« 2026年7月 | トップページ | 2026年9月 »

2026年8月の記事

2026年8月29日 (土)

私タイムトラベル出来るんです! 

タイムトラベル

★★★
製作:2024年 日本 上映時間:約120分 監督:渡邊 豊

 本作は、前半が1話5分・全12話のTVドラマ形式、後半が『私タイムトラベル出来るんです! THE MOVIE』として劇場公開されたという、少々変則的な構成を持つインディーズ作品である。もっとも、近年ではアニメ作品などでもテレビシリーズと劇場版を連動させる手法は珍しくない。とはいえ本作の場合、前半が「次回へ続く」という以上に、物語の輪郭すら掴みきれないまま突然終わってしまうため、かなり戸惑わされた。

 さらに難解なのは、そのストーリー展開である。後半を観てもなお理解が追いつかず、結局もう一度見直すことになった。そしてようやく、次のような物語だったのではないかと整理できたのである。

 2053年1月。タイムマシンを開発した韮品博士は、何者かに追われ別荘へ逃げ込む。博士は助手の葱沢茉莉奈をタイムマシンで未来へ逃がすものの、自身は追手に殺害されてしまう。

 翌2054年。その別荘は売家となっており、女子大生・磯野桜子が不動産屋に案内されてやって来る。事故物件だと告げられながらも契約した桜子は、和室の床下からタイムマシンと反物質、さらに起動マニュアルを発見する。
 2036年へ跳ぶつもりで起動したはずが、初期設定のまま2024年へ飛ばされてしまう桜子。そこで偶然、若き日の韮品博士と遭遇する。しかし反物質とマニュアルを所持したまま、不審者として別荘を追い出されてしまうのだった。

 ここから物語は急速に視界を曇らせ始める。桜子が博士の名を口にしたことで、「なぜ彼女は博士を知っているのか」という疑問が生まれるのだ。後になって考えれば、物理学専攻の学生として著名な博士を知っていたのかもしれない。しかし、その説明がこの時点では示されないため、私は序盤に登場した葱沢茉莉奈と混同してしまった。結果として、以降の展開は霧の中を手探りで進むような感覚だった。

 別荘を追い出された桜子は、2024年の街を彷徨ううちに転倒し、頭を打って気を失う。彼女を助けたのは、まだ結婚前の若き日の父と母だった。当然ながら、二人は未来から来た娘の存在など知るはずもない。
 意識を取り戻した桜子は、急いで別荘へ戻り、韮品博士に未来から来たことを告げる。そして証拠としてマニュアルを見せようとするが、それが見当たらない。気絶していた間に失くしたのかもしれない────そう考え二人は、再び街へ探しに出る。

 映画版はさらに大胆に時空を飛躍する。2023年では学園の新理事長として葱沢茉莉奈が現れ、2037年では桜子の両親が研究中の“電話型タイムマシン”によって別次元へ跳ばされる。そして2054年では、かつて学園教師だった女性が総理大臣となって演説しているではないか。
 そこでは、死んだはずの桜子の父が生きており、逆に母は亡くなっていた。しかも父は、その女性総理と再婚している。ようやく理解しかけた物語だが、再び大きく姿を変える。そして、そこへまた葱沢茉莉奈が現れるのだから、観ているこちらの思考も時空の渦へ引きずり込まれていく。

 二度観てもなお腑に落ちない部分が残るのは、設定の多さに対して伏線や説明が圧倒的に不足しているからだろう。しかし不思議なことに、再鑑賞によって評価は少し上がった。混乱しながらも、「もう一度確かめたい」と思わせる力が、この作品には確かに存在している。

「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」
 おそらく、この言葉こそが本作の核なのだろう。粗削りで、整理不足で、ときに観客を置き去りにしながらも、“想像すること”への情熱だけは、最後まで失われていなかった。


評:蔵研人

 

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 

| | | コメント (0)

2026年8月27日 (木)

アナザー・タイム

Photo_20260827192601

★★★☆
製作:2018年 米国 上映時間:89分 監督:トーマス・ヘネシー

 有能なアカウントマネジャーであるエリックは、高給取りでありながらも現実主義者で、狭い部屋に暮らし、当然マイカーも一台。将来に備えて着実に貯蓄を続けている。加えてイケメンとくれば女性に困るはずもないのだが、彼自身が心を動かされる出会いには恵まれてこなかった。

 そんな彼が、ある仕事でチームを組んだジュリアに“運命”を感じ、抑えきれない恋心を告白する。しかし彼女にはすでに婚約者がいた。「もっと早く知り合っていれば」と彼女は言うのだが、その言葉はエリックの胸に深く刺さる。

 意気消沈した彼は、宇宙科学の番組で“タイムトラベルは理論上可能だ”と語るゴイヤー博士のビデオを目にし、もしジュリアが婚約者と出会う前に自分と出会っていたら────そんな思いに取り憑かれていく。行方不明となっている博士を探すため、エリックは博士の故郷アリゾナへ向かう。

 こうして彼は5年前へのタイムトラベルを試みるのだが、その準備に費やされる時間が実に長い。過去へ跳んでからラストまではわずか15分ほどしか残されておらず、本作は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のような冒険譚ではない。

 しかし、タイムトラベルの理論づけは意外なほどしっかりしている。過去といっても“同じ世界の過去”に戻るのではなく、タイトルの「アナザー」が示す通り、分岐したパラレルワールドの過去であり、元の世界には戻れない────その感覚が丁寧に描かれており、私はそこに好感を覚えた。

 終盤があっけないためかネットでは不評も多いが、私は途中で“そうなるのではないか”という予感のようなものが芽生え、むしろ静かな納得を得た。人生は一度きり。悔いのない生き方を選ぶべきだという、控えめながらも確かなメッセージが、そっと胸に残る作品だった。


評:蔵研人

 

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 

| | | コメント (0)

2026年8月25日 (火)

57秒 復讐のタイムループ

57

★★★
製作:2023年 米国 上映時間:99分 監督:ラスティ・カンデッフ

 タイトルの通り、本作には「ボタンを押した瞬間から57秒だけ過去へ戻れる」という、なんとも都合のよい指輪が登場する。
 57秒という中途半端な短さに、「そんな時間で何ができるのか」と首をかしげたくなる。だが、暴漢に襲われる直前や事故の瞬間に使えば、生死を分ける一手にもなり得るではないか。

 恋に落ちた相手の好みを探るため、会話を何度もやり直すこともできるだろうし、結果が即座に出るルーレットのような賭博なら、短時間で大金を得ることすら夢ではない。
 これらは劇中でも実証済みだが、では他にどんな使い道があるのだろう。
 巻き戻せるのは、たった57秒。出来事の原因が1分以上以前にあるなら、その本質を変えることは難しい。しかし偶発的な事故や失敗であれば、その57秒の猶予だけで未来を丸ごと塗り替えることができる。

 たとえば交通違反で止められたとき。
 万引きや痴漢の冤罪を疑われた瞬間。
 テスト中、カンニングが見つかった場面。
 麻雀で不用意に振り込んでしまったとき。
 あるいは、王手の連続で詰め切れなかった将棋の終盤。

 そんなとき、ボタンひとつでやり直せるのだから、納得いくまで何度でも挑めばいい……などと考えてしまう自分が、少し情けない。思いつく使い道が、ろくでもないことばかりというのも実に悲しいね。トホホホホ。

 タイムループ作品としての着想は興味深く、57秒という制約も絶妙である。ただ、その面白い設定に対して、物語そのものはやや掘り下げ不足に感じられた。
 また出演者では、モーガン・フリーマンの存在感が際立っていた一方、それ以外のキャラクターには強い魅力を見出しにくい。アイデアは光っているのに、ドラマとしての奥行きがもう一歩届かなかった————そんな惜しさの残る一本であった。


評:蔵研人

 

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 

| | | コメント (0)

2026年8月21日 (金)

ミッション:インポッシブル デッドレコニング

Photo_20260821212301

★★★☆
製作:2023年 米国 上映時間:164分 監督:クリストファー・マッカリー

 高い岩山の断崖絶壁から、岩肌すれすれをかすめるようにバイクごと宙へ飛び出し、パラシュートで降下する。そのまま超高速で疾走する列車へと舞い戻り、窓を突き破って車内へ飛び込む。さらに、お決まりとも言える列車の屋根での死闘を経て、爆破された鉄橋から次々と転落してゆく車両の中を、宙吊りになりながら隣の車両へ渡ってゆく────。

 終盤およそ三十分にわたって展開される怒涛のアクションシーン。その圧倒的な迫力を前にすると、「この映画は、この場面のために存在している」と言い切っても、決して大げさではない。観客を息つく暇もなく追い立てる、シリーズ屈指の見せ場である。

 物語の軸となるのは、「二つの鍵」を巡る争奪戦と、その鍵が導く“目的”の正体を探ることである。やがて、それが人類すら支配し得る超高性能AIの制御に関わるものであることが示唆される。しかし、CIAのエージェント、謎めいた男ガブリエル、武器商人たちの思惑が複雑に交錯し、誰が真の敵なのか容易には見えてこない。とりわけ本シリーズを初めて観る観客にとっては、その人物関係や背景はやや把握しづらいかもしれない。

 さらに本作は、シリーズ初の二部作として構想されている。そのため物語は壮大なスケールを帯びる一方、アクションの過剰なまでの派手さによって、ドラマの輪郭がやや霞んでしまった印象も残る。だが、それもまた現代の大作映画が向かう、“映画”と“アトラクション”の境界が曖昧になってゆく時代の流れなのだろう。


評:蔵研人

 

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 

| | | コメント (0)

2026年8月19日 (水)

タイムシフト

たいむしふと

★★
製作:2020年 米国 上映時間:85分 監督:ジェイコブ・バーンズ

 B級作品であり、初めから評価が低いことは承知していた。もちろんその理由は、この作品が私の大好きなタイムトラベルものであるからだ。
 古びた納屋の奥には、ドラム缶を寄せ集めて作られた“タイムマシン”のような装置が鎮座している。最初の実験台は猫、次に亡くなった発明者の娘がその装置に身を委ねる。過去へと跳ぶと、そこには常に過去の自分が存在しており、強烈な痛みとともに体調が徐々に崩れていく。

 登場人物としては、父親、隣人、酒場の男、マッチングアプリの相手、会社の上司、図書館職員などが時折姿を見せる。しかし一部を除き、彼らは物語にほとんど関与せず、何のために登場しているのか判然としない。結局のところ、作品には明確な主張も物語の推進力もなく、ただ「タイムシフトすると身体に異変が起こる」という現象だけが繰り返されるにすぎなかった。


評:蔵研人

 

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 

| | | コメント (0)

2026年8月17日 (月)

豊臣秀長 ——ある補佐役の生涯——

Photo_20260817104901
著者:堺屋太一

 面白い、実に面白い一冊である。これまで十分に光が当てられてこなかった豊臣秀長という人物像が、堺屋太一の独自の視点によって立体的に浮かび上がる。本書は、秀吉の実弟・小一郎秀長の生涯を描いた歴史小説であるが、単なる史実の追認ではなく、現代の政治経済との比較を織り交ぜながら叙述されている点にこそ、堺屋作品ならではの価値がある。

 派手好みで外交手腕に長けた秀吉とは対照的に、秀長は地味で堅実、そして生涯「補佐役」に徹した人物であった。彼自身の功績を伝える記録が乏しいのも、あくまで兄を支える立場をわきまえ、黒子として振る舞ったゆえである。
 執筆当時、資料の少なさに悩んだ堺屋は、秀長ゆかりの地の郷土史家や史誌投稿者ら百余名に手紙を送り、最終的に大学研究員、高校教師、市史担当者など七名から意見を得たという。その丹念な取材姿勢が、作品の厚みを支えているのだろう。

 一般に組織の「ナンバー2」といえば、副社長や専務など、次期トップ候補か、トップになり損ねた同僚、あるいは参謀役を指す。しかし秀長の場合は、そうした権力欲とは無縁で、ただ秀吉の補佐役としての「分」を守り続けた。
 戦場では交渉役や殿(しんがり)、囮といった誰もが嫌がる役目を淡々とこなし、組織運営では秀吉の手が届かぬ仲裁や雑務を引き受けた。優秀な部下に恵まれなかった秀吉が天下取りへと駆け上がれたのは、実弟・秀長の存在があったからこそだと、改めて思わされる。さらに言えば、享年五十二の人生があと十年延びていれば、豊臣家が家康に滅ぼされることもなかったかもしれない。

 2026年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟』では、秀吉よりも秀長を主役として描いている。お市の描き方など脚色は多いものの、物語の大筋や秀長の行動については、1985年刊行の本書と驚くほど近い。公式には原作とされていないものの、相当程度参考にしたのではないかと感じられた。

評:蔵研人

 

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 

| | | コメント (0)

2026年8月16日 (日)

動物界

Photo_20260816195801

★★★☆
製作:2024年 フランス 上映時間:128分 監督:トマ・カイエ

 狼へと変貌する“狼男”の物語は古今東西くり返し映画化されてきた。しかし本作『動物界』では、人間は特定の獣に限らず、鳥や昆虫など多様な生き物へと変異してゆく。しかもその変化は突発的ではなく、静かに、しかし確実に肉体を侵食し、一度“新生物”となれば二度と人間には戻れない。

 そうした意味で、本作は従来の変身譚とは一線を画している。単なる異形の恐怖ではなく、変貌してゆく少年の揺れる心を真正面から描き出している点が、何より印象深い。

 舞台は近未来。原因不明の突然変異によって、人間の身体が徐々に動物化してゆく奇病が世界中に蔓延していた。変異した者たちの中には凶暴性を帯びる者もおり、彼ら“新生物”は強制的に隔離施設へと収容されている。そしてフランソワの妻ラナもまた、そのひとりだった。

 ある日、“新生物”を移送する車両が事故を起こし、彼らは森へと逃亡する。行方不明となったラナを捜すため、フランソワは16歳の息子エミールとともに奔走する。だがその最中、今度はエミール自身の身体にも異変が現れ始めるのだった。

 エミールを演じた ポール・キルシェ は実に素晴らしい。動物化という異様な設定を借りながら、思春期特有の孤独や不安、そして自己の輪郭が崩れてゆく恐怖を繊細に演じ切っている。また父フランソワを演じた ロマン・デュリス も秀逸だ。単に口うるさく頑固な父親ではなく、不器用ながらも妻と息子を深く愛する男として存在しており、終盤のある決断の場面には胸を強く締めつけられた。

 本作が問いかけているのは、人間と異なる存在は果たして排除されるべきなのか、それとも共存への道はあり得るのか、という問題だろう。そして同時に、変わりゆく家族を、それでもなお愛し続けられるのかという普遍的なテーマでもある。

 異形の幻想と家族のドラマ、さらには社会的寓話をここまで自然に融合させたSF映画は稀有だ。静かな森の気配のなかで、人間という存在そのものが揺らいでゆく────その独創的な切り口には、ただ感嘆するほかない。


評:蔵研人

 

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 

| | | コメント (0)

2026年8月13日 (木)

28年後...

Photo_20260813141001

★★★☆

製作:2025年 英国 上映時間:115分 監督:ダニー・ボイル

『28日後…』『28週後…』に続く最新作であり、監督は第一作を手がけたダニー・ボイルが再び戻ってきた。もっとも、続編とはいえ三部作の間に登場人物の直接的な継承はなく、ただ“感染によって英国、ひいては世界が崩壊していく”という大きな流れだけが静かに連なっている。

“28”という数字に深い意味があるわけではない。ただ、30日では整いすぎてしまうところを、28日という微妙なズレが不気味さと現実味を帯びさせ、結果として語感の良さもシリーズのブランド化に寄与しているのだろう。

 本作は、英国本土が壊滅した後、生き延びた英国民が近隣の小島で細々と暮らしている場面から幕を開ける。ある日、ジェイミーは12歳の息子スパイクを連れ、本土へ渡る。それは大人になるための通過儀礼であった。
 スパイクは“スローロー”と呼ばれる鈍重な感染者を弓で仕留めるが、凶暴な“アルファ”が姿を現し、二人は追い詰められる。死に物狂いで海を渡り、なんとか島へと帰還するのだった。

 その後、南西の地に“狂気に囚われた医師”が住むという噂を耳にしたスパイクは、母アイラの病を癒せるのはその医師かもしれないと信じ、危険な旅へと踏み出す。

 ここまでは、息を呑む緊迫感と、荒廃した本土の壮大な風景が相まって、見どころに満ちた作品であった。しかし医師が登場するあたりから、物語はホラーというより宗教的な色彩を帯び始める。“頭蓋骨の巨大な塔”といった神秘的なイメージが凍りつくように立ち現れ、このまま進めば崇高な寓話へと昇華したかもしれない。だが、突如として“仮面ライダー”的とも言える唐突な展開で幕を閉じ、続編を匂わせる終わり方を迎える。

 監督は一体何を語ろうとしたのか。物語の粗さや納得しがたい展開が多く、意図を掴むには続編を待つほかないのかもしれない。

評:蔵研人

 

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 

| | | コメント (0)

2026年8月11日 (火)

28週後...

28

★★★☆
製作:2008年 英国 上映時間:104分 監督:ファン・カルロス・フレスナディージョ

 本作は、2002年のサバイバルスリラー『28日後…』の続編である。
 新種ウイルス〈RAGE(レイジ)〉の蔓延によって壊滅したロンドン。発生から28週が経ち、ようやく街の再建が始まろうとしていた頃、スペイン旅行で難を逃れた姉弟タミーとアンディが帰国し、軍の管理下に置かれた保護区域で父ドンと再会する。

 母の死を知らされた二人は、遺品を取りに行くため保護区域を抜け出し自宅へ向かうが、そこで待っていたのは“死んだはずの”母アリスだった。救出されたアリスは検査の結果、感染しても発症しないキャリアであることが判明する。しかし、ウイルスを保持していることに変わりはなく、面会に訪れたドンが感染したことで、沈静化していたロンドンは再び恐怖の渦へと飲み込まれていく。

 前作同様、感染者たちの動きは凄まじく速い。ゆっくり歩くゾンビ像に慣れた観客にとって、その異様な俊敏さは受け入れがたいものがある。「彼らはゾンビではなく感染者だ」と説明されても、病人があれほど活発に動き回る姿にはどうしても違和感が残る。逃走シーンの疾走ぶりは、まるで『ミッション:インポッシブル』の“トム走り”を彷彿とさせ、ホラーというよりアクション映画へと変貌してしまった印象すらある。

 せっかく再建の兆しを見せていたロンドンが再び崩壊したのは、二人の子どもが規則を破り、軽率な行動を取ったことが原因である。そして皮肉なことに、生き残るのはその二人だけだという結末が待っている。残念だが観終えた後には、どうにも割り切れない不快感が残る作品であった。

評:蔵研人

 

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 

| | | コメント (0)

2026年8月 9日 (日)

アナザー・ワールド 異次元の怪物

Photo_20260809180901

★★☆
製作:2020年 ロシア 上映時間:96分 監督:スビヤトスラフ・ポドガイエフスキー

 生まれたばかりの赤ん坊ヴァーリヤの世話のため、アレクセイ一家はタチアナというどこか不穏な気配を漂わせるベビーシッターを雇う。だが、いつしか彼女とヴァーリヤは忽然と姿を消してしまう。息子イゴールは両親に必死に訴えるものの、なぜか彼らの記憶からはヴァーリヤの存在そのものが抜け落ちていた。

 やむなくイゴールは友人たちとともに、深い森へと分け入り、妹の行方を追う。やがて森の奥で見つけた古びた家────そこは、異次元へと通じる入口だった。ヴァーリヤはきっとその向こうに連れ去られたに違いない。そう確信した彼らは、未知の世界へと足を踏み入れるのだが……。

 序盤は謎めいた導入が興味を引き、物語への期待を抱かせる。しかし、現れる怪物たちには恐怖の実感が乏しく、なぜ赤ん坊がその世界へ連れ去られたのかという根本的な動機も明確には語られない。あるいはこれは、亡き母を忘れられないイゴールの内面が生み出した心象風景なのかもしれないが、その解釈も十分に掘り下げられているとは言い難い。

 登場人物は限られ、舞台も同じ場所を巡るばかりで、物語は奥行きを欠いたまま進んでいく。結果として、全体に重みや余韻が乏しく、どこか満たされない感覚が残る。ロシア映画にしばしば見られる幻想性と寓意性の片鱗は感じられるものの、本作においてはそれが十分に結実しているとは言い難く、あと一歩の深みが欲しいところであった。


評:蔵研人

 

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 

 

| | | コメント (0)

2026年8月 7日 (金)

ワーキングマン

Photo_20260807103601

★★★☆
製作:2026年 米国 上映時間:116分 監督:デビッド・エアー

 元特殊部隊員のレヴォン・ケイド(ジェイソン・ステイサム)は、危険と隣り合わせの世界から身を引き、建築現場の監督として静かな日々を送っていた。だがある日、恩人でもある上司の娘ジェニーが忽然と姿を消す。彼女はロシア系の巨大な人身売買組織に拉致されていたのだ。
 レヴォンは封印していた特殊部隊時代の技を解き放ち、建設現場で使い慣れた工具から軍用火器までを手に、たったひとりで犯罪組織へと立ち向かっていく。

 物語は、ステイサム作品ではおなじみの“孤高の男の逆襲劇”であり、前年に製作された『ビーキーパー』と職業設定こそ異なるものの、基本的な構図はほとんど同じだ。それもそのはず、両作とも監督はデビッド・エアーである。
 ただ本作では、主人公が敵を一切ためらわずに殺害し、人質を盾にされても一瞬の隙を逃さず射撃で仕留めるなど、まるで殺人マシンのようなアクションが続く。その徹底ぶりが、観客に妙な安心感とカタルシスをもたらしてくれるのだ。

 それにしても、60歳を目前にしながら、米国人としては小柄な体格にもかかわらず、不死身のタフガイを演じ続けるジェイソン・ステイサムには頭が下がる。彼の魅力は筋肉よりも、あの鋭い“強面”に宿るのだろう。そう考えると、半世紀前に同じく強面で観客を魅了したチャールズ・ブロンソンと、どこか通じるものがあるように思えてならない。


評:蔵研人

 

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 

 

| | | コメント (0)

2026年8月 5日 (水)

2300年から来た男

2300

★★
製作:2022年 米国 上映時間:117分 監督:リシェラー・アラディン

 本作でメガホンを取ったリシェラー・アラディンは、これが唯一の監督作品であるという。経歴の詳細は不明だが、その仕上がりを見る限り、経験の乏しさを疑われても致し方ない出来と言わざるを得ない。

 物語は、2300年からある使命を帯びて2023年へとやって来た男アシュトンを中心に展開する。彼はネット上で「謎の預言者」として活動を始め、近未来に起こる出来事を次々と的中させていく。その結果、人々の関心を集め、やがてマスコミも巻き込んで騒動は広がっていく。

 導入部の流れ自体は決して悪くない。むしろ、発想としては興味をそそられるものがある。しかし、その後の警察の対応や物語の展開はどこか噛み合わず、観る者を作品世界へと引き込む力に欠けている。

 また、本作は低予算SFの典型とも言える作りで、未来の描写はほとんど省略され、会話によって説明が補われるばかりだ。その結果、肝心の「未来で何が起きたのか」「なぜ過去に来たのか」「どうすれば世界を救えるのか」といった核心が曖昧なまま残され、物語は終始輪郭を結ばない。

 脚本の奥行きは浅く、視覚的な見どころにも乏しい中で、約2時間という上映時間はかなり長く感じられる。興味深い設定を持ちながら、それを十分に活かしきれなかった点が惜しまれる一本である。

評:蔵研人

 

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 

| | | コメント (0)

2026年8月 2日 (日)

ザ・レイク

Photo_20260802180901

★★☆
製作:1960年 タイ・豪州 上映時間:104分 監督:リー・トーンカム

 珍しいタイ産の怪獣映画である。湖畔に放置されていた巨大な卵を拾い帰る少女。しかし姉に諭され、元の場所へ戻しに行くことになる。やがて少女の帰りが遅いことを案じた姉と兄が湖へ向かうと、その静寂を切り裂くように怪獣が姿を現し、彼らに襲いかかる。

 序盤は、不穏な気配をじわじわと滲ませる演出が印象的である。半魚人とエイリアンを掛け合わせたかのような怪獣の造形も一定の完成度を備えており、物語の行方に期待を抱かせる導入であった。

 しかし中盤以降、その緊張は不意に弛緩してしまう。怪獣も人々もどこか緩慢な動きを見せ、あたかもスローモーションの映像を眺めているかのようで、切迫した恐怖が伝わってこない。さらに終盤では仏教的な説話が唐突に前面へ現れ、物語は統一感を欠いたまま散漫に終息へと向かう。

 怪獣と特定の人間の心がリンクする意味、怪獣出現の理由、少女が助かった経緯、そしてあの巨大な卵の行方などなど、提示された数々の謎は、ついに十分な解答を与えられることなく宙に浮いたままである。そのため、作品全体にどこか釈然としない後味が残る。

 本作は果たして、純然たるモンスターパニックとして構想されたのか、それとも宗教的寓意を帯びた物語を志向していたのか。その輪郭は最後まで明確にはならず、むしろ両者の狭間で揺れ動いた痕跡こそが、本作の最も印象的な特徴と言えるのかもしれない。

評:蔵研人

 

下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

 

| | | コメント (0)

« 2026年7月 | トップページ | 2026年9月 »