宝島
★★★☆
製作:2025年 日本 上映時間:191分 監督:大友啓史
原作は第160回直木賞を受賞した真藤順丈の同名小説。メガホンを取ったのは『るろうに剣心』『3月のライオン』の大友啓史。主なキャストは、妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太で、それぞれが渾身の演技を見せている。
舞台は1952年、米軍統治下の沖縄。当時、米軍基地を襲撃して物資を奪い、困窮する住民に分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちが存在した。本作は、その戦果アギヤーの中で「大きな戦果」を夢見るグスク、ヤマコ、レイ、そしてリーダー格のオンという四人を中心に描かれる。
しかし、ある夜の襲撃で“予定外の戦果”を手にしたオンは、突然姿を消してしまう。残された三人は、消えたオンの影を追いながらそれぞれの人生を歩む。グスクは刑事に、ヤマコは教師に、レイはヤクザに────三者三様の道が、沖縄の戦後史とともに静かに分岐していく。
3時間11分という大長編でありながら、壮大なスケール、美麗な映像、効果的な音楽、そして確かな時代考証が揃い、完成度は日本アカデミー最優秀作品賞に届いてもおかしくない水準だ。ただ、史上最高の興行収入を記録した『国宝』と製作時期が重なったことは、本作にとって不運だったと言わざるを得ない。
欲を言えば、四人の若者を主軸に据えた物語である以上、群像劇としての脚本をもう一段練り上げ、観客をより強く引き込む構成にして欲しかった。余りにも大作を意識しすぎたのか、物語は重く沈み込み、カタルシスに乏しい。鑑賞の後半は、どこか義務感に背中を押されていたような気がする。
むしろ本作の題材は、ドラマではなくドキュメンタリーとして描いたほうが、より深い真実味を帯びたのではないか────そんな思いが残った。
評:蔵研人
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