ウルフマン
★★☆
製作:2025年 米国 上映時間:103分 監督:リー・ワネル
ウルフマンを直訳すれば「狼男」である。吸血鬼と並び、古典怪物の双璧として幾度も映画化されてきた存在だ。1941年の『狼男』がその源流とされるが、本作はそのリブートを名乗りながら、満月の魔性も、銀の弾丸という神話の残響も捨て去っている。ここで描かれるのは、変身ではなく“感染”であり、狂犬病のように一度罹れば戻れないという、あまりに俗世的で乾いた設定だ。
確かに現代的な再解釈としては理解できる。しかし、その結果生まれたのは、狼男の神秘を剥ぎ取り、ゾンビ映画と見分けがつかない凡庸なモンスターパニックである。観客が期待する「狼男」という神話的存在は影も形もなく、ただの“異物”がそこに置かれているだけだ。
さらに致命的なのは、終盤まで画面が薄闇に沈み、何が起きているのか判然としないことだ。狼男はほとんど姿を見せず、正体が露わになってからも、田舎の一軒家の周囲で追いかけっこに終始するだけ。また登場人物の心理は掘り下げられず、物語の奥行きも生まれない。恐怖ではなく、ただの“空虚”が漂うばかりである。
思えば、2010年にベニチオ・デル・トロとアンソニー・ホプキンスが主演した『ウルフマン』は、古典への敬意と現代性の融合が見事だった。それと比べれば、本作はなぜ今この時代に創られたのか、その存在理由すら見いだせない。日本で劇場公開されなかったという事実も、むしろ当然の帰結のように思えてくる。
評:蔵研人
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