流浪の月
★★★☆
製作:2022年 日本 上映時間:150分 監督:李相日
原作は凪良ゆうの同名小説で、2020年に本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位に輝いている。
9歳のときに誘拐事件の「被害女児」となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗と、その事件の「加害者」とされた大学生・佐伯文の悲しい物語である。
なにが悲しいかと言うと、二人の間には何もなかったはずなのに、世間や警察には「被害女児」と「加害者」という烙印が永遠に続いて行くからである。そして二人は、偶然15年後に再会を果たすのだが、それぞれには恋人がおり複雑な感情を抱えたままの再会であった。
二人とも恋人に対する愛情が中途半端なのだが、だからといって再開した二人が恋に落ちていると言う訳でもないようだ。そこには単純な愛を超えてところで、互いに救いを求めあう感情が渦巻いている感がある。いずれにせよ本作は、複雑な現代の家庭環境が練り込まれた重くて深いテーマに挑戦したのだろう。
ただ過去のフラッシュバックを多用し過ぎて全体の流れが分かり辛いし、辻褄の合わないシーンが多かったのは、多分時間調整のため編集作業でかなり削られたのではないだろうか。さらには主役の二人が、きちっと真実を伝えようとしないところにもイライラ感が募ってしまった。いずれにせよ、脚本の失敗のような気がする。
それでも主演の広瀬すず、松坂桃李はもちろん、助演の横浜流星、多部未華子、趣里、さらには子役の二人もなかなか良い味を出していたのが印象に残った。まあどちらにせよ、一度原作を読んでみる必要があるだろう。
評:蔵研人
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