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2026年1月の記事

2026年1月31日 (土)

シャザム! 神々の怒り

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★★★☆
製作:2023年 米国 上映時間:130分 監督:デビッド・F・サンドバーグ

 DCコミックスに登場するスーパーヒーローを主人公にした実写映画の続編である。普段は少年の姿だが、「SHAZAM!(シャザム)」と叫ぶことでたちまち逞しい成人の姿へと変身!、あの痛快な設定は今作でも健在だ。

 今回は復讐に燃える神アトラスの三姉妹が敵として立ちふさがり、物語は前作よりも壮大なスケールへと拡張されている。しかし、これは続編の宿命というべきか——規模は大きくなったものの、初作で味わったあの新鮮な驚きと感動がやや薄まってしまった印象は否めない。

 とはいえ、アトラスの娘を演じたヘレン・ミレンとルーシー・リューという実力派女優の存在感は圧倒的で、物語に重厚さと華やかさを与えていた。結局のところ、映画は俳優で決まるのだと改めて感じさせられる。

 またクライマックスのドラゴンとの戦いは迫力満点で、ラストにワンダーウーマンが姿を見せる演出も遊び心にあふれている。軽快なノリを楽しみたい観客には、十分お勧めできる一本であろう。

評:蔵研人

 

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2026年1月29日 (木)

ザ・フラッシュ

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★★★☆
製作:2023年 米国 上映時間:144分 監督:アンディ・ムスキエティ

 亜光速の超スピードによって自らを“タイムマシン”と化し、過去へと飛んだフラッシュ。彼は亡き母を救い、無実の罪で逮捕された父を助けるため、禁断の「過去改変」に手を染めてしまう。

 その代償として時空は大きく歪み、世界は奇妙な姿へと変貌する。バットマンは老境に達し、ワンダーウーマンもアクアマンも存在せず、本来いるはずのスーパーマンの代わりにスーパーガールが空を翔ける。そして、かつてスーパーマンの宿敵であったゾッド将軍が現れ、地球は再び壊滅の危機へと追い込まれる。

 スーパーガールは可憐でありながら冷静沈着、その立ち姿はまさに凛とした強さを感じさせる。また、伝説的存在であるマイケル・キートンが約30年ぶりにバットマンとして帰還したことは、往年のファンにとっては胸が熱くなる瞬間だ。一方で、フラッシュがややコミカルに描かれすぎている点や、ラストのオチが軽妙に寄りすぎている点は、もう少し抑えてもよかったのでは、と感じさせる部分もある。

 いずれにせよ、タイムトラベルものはつくづく難しい。自由度の高さゆえに物語の可能性は無限に広がるが、一歩誤れば「荒唐無稽な話」として終わってしまう危うさを孕む。だからこそ、このジャンルは常に魅力とリスクが隣り合わせなのだ。


評:蔵研人

 

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2026年1月27日 (火)

クレイヴン・ザ・ハンター

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★★★☆
製作:2024年 米国 上映時間:127分 監督:J・C・チャンダー

「レジェンド」と呼ばれるライオンに襲われ、瀕死の重傷を負ったセルゲイは、その血を浴びながら倒れこむ。たまたまタンザニアの祖母を訪ねていた少女カリプソは、祖母から授かった“あらゆる傷を癒す秘薬”を彼に飲ませ、命をつなぎとめる。

 病院に運ばれたセルゲイは一度は死亡宣告を受けるものの、三分後に奇跡的な復活を果たし、超人的な能力を得て覚醒する。動物の力と同化するような変貌は、スパイダーマンやモービウスを想起させるが、それもそのはず、彼らはいずれもマーベルコミック出身のキャラクターだからである。

 ことにCGで描写された動物たちとのアクションは完成度が高く、迫力に満ちている。クライマックスでのヴィラン「ライノ」との格闘も見応え十分だ。
 今やマーベル映画にとってCGは欠かせない技術となったが、ただあまりCGばかりに頼り過ぎると観客に飽きられかねない。だからこそ、今後は映像の派手さだけでなく、物語そのものの深みや展開にもいっそう心を配るべきだろう。

評:蔵研人

 

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2026年1月25日 (日)

モービウス

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★★★☆
製作:2022年 米国 上映時間:104分 監督:ダニエル・エスピノーサ

 スパイダーマンの敵役として知られるマーベルコミックのキャラクターを主人公に据え、その宿命を描いたダークアクション作品である。

 幼いころから血液の難病に苦しんできた天才医師モービウスは、吸血コウモリの血清を自らに投与する禁断の治療法によって病の克服を試みる。実験は成功し、彼の肉体は超人的な力を備えた新たな存在へと変貌する。しかしその代償として、彼は吸血鬼のように血液を渇望する運命を背負うことになる。

 超速度での移動、空を翔る力、周囲の気配を読み取るレーダー感覚、そして破壊的な腕力??。まさに、さまざまなヒーローの力を一身に集めたかのような“究極のコウモリ人間”であり、そのアクションはバットマンすらも凌駕するかのようだ。

 これほどの能力を持つ超人を描く以上、アクションが面白くないはずはない。だが、コウモリの血清を注入しただけで超人へと変貌するという設定は、コミック作品であってもやや説得力に欠ける。また、親友マイロの急激な変貌にも十分な心理描写が施されているとは言い難く、物語に深みを欠く一因となっている。

 エンドロール中には、スパイダーマン作品にも登場する人物が現れ、次作ではスパイダーマンとの関わりが示唆される。しかし、現時点で正式な続編の発表はない。もし続編が実現するならば、より厚みのある物語が期待できるだけに、観る価値は大いにあるだろう。

評:蔵研人

 

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2026年1月22日 (木)

アナログ

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★★★★
製作:2023年 日本 上映時間:120分 監督:タカハタ秀太

 原作があのビートたけしだと知り、思わず驚かされた。暴力的なイメージの強いたけしから、こんなにも純度の高い恋愛映画が生まれるとは、まるで想像していなかったからだ。

 主役の、優しさとこだわりを併せ持つデザイナー・水島悟を演じるのは二宮和也。彼が行きつけの喫茶店「ピアノ」で出会う謎めいた女性・美春みゆき役には波瑠。いずれも役柄に自然に寄り添う、絶妙なキャスティングである。

 タイトルの『アナログ』は、みゆきが携帯電話を持たない、少し古風な女性であることに由来する。そのため二人は「毎週木曜日に“ピアノ”で会いましょう」と、どこか時代がかった約束を交わすことになる。

 スマートフォンで容易に連絡がつく現代において、あえて連絡先を交換せず、ただ週に一度、特定の場所で“逢う”という選択。その不便さこそが二人の時間を輝かせ、人生までも照らし出す。だが、水島がプロポーズを決意したその日に、みゆきは忽然と姿を消してしまう。

 彼女はなぜ突然消えてしまったのか。そもそも彼女は何者だったのか——。水島の胸に去来する疑念がそのまま観客にも乗り移り、スクリーンは謎で満たされていく。

 そして、その真相が明らかになった瞬間、観客もまた水島と共に、衝撃の波に呑み込まれずにはいられない。もしかすると、謎のままのほうが良かったのではないか——そんな思いが一瞬よぎるほどに。

 だが水島は違った。彼の選んだ行動こそ、真の愛のかたちなのだろう。自然と涙が込み上げ、胸の奥が熱くなる。久しぶりに、心の温度を上げてくれる恋愛映画に出会った。スクリーンを後にしたとき、どこか「若さ」という名のエネルギーを授かったような気がした。


評:蔵研人

 

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2026年1月17日 (土)

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

007

★★★★
製作:2021年 米国 上映時間:164分 監督:キャリー・ジョージ・フクナガ

 長い————とにかく長い。007シリーズ史上最長の上映時間である。それにもかかわらず、不思議と間延びした印象はなく、退屈感も湧かない。さすがは世界的フランチャイズ007、堂々たる貫禄である。

 本作は、2006年に始まった“ダニエル・クレイグ版007”の5作目にして最終作だ。主演のダニエル・クレイグ自身も50代に入り(公開当時53歳)、そしてスクリーンの中でも、ジェームズ・ボンドはついに死を迎える。だが、それで007シリーズが終わるわけではない。
 エンドロールに刻まれた “JAMES BOND WILL RETURN” の文字が、その未来を静かに保証していた。おそらく次回作では若い俳優が新たなボンド像を担い、新シリーズが始まるのだろう。

 タイトル『ノー・タイム・トゥ・ダイ(NO TIME TO DIE)』を直訳すれば「死ぬ時間はない」となる。この言葉には、「世界と愛する者を守り抜くまでは死ねない」というボンドの不屈の意志が宿っているように思える。裏返せば、「守るべきものを守りきったとき、初めて死が訪れる」という宿命の響きも帯びているのだろう。

 久しぶりに鑑賞した007であったが、ボンド役としてのクレイグの渋味はいよいよ深まり、カーチェイスの迫力も健在であった。ただ、年齢を重ねたせいか、アクションの切れ味はかつてより控えめに感じられた。それゆえにこそ、彼にとってこれが最終作となったことも納得できるのかもしれない。
 物語の詳細についてはあえて触れないが、次なるボンドがどのようにシリーズの未来を切り開くのか、期待して待ちたい。


評:蔵研人

 

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2026年1月14日 (水)

ムルゲ 王朝の怪物

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★★★
製作:2020年 韓国 上映時間:105分 監督:ホ・ジョンホ

 疫病が蔓延する最中、宮廷の背後にそびえる仁王山に“物怪”(ムルゲ)が出没するという不穏な噂が広がっていた。しかもムルゲと接触した者は、たとえその場を逃れたとしても、やがて疫病に侵され、悲惨な最期を遂げるというのだ。
 それは果たして伝説なのか、それとも真実なのだろうか……。

 いずれにせよ、この怪異を利用して王の失脚を図る陰謀が、ひそやかに進められている気配がある。その影を察知した王は、かつて政争によって朝廷から追放され、今は山深くで暮らす朝鮮最強の武人・ユン・ギョムを王宮へ呼び戻すのだった。

 本作に登場する“物怪”は全くの創作ではなく、16世紀の朝鮮王朝に実在したと伝えられる怪異に由来するとされる。その真偽は定かではないが、熊のような威容とキングコングを思わせる俊敏さを併せ持つ、不気味かつ魅力的な造形が印象的だ。『グエムル-漢江の怪物-』にも通じるが、巨大怪獣ではない中型の怪物を描く点は、韓国映画の得意分野と言ってよいのかもしれない。

 ただ、朝鮮最強の武人と称されるユン・ギョムがあまりに温厚すぎるため、もっと筋骨隆々で超人的な人物として描かれてもよかったのではないかと思う。また、勧善懲悪の語り口は心地よいが、ストーリー展開が直線的であったため、もう一捻りの意外性があれば、さらに高い評価につながったのではないだろうか。


評:蔵研人

 

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2026年1月10日 (土)

ふたつの星とタイムマシン

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★★★☆
著:畑野 智美


 本書は「小説すばる」に掲載された5作品に、書き下ろし2作を加えた短編集である。また表題作『ふたつの星とタイムマシン』という短編は見当たらないものの、タイムマシンを題材とした書き下ろし作として『過去ミライ』がその役割を静かに引き継いでいる。

 収録されている7つの短編を、簡単に紹介しておきたい。

1.過去ミライ
 大学教授が研究するタイムマシンに乗り、過去の自分へ「ある男性に告白するよう」仕向ける女性の物語。

2.熱いイシ
 「好き」か「嫌い」かを見分ける不思議な石をめぐるエピソード。

3.自由ジカン
 時間を自在に操る力を持つ少女を描いた、ささやかな成長譚。

4.瞬間イドウ
 テレポーテーション能力を使い、気軽に海外旅行へ飛び回るOLの日常。

5.友達バッジ
 服につけるだけで、いじめっ子とも自然と打ち解けてしまうバッジをめぐる物語。

6.恋人ロボット
 至れり尽くせりの恋人ロボットの発明によって、「人間の恋人」の存在意義が揺らぐ世界を描いた一篇。

7.惚れグスリ
 その名のとおり、媚薬をめぐる小さな騒動を描いている。

 いずれの作品も、近未来に芽生えるときめきや友情をやわらかく照らし出し、読後にほのかな温もりを残してくれる。そんな、優しい光を帯びたSF短編集である。


評:蔵研人

 

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2026年1月 8日 (木)

水怪 ウォーター・モンスター

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★★☆
製作:2020年 中国 上映時間:78分 監督:シアン・チウリアン

 ポスターを目にしたとき、中国製の本格怪獣映画かと思い胸を躍らせた。しかし蓋を開けてみれば、その怪獣はポスターが喧伝するような巨体ではなく、『アマゾンの半魚人』や「河童」を思わせる、どこか民間伝承めいた妖怪の姿であった。

 序盤、古い村落の建物や、薄暗く淀んだ水辺が醸し出す不穏な空気はなかなか魅力的で、これは意外と当たりかもしれないと期待したのだが、登場人物たちに魅力が乏しく、「水猿」と呼ばれる妖怪の造形もあまりに陳腐で、次第に失望感が募ってしまった。

 さらに“水猿”という名から、水中でこそ力を発揮し陸では弱いのかと思えば、むしろ陸上でもターミネーターさながらに無敵化してしまう始末で、興ざめせざるを得なかった。もっとも、これもB級映画の味わいと言ってしまえばそれまでだろう。締めくくりのラストシーンも解釈に迷うものだが、あれは果たして天国の寓意だったのだろうか……。


評:蔵研人

 

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2026年1月 4日 (日)

ブラッドショット

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★★★☆
製作:2020年 米国 上映時間:109分 監督:デビッド・S・F・ウィルソン

 『ワイルド・スピード』で知られるヴィン・ディーゼルが主演するSFアクションである。
 物語は、細胞を再生するナノマシンを体内に埋め込まれた元軍人レイが、死から蘇り、驚異的な回復力と怪力を得た超人へと変貌するところから始まる。レイはやがて研究所を抜け出し、自身と妻を殺した男を追って壮絶な復讐の旅に身を投じていく。

 偶然か、それとも意図的な引用なのかは判然としないが、「体内に“再生をもたらす存在”を宿し、不死に近い力を得る」という設定は、沙村広明の時代劇漫画『無限の住人』を思わせるところがあり、ある種のSF的換骨奪胎と言っても過言ではないだろう。
 とはいえ本作は、とにかくスケールが桁違いで、CGの使い方も巧み。何よりもヴィン・ディーゼルの重量感あふれるアクションが画面に迫力を与え、観る者を存分に楽しませてくれる。

 原作はアメコミであり、社会的テーマの深掘りなどはさほど求められないが、純粋に娯楽としての完成度が高く、観れば気持ちの良いストレス発散になる。ビール片手にソファへ身を沈め、気軽に楽しむにはうってつけの一本だ。


評:蔵研人

 

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