ラブ・アンド・タイムトラベル
★★★☆
製作:2016年 ニュージーランド 上映時間:92分 監督:ヘイデン・J・ウェアル
珍しいニュージーランド製の映画である。タイトルに掲げられた「タイムトラベル」という言葉に惹かれ、軽い気持ちで鑑賞したのだが、いわゆるタイムマシンが登場するわけでも、時空を自在に行き来する描写があるわけでもない。そのため、観賞中はその意味が掴めず、どこか腑に落ちない感覚が続いた。
しかし物語の後半になって、主人公自身が五日前の自分に向けてメッセージを残していたことが明かされる。その瞬間、これまで曖昧だった出来事の輪郭が静かに結び直されていく。
本作の核心は、文字通りの「時間移動」ではなく、時間を隔てた因果の連なりにあるのだろう。「タイムトラベル」という言葉は、その構造を象徴するメタファーに過ぎず、物語の中心に据えられているのは、恋愛と人間関係の微妙な揺らぎである。
中盤までは明確な方向性が見えないまま物語が進むが、その間にも、ニュージーランドの美しい風景には何度も心を奪われる。また、淡々としていながら突如として激しさを見せる主人公の振る舞いも印象的で、気づけば終盤へと導かれていた。
一般的な評価は決して高くないようだが、静かに観る者の内側へ入り込んでくる、不思議な魅力を備えた作品である。派手さはないが、ふとした拍子に思い出される──そんな「掘り出し物」と呼ぶにふさわしい一本かもしれない。
評:蔵研人
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