スピーシーズ 種の起源
★★★☆
製作:1995年 米国 上映時間:108分 監督:ロジャー・ドナルドソン
30年ぶりに観返したのだが、ストーリーは驚くほど綺麗に記憶から抜け落ちていた。もっとも、改めて見直してみると、この時代の作品としてはVFXの完成度はかなり高く、映像にも思ったほど古臭さは感じない。
タイトルの “Species” は「種」あるいは「生物種」を意味する。本作に登場するシルは、遥かな宇宙から送信されてきた未知のDNA配列と人類のDNAを融合させて誕生した生命体である。人類の科学が、理解の及ばぬ異質な知性へ不用意に手を伸ばした結果、生まれてしまった存在だ。
シルを演じたのは、当時スーパーモデルとして人気絶頂だったナターシャ・ヘンストリッジ。本作は、彼女の妖艶な魅力を全面に押し出したことでも話題となり、その美貌に惹かれて劇場へ足を運んだ観客も少なくなかったという。なるほど、彼女の肢体には人間離れした美しさがあり、「映画史上もっとも美しいエイリアン」と称されたのも頷ける。彼女はこの作品を機に女優へ転身し、その後も映画やドラマで活躍することになる。
急速な成長を遂げたシルは研究施設を脱走し、成熟すると本能のままに子孫を残そうと男たちを誘惑し始める。彼女を追うために招集されたのが、抹殺任務のプロであるプレストン、霊的感応能力を持つダン、分子生物学者ローラ、異文化行動学者アーデンらによる特別チームである。
序盤は、シルという存在の不気味さと官能性が入り混じり、得体の知れない恐怖がじわじわと広がっていく。その空気感には確かに引き込まれるものがあった。しかし物語が進むにつれ、展開は次第に単調さを帯びていく。同じような追跡劇が繰り返され、チームの面々も、超感覚的にシルの存在を察知するダンを除けば、能力を十分に活かし切れているとは言い難い。
さらに、物語のスケール自体は本来もっと大きくなり得たはずなのに、行動の中心がほぼこの少人数チームに限定されるため、世界規模の危機というより、どこか閉じたB級SFの趣に収束してしまう。その点は少々惜しまれる。
また、シルの最終形態デザインを『エイリアン』で知られるH・R・ギーガーが担当しているのだが、その禍々しい造形は完成度こそ高いものの、本作がそれまで築いてきた「妖しい美しさ」とはやや異質にも感じられた。結果として、終盤は『エイリアン』的イメージへ引き寄せられすぎた印象が残る。
とはいえ、美と恐怖、エロティシズムとSFホラーを真正面から融合させようとした90年代ならではの勢いは、いま観てもなかなか魅力的である。ナターシャ・ヘンストリッジという存在そのものが、この映画最大の特殊効果だったのかもしれない。
評:蔵研人
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