あなたが誰かを殺した
★★★☆
著者:東野圭吾
閑静な別荘地で起きたセレブ殺人事件を、名探偵・加賀恭一郎が解き明かす本作は、「加賀恭一郎シリーズ」第12作にあたる。
毎年別荘で開かれる「バーベキュー大会」に集うのは、会計士の栗原家、医者の櫻木家、未亡人の山之内家、そして会社経営者の高塚家の四家であり、参加人数はその家族や使用人たち15名である。そして当日に、この中の5名が何者かに命を奪われる。
本作は犯人探しを軸としたミステリーであるが、犯人は桧川大志という男で、自首同然に逮捕される。桧川は「死刑になりたい」という願望と、「自分を蔑ろにした家族への復讐」を動機として主張する。しかし、事件にはなお多くの不可解な点が残されていた。
なぜ桧川は、遠く離れた別荘地を犯行現場に選んだのか
なぜ栗原夫妻が車庫にいることを察知できたのか
なぜ桧川は、高塚桂子が屋内で一人きりであることを知っていたのか
逮捕されるつもりでありながら、一部の防犯カメラを無効化した理由は何か
高塚桂子殺害や的場雅也刺傷に使ったナイフは、どこへ消えたのか
これらの謎を解明するため、生き残った家族たちは検証会を開き、これに偶然休暇中の加賀恭一郎も参加することになる。加賀は巧みな議論と精緻な推理を重ね、やがて事件の背後に潜む共犯者の存在を明らかにしてゆく。
舞台や登場人物が特定され「犯人探し」を議論中心で進む構造は、通常ならかなり退屈に陥りかねない。しかし、ベテラン作家・東野圭吾の手腕により、読者はラストまで緊張感を保ちながらページをめくることができた。また口絵に描かれた別荘周辺の地図も、複雑な人間関係や犯行現場の把握に大いに役立つ。
ただ、タイトル『あなたが誰かを殺した』だけは、物語の内容とやや距離があるように感じられ、この点には違和感が残った。
評:蔵研人
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