アナザー・ワールド 異次元の怪物
★★☆
製作:2020年 ロシア 上映時間:96分 監督:スビヤトスラフ・ポドガイエフスキー
生まれたばかりの赤ん坊ヴァーリヤの世話のため、アレクセイ一家はタチアナというどこか不穏な気配を漂わせるベビーシッターを雇う。だが、いつしか彼女とヴァーリヤは忽然と姿を消してしまう。息子イゴールは両親に必死に訴えるものの、なぜか彼らの記憶からはヴァーリヤの存在そのものが抜け落ちていた。
やむなくイゴールは友人たちとともに、深い森へと分け入り、妹の行方を追う。やがて森の奥で見つけた古びた家────そこは、異次元へと通じる入口だった。ヴァーリヤはきっとその向こうに連れ去られたに違いない。そう確信した彼らは、未知の世界へと足を踏み入れるのだが……。
序盤は謎めいた導入が興味を引き、物語への期待を抱かせる。しかし、現れる怪物たちには恐怖の実感が乏しく、なぜ赤ん坊がその世界へ連れ去られたのかという根本的な動機も明確には語られない。あるいはこれは、亡き母を忘れられないイゴールの内面が生み出した心象風景なのかもしれないが、その解釈も十分に掘り下げられているとは言い難い。
登場人物は限られ、舞台も同じ場所を巡るばかりで、物語は奥行きを欠いたまま進んでいく。結果として、全体に重みや余韻が乏しく、どこか満たされない感覚が残る。ロシア映画にしばしば見られる幻想性と寓意性の片鱗は感じられるものの、本作においてはそれが十分に結実しているとは言い難く、あと一歩の深みが欲しいところであった。
評:蔵研人
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