ジェンダー・クライム
著者:天童荒太
タイトルの『ジェンダー・クライム』とは、性にまつわる犯罪という意味である。土手下に全裸で転がされていた中年男性の無惨な遺体には、暴行の痕が残されており「目には目を」との恐ろしいメッセージが残されていた。
この事件の犯人を探し出すのは容易ではなく、多分読者たちも最後の最後まで騙され続けていたことだろう。さてこの被害者こそ、3年前に起きた集団レイプ事件の加害者だった青年の父親であり、本作はこの3年前の集団レイプ事件の詳細に迫って行くのである。いつの間にか64歳を迎えている天童荒太が原点回帰して描いた会心の一作とも言えよう。
一人の人間を廃人にしてしまう集団レイプには、心底からぞっとする恐怖感が沸き上がり、同時に世間や警察などの誹謗中傷や誤った認識には疑問を隠し切れない。冒頭の中年男性の遺体には、そんな感情がぎっしりと詰め込まれていたような気がしたのは、決して私だけではないだろう。
笑いあり涙あり人情や社会批判もあり、さらにラストはハッピーエンドで締めくくられていて、年配の私には爽やかな読後感が得られた気がする。ただ中盤までの丁寧な描き方に比べると、終盤の駆け足的な展開には、やや物足りない気分が頭をもたげてしまったかもしれない……。
評:蔵研人
下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓
↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪
| 固定リンク | 0
« アイスマン。ゆれる | トップページ | 市子 »



コメント