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2025年9月 2日 (火)

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』

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★★★★
製作:2025年 日本 上映時間:155分 監督:外崎春雄


 TVアニメ版の放映をいくら待っても音沙汰なく、焦燥の念を募らせていたところ、予想外にも劇場版が先陣を切る形となった。やむを得ず足を運んだ劇場で、私は初めて大きなスクリーン越しに『鬼滅の刃』の世界へと踏み込むこととなった。まずいきなり背景画のクオリティーの高さに度肝を抜かれる。さすが映画だなと……。

 物語は155分の長編ながら、無限城編三部作の幕開けに過ぎず、しかも今回主軸を担うのは、あの「上弦・参の鬼」猗窩座。かつて『無限列車編』で煉獄杏寿郎と死闘を演じたその存在が、今作では単なる敵役を超え、ひとつの物語を背負う主役として描かれていた。

 彼の人間としての名は狛治。拳ひとつで戦う武の使い手。激闘の最中に挟み込まれる過去の記憶が、鬼である彼に仄かな温もりと翳りを与える。その悲恋は観る者の心を揺らし、気づけば私たちは、敵として憎むべきはずの鬼にさえ、同情の目を向けていた。

 無限城――その名のごとく、空間が縦横無尽に広がり、敵の本丸を探し当てるのはまるで砂漠に落とした針を探すかのようだ。無惨に辿り着ける未来も、討ち果たせる確信も、今のところ全く見当たらない。かすかな希望は、脱皮し蝶となろうとする丹治郎の変化に託されているように思えた。

 しかし、進んでは止まり、戦っては回想に沈む――この湿潤な展開の連続に、果たしてあと二章で終幕に至るのか、疑念は拭えない。どこか板垣恵介の格闘マンガ『バキ』のような、戦いの膨張と深化に身を委ねる語り口を思わせる。

 それにしても、公開から一月半を過ぎたというのに、劇場は満席に近い賑わい。幼子から老年まで、あらゆる世代が席を埋めていた。目立ったのは少女たちと中年女性の連れ、さらには私のような初老の観客も少なくない。ポップコーンの香りに包まれながら、ふと、これはもう単なるアニメーションではない、これこそひとつの「時代」なのだと、観客の熱気が教えてくれた。まちがいなく、邦画興行収入の新たなる金字塔となることは疑いないだろう。

評:蔵研人

 

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