獣兵衛忍風帖
★★★☆
製作:1993年 日本 上映時間:92分 監督:川尻善昭
本作は、『妖獣都市』や『バンパイアハンターD』で名を馳せた川尻善昭が、原作・脚本・監督の全てを手がけた時代劇アニメである。妖艶さと残酷さを併せ持つ川尻作品らしく、エロティックかつグロテスクな描写も多い。ゆえに、子供向けの娯楽と考えるべきではなく、大人のためのダーク・エンターテインメントといった趣がある。
物語の舞台は江戸時代前期。望月藩の忍び衆が、下田村に広がる謎の疫病を探るべく密命を帯びて、村に潜入するところから幕を開ける。しかし彼らは、正体不明の忍び軍団『鬼門八人衆』の襲撃に遭い、ただ一人生き残ったくノ一・陽炎を残して全滅してしまう。
死の淵に追い詰められた陽炎を救ったのは、「はぐれ忍」として各地を渡り歩く牙神獣兵衛であった。そのため獣兵衛自身も鬼門八人衆に狙われる身となり、公儀隠密の濁庵、そして恩義ある陽炎とともに、巨大な陰謀へと否応なく巻き込まれてゆく。
敵方である鬼門八人衆は、鋼のような皮膚を持つ者、影の中に自在に溶け込む者、無数のスズメ蜂を操る者、斬られてもなお甦る者など、異能の術を身に宿している。その姿は、まるで山田風太郎の忍法帖や、白土三平・横山光輝らが描いた忍者活劇をアニメの文脈で再構築したかのようで、往年の作品に心を躍らせてきた者なら、否応なく胸の高鳴りを覚えるだろう。
なお、2003年には続編となるテレビアニメシリーズ『獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇』が放送されている。さらに川尻自身によるスピンオフ『獣兵衛忍風帖BURST』も制作され、世界はより広がりを見せた。機会があれば、これらの作品にも触れ、獣兵衛の歩んだ軌跡を辿ってみたいものである。
評:蔵研人
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