DEAD OR ZOMBIE ゾンビが発生しようとも、ボクたちは自己評価を変えない
★★★☆
製作:2022年 日本 上映時間:42分 監督:佐藤智也
ゾンビが蔓延した世界で、ゾンビ化した家族と共に暮らす引きこもりの女子高生を描いた、静謐(せいひつ)なヒューマンドラマである。短編かつ低予算のB級映画でありながら、「ゾンビになっても家族の絆は失われない」という奇妙に温かい視点が、作品全体に淡い光を灯している。外見はホラーの皮をまといながらも、その内側には少女の心の葛藤と、かすかに残る家族への愛情が脈打っている。
舞台となるのは、感染拡大を防ぐために外界から切り離された地方都市。女子高生・早希は、ゾンビとなった家族を見捨てることができず、ひとり隔離区域に残って暮らしている。
かつて不登校で、家族との関係もぎこちなかった彼女にとって、この異常な日常は、むしろ“初めて家族と向き合う時間”として訪れたのかもしれない。
人影の消えた町を満たす静けさは、まるで早朝の冷たい空気をそのまま閉じ込めたようで、画面に漂う寂寥感は、早希の孤独と奇妙に呼応している。
低予算ながら、ゾンビの特殊メイクには確かな迫力が宿る。それもそのはず、日本の特殊メイク界を牽引してきた江川悦子が手がけているのだ。
本作は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020でグランプリを受賞した日中韓合作映画『湖底の空』の佐藤智也監督が、同映画祭からの支援金を受けて制作したものである。
わずか42分の物語でありながら、そこには“終末”と“家族”という相反する気配が静かに同居し、観る者に奇妙な余韻を残す作品であった。
評:蔵研人
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