アイスマン。ゆれる
著者:梶尾真治
アイスマンとはヒロイン山本知乃のニックネームである。つまり男女を結びつける呪文を知っているので、あたかも縁結びの神、つまり月下氷人だからアイスマンということらしい。
ただしこの呪文を使うたびに体が衰弱して、三度使えば命をも失うというのだ。そうとは知らず過去に二回使っているので、もう二度と使えないのだが、そのことを知らない親友から、どうしても愛されたい男性がいるので呪文をかけて欲しいと懇願されるのだった。
それにしてもいつもカジシンさんが描く女性は初々しく清楚で優しいね。本作の知乃さんも30代だというのに、まるで中学生並みの純真な女性なのである。きっとこうした女性がカジシンさんの理想の女性なんだろうと、勝手に思い込んでいる。なんと終盤は友情のために自分の好きな男性を譲って、命まで捧げるのだから「ありえない!」と叫びたくなってしまうだろう。
といいながらも、ラストはいつもながらの満を持していたようなハッピーエンドで締め括られるのである。また彼女たちがレストランや割烹で味わうグルメの数々も、きっとカジシンさんの趣味なのだろうとすぐに推測できてしまう。とにかくいつも通り「カジシン印」ががっちり押された小説なので安心して読めるのが嬉しいね。
評:蔵研人
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