今すぐ眠りたくなる夢の話
著者:松田英子
本書は、1万人以上を対象とした夢に関する大規模な調査をもとに、夢の効用や最新の研究成果を分かりやすく紹介するものである。心理学者による丁寧な解説から始まり、「夢とは何か」を基礎から理解するには適した一冊だといえる。特に夢に関する知識が浅い読者には親しみやすい内容となっている。
しかしながら、調査結果の提示は年代別に夢の内容を列挙するにとどまり、各年代ごとの傾向や背景に踏み込んだ分析はほとんど見られなかった。全体として、無難な範囲で夢理論を紹介している印象が強く、深い洞察や独自性に乏しい点は否めない。
一方、MRIを用いて脳内の夢を可視化するという先進的な研究に言及されていた点は非常に興味深かった。ただし、その紹介もごく簡単に触れられているだけで、詳細な説明はなく、もっと掘り下げてほしいという物足りなさが残った。
帯には「夢の謎はここまで解けた!」「かなりの部分が解明されていてとにかくおもしろい」といった強いキャッチコピーが踊っているが、それに見合うほどの内容とは言い難い。
夢という曖昧かつ多様なテーマを扱う以上、哲学者、医師、宗教家、作家、漫画家など、異なる視点を持つ多様な立場の意見を取り入れることで、より深く広がりのある内容になったのではないかと感じる。一人の心理学者の視点だけでは、夢の魅力を十分に引き出すには限界があったように思う。
評:蔵研人
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