DOGMAN ドッグマン
★★★★
製作:2024年 米国 上映時間:114分 監督:リュック・ベッソン
ある夜のこと、1台のトラックが警察に停車を命じられる。運転席には負傷した女装の男性、荷台には十数匹の犬。拘留されたその男は「ドッグマン」と呼ばれ、事情聴取に訪れた女性精神科医に、自らの半生を静かに語り始める。物語は彼の告白を辿るように、過去へと遡りながら進んでいく。
なぜ彼が“ドッグマン”と呼ばれるのか。その答えは、救いのない少年時代に潜んでいる。父親に犬小屋に押し込められ、暴力に晒されて育った少年。
犬たちの存在に支えられながら成長し、恋を知り、社会に馴染もうとするも、人間の裏切りによって深く傷ついていく。だからこそ彼は人間を信じられず、犬にだけ愛情と信頼を注ぐようになったのだ。
悲壮感と狂気が漂う雰囲気は『ジョーカー』を思わせるが、あちらほど重苦しくはなく、わずかながら救いの光が差しているようにも感じられる。
犬たちを使った盗みや殺しの場面は、タイトルを体現するアクションとして興味深いが、何より印象に残ったのは、車椅子を降りて舞台で歌うシャンソンのシーンである。さらに、エンドロールに流れる主題歌も心地よく、席を立つのが惜しくなるほどだ。
いずれにせよ、本作はドッグマンを演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズの存在感と役者魂に尽きると言ってよい。「ニトラム」や「ゲット・アウト」など、彼の他の出演作もぜひ鑑賞してみたくなってしまった。
評:蔵研人
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