イノセンツ
★★★☆
製作:2021年 ノルウェー他・北欧合作 上映時間:117分 監督:エスキル・フォクト
超能力に目覚めた4人の子どもたちを描いた物語である。
舞台はノルウェー郊外の住宅団地。夏休みのあいだに友だちになった四人の子どもたちは、親の目が届かない場所で、ひそかに自分たちの内に潜んでいた力に気づき始める。近所の林や遊び場でその力を試すうち、無邪気な遊びは次第に危険な領域へと踏み込んでいく。
物語の最初の異常は、猫を団地の最上階から投げ落とし、瀕死の猫の頭を踏み潰すという、背筋の凍るような描写で幕を開ける。四人の中でもベンという少年だけが突出して暴力的で、やがて超能力を使って他者を操り、間接的に殺人へと手を染めてしまう。
これほどの異常事態が起きているにもかかわらず、子どもたちは大人に助けを求めようとしない。信じてもらえないと感じているのか、自分たちにも責任があるとどこかで悟っているのか。その沈黙がベンの暴走を加速させてしまうのだが、同時に彼らは「自分たちで終わらせなければならない」と幼いながらも考えているように見える。
主人公は最年少のアイダ。彼女は、自閉症をもつ姉アンナに両親の関心が向くたび、抑えきれない嫉妬を抱いていた。しかし、同じ団地に住むアジア系の少女アイシャのテレパシーによって、アンナの内に眠っていた能力は徐々に研ぎ澄まされていく。そして、暴力に溺れるベンを止められるのは、もはやアンナだけとなる。
四人の子どもたちはそれぞれに強烈な個性を放っているが、とりわけアイダとアンナの姉妹の演技は圧巻であり、本作の魅力の大半を担っていると言っても過言ではない。
本作はノルウェーのアカデミー賞と称されるアマンダ賞で4冠を獲得し、世界各地の映画祭でも16の賞を受賞した。観客を絶賛と衝撃の渦に巻き込んだ問題作であり、まさに“子どもたちだけが創り出す無垢な恐怖”が息づいている。
評:蔵研人
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