白鳥とコウモリ
★★★☆
著者:東野圭吾
変わったタイトルタイトルだが、光と影や昼と夜と同じ意味で、正反対の立場を指す明確な比喩である。具体的には被害者家族と加害者家族である白石美令と倉木和真のことを暗示している。そしてその正反対の立場である二人が、なんと協力して真犯人を探し出すという稀な展開に興味をそそられてしまうのである。
本作のテーマのひとつは加害者家族の苦しみではあるが、文脈の端々まで真実よりも裁判を有利に進めること以外は、全く無関心な検事や弁護士に対する嫌味と皮肉で塗り潰されているようだ。まあそんなものかな、と思いながらも知らず知らずに腹を立てている自分に気が付き、白鳥とコウモリが一緒に空を飛んでも納得してしまうのかもしれない。
500頁を超える長編ではあるが、真犯人は誰かということよりも、なぜ罪を被る必要があったのかという謎のほうが知りたくなってしまう。それで後半はあっという間に読破してしまったが、ラストは余りにもあっけないし、真犯人の動機にもかなり無理がある気がしたのは私だけではないだろう。それにしてもドラマ向きの展開が多いので、いずれ映画化されるかもしれないね。
評:蔵研人
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