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2025年10月 3日 (金)

もののけ姫

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★★★★
製作:1997年 日本 上映時間:133分 監督:宮崎駿

 スタジオジブリが製作した本作『もののけ姫』は、日本アニメーションの金字塔として知られ、世界におけるアニメの評価を一変させる契機ともなった作品である。公開当時、その芸術性と物語性は国内外で高く評価され、それまで「オタク文化」の枠内にとどまりがちであったアニメという表現形式を、「芸術」へと押し上げる礎を築いたといえる。

 物語の舞台は室町時代。まだ日本の奥地には、人の手が及ばぬ太古の原生林が広がっていた。その森には、人語を解する山犬や猪といった巨大な獣たちが棲み、人々は彼らを「荒ぶる神」として畏れ敬っていた。そして、森の主たる存在として君臨するのが「シシ神」である。彼は森の生命の源であり、聖域としての森林を守護していた。

 しかし、人間たちはその森に侵入し、自らの世界を築こうと原生林を切り拓き始める。自然と人間、神と人間との衝突は、やがて避けがたい戦いへと発展してゆく————。

 物語の主人公は、王家の血を引く若者・アシタカ。彼はある日、村を襲った猪神との戦いの中で呪いを受けてしまう。命を削るその呪いを解くため、また、自らの運命と向き合うため、彼は東の地を離れ、旅に出る。

 旅の果てに、アシタカは「シシ神の森」が西方にあることを知り、その地を目指す。旅の途中、川辺で彼が目にしたのは、山犬にまたがり戦うひとりの少女と、銃を武器に森を切り開こうとする"エボシ御前"率いる人間たちとの激しい争いであった。少女の名はサン。人間でありながら山犬の神“モロの君”に育てられた、いわば森そのものの化身————「もののけ姫」であった。

 圧倒的な映像美、重厚な声の演技陣、そして久石譲による壮麗な音楽————本作の魅力は枚挙にいとまがない。ただし、時代考証や物語の展開においていささか強引と感じられる箇所もあり、観る者によっては違和感を覚えるかもしれない。しかし、それもまたファンタジーという枠組みの中で昇華されており、作品世界に身を委ねることで十分に受け入れられるだろう。

 自然と人間の共存、人間同士の果てしなき争い————そうした主題は、単なる過去の物語にとどまらず、現代社会が抱える問題とも重なって見える。『もののけ姫』は、美しさと痛みを併せ持つ寓話として、私たちに「生きるとは何か」を問いかけてくるのである。


評:蔵研人

 

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