0.5の男
★★★★
2023年製作 日本のTVドラマ
引きこもり生活を続ける雅治は、気づけば40歳。そんな折、両親と妹家族との同居が始まってしまう。これを二世帯ではなく「二・五世帯」と呼ぶのは、独身の雅治が“0.5”として扱われるからだ。彼の居場所は玄関脇の小さな部屋と決まり、そこでゲームに没頭する日々が続く。
当初は妹家族との接触すら避けていた雅治だが、保育園に通う甥に懐かれるうち、少しずつ心の扉が開いていく。
引きこもりに限らず、結婚しない(できない)若者が増える現代において、このテーマは決して他人事ではない。さらに妹夫婦の娘は思春期の中学生で、転校を機に不登校に陥ってしまう。現代家族が抱える複雑な悩みが、物語に自然に織り込まれている点も見逃せない。
雅治が引きこもるきっかけは、会社で受けた上司のパワハラだった。素直で優しい性格が裏目に出てしまったのだろう。しかしその優しさこそが、子どもたちに好かれ、保育士にも好感を持たれる理由でもある。そして甥と担当保育士とのやり取りは、作品にほのぼのとした温度を添えている。
主役の雅治を演じた松田龍平は、まさに適役と言うほかない。セリフは少ないものの、伏し目がちな視線や、わずかに丸めた背中で心情を語る演技は見事だった。
母親役の風吹ジュンは、かつての日本の母親像を思わせる包容力を漂わせ、思わず胸が熱くなる。木場勝己演じる父親も、当初はランニングと囲碁だけの自己中心的な頑固親父に見えたが、物語が進むにつれ、深い思いやりを秘めた人物として立ち上がってくる。さらに子役たちの自然な演技にも、いつもながら感心させられた。
本作は、個人主義が進む現代社会において、家族という最小単位のつながりを優しく、丁寧に描き出している。だからこそ、人と人との関わりの大切さが静かに胸に残る。ただ、時間配分の都合か、終盤で一気に物語が収束し、やや駆け足でハッピーエンドに落ち着いてしまった点だけが惜しまれる。
評:蔵研人
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