Ms.パニッシャー
★★
製作:2019年 米国 上映時間:70分 監督:サム・ファーマー
“最強熟女の血が燃えたぎる鮮血のバイオレンス・アクション!”強奪者から愛する娘と大切な家を守る為、女は最強のパニッシャーとなる!
────そんな刺激的な宣伝文句に惹かれて本作を手に取ったのだが、実際には、気が強く頑固なおばちゃんがショットガン片手に若者三人と対峙するだけの、こぢんまりとした物語であった。舞台は彼女の家の周辺に限られ、登場人物も十名ほど。ストーリー性も薄く、典型的な低予算アクションの趣が強い。
主人公マーシャは、小さな田舎町で独り暮らしをする元女性警官。夫に先立たれ、娘とも別々に暮らしている。ある日、彼女の家を強引に奪おうとする三人の若者が現れ、刃物で脅しながら翌夜までに家を売れと迫る。
助けを求めて地元の保安官補に相談するも、若者たちと通じているのか取り合ってもらえない。誰にも頼れないと悟ったマーシャは、愛する家を守るため、自ら立ち向かう決意を固める。
その夜、若者たちが家に侵入し、偶然訪ねてきた娘を人質に取ってしまう。しかし、かつて修羅場をくぐり抜けてきたマーシャは、簡単には屈しない。娘と家を守るため、静かな田舎の夜に小さな戦いが始まる。
だが本作には、物語を支えるべき“真面目さ”がどこか欠けている。元女性警官という設定も、家を奪おうとする若者たちの動機も、深く掘り下げられることなく表層を滑っていく。
そのため登場人物たちの行動は、物語の必然ではなく、ただ脚本の都合に押し出されているように見えてしまう。せっかくの緊迫した状況も、薄く引き延ばされた会話と単調な展開の中で力を失い、物語としての重みを感じる前に終幕を迎えてしまった。
ポスターからは、もっと大人数を相手にした派手なアクションを期待していたのだが、実際の戦闘シーンは会話が多く、テンポが悪いため緊張感が削がれてしまう。通常なら10分ほどで収まる場面を、何度も引き延ばして一本の作品に仕立てたような印象が拭えない。爽快感を求めて観たはずが、むしろじわじわと苛立ちが募り、観終えた後にはわずかな後味の悪さが残ってしまったのが悔しい。
評:蔵研人
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