007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
★★★★
製作:2021年 米国 上映時間:164分 監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
長い————とにかく長い。007シリーズ史上最長の上映時間である。それにもかかわらず、不思議と間延びした印象はなく、退屈感も湧かない。さすがは世界的フランチャイズ007、堂々たる貫禄である。
本作は、2006年に始まった“ダニエル・クレイグ版007”の5作目にして最終作だ。主演のダニエル・クレイグ自身も50代に入り(公開当時53歳)、そしてスクリーンの中でも、ジェームズ・ボンドはついに死を迎える。だが、それで007シリーズが終わるわけではない。
エンドロールに刻まれた “JAMES BOND WILL RETURN” の文字が、その未来を静かに保証していた。おそらく次回作では若い俳優が新たなボンド像を担い、新シリーズが始まるのだろう。
タイトル『ノー・タイム・トゥ・ダイ(NO TIME TO DIE)』を直訳すれば「死ぬ時間はない」となる。この言葉には、「世界と愛する者を守り抜くまでは死ねない」というボンドの不屈の意志が宿っているように思える。裏返せば、「守るべきものを守りきったとき、初めて死が訪れる」という宿命の響きも帯びているのだろう。
久しぶりに鑑賞した007であったが、ボンド役としてのクレイグの渋味はいよいよ深まり、カーチェイスの迫力も健在であった。ただ、年齢を重ねたせいか、アクションの切れ味はかつてより控えめに感じられた。それゆえにこそ、彼にとってこれが最終作となったことも納得できるのかもしれない。
物語の詳細についてはあえて触れないが、次なるボンドがどのようにシリーズの未来を切り開くのか、期待して待ちたい。
評:蔵研人
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