二十歳に還りたい。
★★★☆
製作:2023年 日本 上映時間:119分 監督:赤羽博
タイトルを見たとき、私はてっきりタイムトラベルものだと思い込んでいた。確かに老人が二十歳の青年へと若返るのだが、過去へ戻るのではなく、同時代の“別人”の身体に心だけが宿るという設定である。そして原作が幸福の科学グループ・大川隆法総裁だと知り、宗教映画なのだと悟ったものの、意外にも宗教色は控えめであった。
寺沢一徳は、裸一貫から大企業を築き上げ、「経営の神様」と称えられた人物だ。しかし引退後は、高齢者施設で淡々と孤独な日々を送っている。そんな一徳の唯一の慰めは、施設を訪れる学生ボランティア・山根明香とのささやかな交流だった。
夕陽の丘を散歩しながら、一徳は初めて自らの過去を語る。社会的成功とは裏腹に、家族には恵まれなかった人生だったと……。明香はその告白に胸を痛め、沈む夕陽に向かって、神に彼の願いをひとつだけ叶えてほしいと祈る。一徳もまた、彼女が抱える失恋の痛みを感じ取っていた。
できることなら、彼女のためにも、もう一度二十歳に還りたい────。そう願った瞬間、彼は見知らぬ大学の校庭で、若き青年として目を覚ます。
青年はサッカー部員で、明香はそのマネージャーという設定。さらに彼女は有名劇団長の娘であり、その縁から青年は一流俳優へと駆け上がっていく。
しかし「三十歳になるまで結婚してはならない」という神のお告げの意味が曖昧で、物語の核心に関わるはずの部分が十分に掘り下げられていない。またあと少しで三十歳になるときに、なぜ「誕生日まで待ってほしい」と言えなかったのか────。その一点がどうしても引っかかり、物語に深く没入できなかったのが実に残念である。
出演者の多くは無名に近いが、津賀山正種と上杉祥三というベテラン二人の演技だけは圧倒的な存在感を放っていた。もし彼らがいなければ、作品は一気にB級の色合いへ傾いていたかもしれない。
全体としては、宗教映画という先入観を裏切る穏やかな人間ドラマであり、設定の粗さを許容できるかどうかで評価が分かれる作品だろう。
評:蔵研人
下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓
↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪
| 固定リンク | 0



コメント