子高生ケイシーのもとに、一本の不審な電話がかかってくる。最初はただのイタズラだと軽く受け流すが、相手は執拗に電話を繰り返し、やがて彼女を恐怖の渦へと引きずり込む。

「クイズに答えろ。間違えれば殺す」
 そう告げられ、庭の明かりをつけたケイシーの目に飛び込んできたのは、椅子に縛りつけられた恋人スティーヴの姿だった。彼は無残に殺され、続いてケイシー自身にも魔の手が迫る。

 この衝撃的な導入部は、観客の心を一気につかむだろう。次なる標的は、同じ高校に通う女子高生シドニー。彼女のもとにも不審な電話がかかり、執拗な殺人鬼との攻防が始まる。彼女が主人公であるため、命は落とさないものの、何度も襲撃される緊張感が物語を牽引していく。

 本作が予想以上の大ヒットとなった理由は、ホラー映画の蘊蓄を巧みに織り込みつつ、コメディタッチの新しいホラー表現を打ち出した点にある。だからその後、第6作まで続くシリーズへと発展したのも頷ける。
 ただし、真に恐ろしいのは冒頭のケイシーの場面で、それ以降はある種の“お約束”が続くため、ホラーが苦手な人でも比較的安心して観られるだろう。

 それにしても、なぜホラー映画では殺人鬼が人間であっても不死身に近く、男性陣は総じて頼りなく、ヒロインだけが逞しいのか。こうした構図は『エイリアン』以降、ジャンルの常道となったように思えてならない。


評:蔵研人

 

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2026年10月 1日 (木)

トッケビ 鬼と呼ばれた男

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★★★
製作:2019年 韓国 上映時間:80分 監督:パク・チャンジン

 江北のハン・ジョンピルと江南のチョ・ヒョヌ。不良社会を二分していた二人は、突如現れた<トッケビ(鬼)>の前にあっけなく敗れ去る。その正体を隠しながら平穏な高校生活を送っていたカン・インホだったが、学年の頂点を決める抗争が始まり、否応なくその渦中へと引きずり込まれていく。

 何よりもまず、いかにも痛快なアクションを予感させる惹句と派手なポスターに食指を動かされて鑑賞した一本である。しかし蓋を開けてみれば、主人公が本格的に活躍するのは冒頭と終盤のみ。それまでの展開は冗長で、物語に引き込まれるどころか、もどかしさばかりが募ってしまった。

 ようやくアクションが幕を開けるクライマックスに至っても、期待したほどの爽快感はない。動きの切れは鈍く、演出にも迫力が欠けるため、作品全体を支えてきた緊張感を解放するには至らなかった。激しい抗争を予感させながら、結局は小競り合いの域を出ない結末には肩透かしを食らった思いである。

 全体としては、B級アクション映画らしい粗さが目立つ作品だった。比較するなら、不評を買った2001年の『火山高』の方が、まだ独特の勢いと魅力を備えていたように思う。


評:蔵研人

 

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