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2026年9月23日 (水)

力道山物語 怒涛の男

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★★★
製作:1955年 日本 上映時間:84分 監督:森永健次郎

 圧倒的な喧嘩の強さで知られた少年時代から大相撲を経て、ついにはプロレス界の世界チャンピオン、ルー・テーズに挑むまで────力道山の半生を描いた伝記映画である。
 十両昇進後は、力道山本人が自らを演じているが、素人とは思えないほど自然な演技で、画面に不思議な説得力を与えている。物語の中心はやはり大相撲時代で、終盤では親方との衝突から髷を切り、相撲界を去る姿が描かれる。辛い新弟子時代を耐え抜いた彼が、こうして土俵を離れるに至る過程は、どこか哀感を帯びている。

 本作は冒頭で「ここに出てくる人物は事実のままでなく、多くの点で映画的につくられた」と明記される。現代であれば「これはフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません」とエンドロールに表示される類の断り書きだろう。もちろん力道山の出世物語を描く以上、完全なフィクションではないが、前置きの通り脚色が随所に見られる。

 たとえば、力道山が所属していたのは二所ノ関部屋であり、映画に登場する大村部屋ではない。また後援者も実際には新田建設社長・新田新作であるが、映画では隅田新作と名を変えている。
 この程度の改変は映画では珍しくないが、問題は力道山の人物像があまりにも品行方正に描かれ、美談で塗り固められている点である。実際には、彼は朝鮮半島に生まれ、朝鮮相撲の選手として育った経歴を持つ。そうした複雑な背景が薄められ、英雄譚として整えられているあたりに、まさに“映画的につくられた伝記”の性格が色濃く表れている。


評:蔵研人
 

 

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