シンデレラ 3つの願い
★★★☆
製作:2021年 ノルウェー 上映時間:87分 監督:セシリ・A・モスリ
数多くの「シンデレラ」映画の中でも、本作は珍しいノルウェー製作の一篇であり、従来のお伽話とは一線を画す、やや現実味を帯びた物語として仕上がっている。しかもシンデレラが馬を駆り、弓を自在に操るという設定には、思わず目を見張らされる。
本作は本国ノルウェーで記録的なヒットを収め、ノルウェー国際映画祭でもいくつかの賞に輝いた。主演のシンデレラ役の女優は可憐で魅力的だが、王子役については誠実さが感じられるものの、やや華やかさに欠ける印象を受けた。
タイトルの「3つの願い」とは、シンデレラが手にした3つの木の実が、王子との出会いを導くという寓話的な仕掛けである。彼女は舞踏会を含め、王子と三度邂逅することになる。このように物語の骨格は誰もが知るシンデレラ譚だが、そこに北欧の雪原とオーロラが織りなす幻想的な光景が加わり、独自の詩情を醸し出している。また、継母役の女優による憎々しいほどの演技は、物語を引き締める見事な存在感を放っている。
ただし、低予算ゆえか全体的に地味な印象が漂い、華麗な舞踏会を期待した観客にはやや物足りなさを残すかもしれない。それでも、シンデレラが暮らす薄暗い納屋や、古風な造りの城館には独特のリアリティがあり、その質素さがむしろ物語世界を際立たせている。
評:蔵研人
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