港のひかり
★★★☆
製作:2025年 日本 上映時間:118分 監督:藤井道人
舞台は北陸の小さな港町。堅気となった元ヤクザの三浦は、慣れない漁師仕事に身を沈めながら、静かに暮らしていた。そんなある日、白い杖を頼りに歩く少年・幸太と出会う。やがて二人のあいだには、年齢を超えた不思議な友情が芽生えていく。
幸太は、ヤクザ絡みの交通事故で両親を失い、引き取られた叔母とその恋人からも虐待を受けていた。孤独を抱えた少年に、かつての自分を重ねた三浦は、彼の視力回復手術のために、ヤクザの麻薬取引現場から金を奪うという危険な賭けに出る。そして幸太の手術を見届けたのち、自ら警察へと出頭する。
奪われた金の持ち主は、三浦の元弟分・石崎が率いる組である。彼らが黙っているはずもなく、物語は静かに緊張を孕んでいく。そして12年後、刑期を終えた三浦が出所すると、皮肉にも成長した幸太は刑事となっていた。
一昔前なら、任侠に熱い三浦の役は高倉健が演じていたかもしれない。しかし本作では、舘ひろしが渋みと陰影を湛えた演技で存在感を放っている。また笹野高史、ピエール瀧、宇崎竜童、市村正親、椎名桔平といったベテラン勢が脇を固め、作品に確かな厚みを与えている。
ただ、物語の骨格はあまりにベタで、終盤のクライマックスで幸太が単身乗り込む展開には、ご都合主義の匂いが拭えない。また、三浦が自己犠牲を払ってまで幸太に尽くすようになる心情の掘り下げも十分とは言い難い。ここを丁寧に描き直せば、物語はより深い感動へと到達できたはずで、その点が何より惜しまれる。
評:蔵研人
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