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2025年2月16日 (日)

川のほとりに立つ者は

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著者:寺地はるな

 本作は2023年の本屋大賞にノミネートさた中編小説である。著者は1977年佐賀県の出身で、代表作には本作のほか『水を縫う』、『今日のハチミツ、あしたの私』、『大人は泣かないと思っていた』、『夜が暗いとはかぎらない』などがある。

 カフェ『クロシェット』で女性店長を務めている29歳の原田清瀬が主人公である。店の従業員にはトラブルメーカーの品川さんという年上の女性や青木君という大学生のアルバイトたちがいて、店長の仕事は彼等を管理しながら通常の仕事もこなし、かつ何か問題があった場合には、自ら対処しなくてはならない。だからと言って給料が多い訳でもなく、かなり辛くて割に合わない仕事だと感じている。

 そんなある日、恋人の松木圭太が親友の岩井樹と歩道橋上で喧嘩をした挙句、階段から転げ落ちて大怪我を負い、意識が戻らないままなのだと病院から連絡を受ける。物語はここから本格的に始まるのだが、当事者は二人とも意識不明のままなので、なぜ親友同士が殴り合いなどしたのかは、不明のまま物語は過去の二人の関係を解説してゆく。ただここの部分が多少くどくて退屈感を誘われてしまった。ただ岩井樹こと「いっちゃん」が、多少頭は弱いがいかに好人物で、松木が尊敬しているのかがよく分かったことだけは間違いない。

 主な登場人物は、原田清瀬、清瀬の親友篠ちゃん、品川さん、松木圭太、岩井樹、樹の恋人菅井天音の6人である。ただ話の中心は樹と天音の奇妙な関係で紡がれており、清瀬のラブストーリーという訳ではない。そして多分テーマは「心のすれ違い」とは何かということなのだろう。そこには、見え難い障害、不運な家庭環境など切実な感情の交錯が染み込んでいるかのようである。
 なんとなく他人と関わることの難しさを、改めて考えさせられる作品かもしれない。ただ岩井樹の「異常とも思える人の好さ」は、余りにも切な過ぎるし、かつ現実離れ感が拭えない。またラストはハッピーエンドでホッとしたものの、あっさりし過ぎた締めくくりに物足りなさを感じたのは決して私だけではないはずである。

評:蔵研人

 

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