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2026年6月16日 (火)

ザ・ミスト

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★★★☆
製作:2017年 フランス 上映時間:89分 監督:ダニエル・ロビィ

 本作は、あのスティーヴン・キング原作の『ミスト』とは無関係である。これはまったく別物の、フランス製のSF風味を帯びた社会風刺ドラマだ。

 自己免疫疾患を抱える娘サラの治療法を探し続けるマチューは、定職に就けず、なぜか妻アナと娘が暮らすパリのアパートの向かいに一人で住んでいる。彼は折に触れて娘の様子を見に訪れるのだ。
 12歳になるサラは、生まれてから一度も外に出たことがなく、病のためカプセルの中で育てられている。アナは在宅で教師の仕事をしながら、閉ざされた空間で暮らす娘を献身的に看病している。

 そんなある日、街を揺るがす大地震が起こり、パリ中が濃い霧に包まれてしまう。この霧は有毒で、人々は次々と倒れていく。マチューとアナは、とりあえずサラのカプセルだけは安全だと判断し、最上階に住む老夫婦の部屋へ避難する。

 しかし霧はいっこうに晴れず、街は急速に死の静寂へと沈んでいく。このままではサラのカプセルも危険だと考えた二人は、救助隊から受け取った酸素マスクを頼りに、サラを外へ連れ出すための特別スーツを探しに街に出る。だが途中で凶暴な犬に襲われ、酸素マスクを壊されてしまう。

 霧はいつ晴れるのか。この霧の正体とは何なのか。酸素マスクなしでスーツを持ち帰ることはできるのか。サラや老夫婦は救われるのか。さまざまな疑念と不安が胸をよぎる。ネット上の評価は芳しくなかったが、実際にはなかなか興味深い作品ではないか────。

 ただ、街に死体を含めほとんど人影がないこと、そしてなぜあの犬が生き延びたのか、……といった細かいことが気になってしまう。また、物語の多くが解明されないまま、ラストのどんでん返しで唐突に幕を閉じる点も賛否を分けるだろう。
 SFなのか、家族ドラマなのか、サバイバルものなのかと考えたが、むしろこれは皮肉を込めた社会風刺劇として観るべき作品なのかもしれない。

 

評:蔵研人

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