パラドクス
★★★☆
製作:2018年 メキシコ 上映時間:101分 監督:アイザック・エスバン
日本では珍しいメキシコ製の映画である。タイムループと言えばそんな展開ではあるが、どうもSFではなさそうだし、ホラーというほど怖くはない。どこか奥行きを感じるのだが、よく理解できない難解さと狂気が漂っている不条理スリラーと言うべきだろうか。
刑事マルコに自宅へ踏み込まれたカルロスとオリバーの兄弟は、隙をついて非常階段から逃亡を図る。だが兄カルロスがマルコに足を撃たれて身動きが取れなくなってしまう。すると謎の爆発音が聞こえ、全ての扉が開かなくなってしまう。さらには9階から1階に降りてもまた9階に逆戻りしてしまうのだった。
すると画面が真っ暗になって、全く異なるシーンへと移動してしまう。そこには反抗期の少年ダニエルと妹カミーラ、そして母親サンドラとその恋人ロベルトが旅の支度をしているではないか。旅の途中ガソリンスタンドでロベルトが、アレルギー体質のカミーラーにジュースを飲ませてしまう。そのためカミーラーが喘息を引き起こしてしまう。さらに喘息止めの吸入器をロベルトが踏んづけてしまい、怒り狂ったサンドラが家に引き返せと叫ぶ。
それで一家は慌てて家に引き返すのだが、途中で謎の爆発音がして、行けども行けどもまた元の道に戻ってしまうのだった。そうあの非常階段での出来事と全く同じ無限ループが起こってしまったのである。
一体これはどういうことなのだろうか、また非常階段での出来事と、この家族のドライブとはどういう関連があるのだろうか。全く何も分からないまま、突然画面は35年後の世界へと切り替わってしまうのである。なんとそこは……。
前述したとおり、とにかく難解で理解しがたい作品なのだ。ただ35年のループを繰り返して若者が中年になり、中年が老人になり、老人が死ぬとまた中年にその運命が乗り移る、というような永遠の摂理を描いていることだけは間違いない。また人の人生を「回し車を死ぬまで回し続けるだけのハムスター」と同一視したような、皮肉で塗り固められた作品であることも否めないだろう。
評:蔵研人
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