あの人が消えた
★★★★
製作:2024年 日本 上映時間:104分 監督:水野格
「次々と人が消える」と噂されるマンションを舞台に、配達員の青年・丸子夢久郎が事件の真相を追う物語である。
丸子は日々の配達でこのマンションを訪れ続け、もはや住民以上にその内部事情に通じていた。ところが最近、不可解な出来事が相次ぎ、彼の胸に疑念が芽生え始める。
やがて、彼の愛読するネット小説家・小宮千尋がこのマンションに住んでいることを知る。しかも彼女が、同じ住人・島崎からストーカー被害を受けているのではないかと疑い、丸子は仕事そっちのけで執拗に調査を始めてしまう。
住人たちへの聞き込みを重ねるうちに、丸子は次第に島崎を「連続殺人鬼」だと確信する。だが真相を探る過程で、彼の推理には多くの誤解と錯覚が絡んでいたことが明らかになる。物語は「実はこうしたトラブルが原因だった」という種明かし映像で幕を閉じる。
ここまで読むと、映画好きなら誰もが「それは『カメラを止めるな!』の展開パターンでは?」と叫びたくなるだろう。私自身も一瞬、「安易な模倣作か」と失望しかけたものである。
しかし本作には、さらにその先にもうひとつのどんでん返しが仕掛けられていたのだ。正直、その展開には驚かされたが、どこか後味の苦さが残った。けれども、最後のエンディングでその苦味は静かに洗い流される。さらにお洒落な音楽とイラストが交錯するエンドロールで、見事な余韻を残して幕を下ろすのであった。
評:蔵研人
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