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2024年8月の記事

2024年8月30日 (金)

ミーガン

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★★★★
製作:2023年 米国 上映時間:102分 監督:ジェラルド・ジョンストン

 おもちゃ会社で開発したAI人形「M3GAN(ミーガン)は、子供の世話をする素晴らしいロボットのはずであった。ただ開発を急ぐ余り、徹底したセーフ機能ブログラムを人間が作成せず、AIの自動学習機能だけで進化させてしまう。

 そんな折に開発者のジェマの姉夫婦が事故で死亡し、姪のケイディを引き取ることになる。仕事で忙しいジェマは、ケイディの面倒を見る時間がとれず、試作品のミーガンにあらゆる出来事からケイディを守るよう指示する。だがミーガンはその指令を厳格に守り過ぎて、ケイディを襲った隣家の犬を殺してしまう。それだけで済めばまだよかったのだが、今度はケイディに被害を及ぼす人間をも襲い始めるのであった。

 なんとなく『チャイルド・プレイ』と『ターミネーター』をブレンドしたようなSFホラー映画であるが、これが全米で記録ずくめの大ヒットを打ち立てたという。そして続編の製作も発表されている。まあ実際に鑑賞してみても、間違いなく面白かった。それは単なる怖いだけのホラーではなく、ドラマあり、ブラックコメディあり、アクションあり、涙あり、社会性ありと映画のあらゆる要素を取り込んでいるからだろう。

評:蔵研人

 

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2024年8月27日 (火)

投身

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著者:白石一文

 本作を読み始めたとき、主人公の旭を男性と勘違いしていて、なにか辻褄が合わないと感じていたら、実は49歳の女性であった。彼女は医療機器販売会社の営業ウーマンで、顧客に体の提供も厭わない熱心な仕事ぶりで成績優秀な営業ウーマンであった。顔は平凡なのだが、巨乳で脚が美しく男好きなスタイルを保持していたため、かなりモテていろいろな男が次々と入れ替わる。

 仕事ができてセックス好きな女性を盛り上げるという面では、直木賞を受賞した『ほかならぬ人へ』とか、その姉妹作で三人称一元視点の『かけがえのない人へ』などの亜流のような気がする。ただ前二作に比べると本作のヒロインの男出入りは頻繁で、そのセックスもやや変態じみているところが好き嫌いの分岐点かもしれない。
 営業関連の顧客たちは別にしても、大金持ちの二階堂さん、同僚のイケメン・リッチ、年下のゴロー、義弟の藤光などとの絡みが丁寧に描かれている。だが彼女が真剣に愛したのはゴローだけで、あとは成り行きといった感覚のようだ。

 冒頭に登場したのが二階堂さんだったのだが、そのあとは二階堂さんの娘と金で買われたツバメたちの話が織り込まれるものの、二階堂さんとの絡みはラストになるまで沈黙したままだった。同時に旭と二階堂さんが交わしたと言う「交換条件」も、ラストに明かされるまで秘密のままであった。

 最終的にタイトルの『投身』が意図する結末に繋がって行くのだが、どうもひとつひとつの話が切り張りのようで、ほとんど関連性がなく全体的にまとまりがなかった。また二階堂さんとの描写が少なかったためか、彼の心情や行動がよく理解できないままで終わってしまったのも残念としか言いようがない。まあ内容的にはいま一つの感があり、小説としての完成度も高くはないのだが、相変わらず読み易くやみつきになる白石節は健在だったのであっという間に読破してしまった。

評:蔵研人

 

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2024年8月24日 (土)

すばらしき世界

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★★★★
製作:2021年 日本 上映時間:126分 監督:西川美和

 寡作だが『ゆれる』『永い言い訳』など、これまでオリジナル作品だけを手掛けてきた西川監督が、初めて小説を原案とした脚本を手掛けた作品である。その原案となった小説とは、直木賞作家・佐木隆三が実在人物をモデルに書き綴った『身分帳』であり、本作は35年前の時代背景を現代風にアレンジして創られたという。
 テーマは人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男が、殺人を犯し13年間の刑期を終えて再出発してゆこうとするのだが、なかなか堅気の世界に馴染めず四苦八苦する姿を描いて行く。

 ある意味よくあるテーマではあるのだが、役所広司が優しい顔と怖い顔を巧みに切り分ける演技が見どころである。また良い人たちが多く、手を変え品を変えて主人公を助けてくれるのだが、実直で正義感が強いのだが、気の短さが災いして、辛抱しきれずに失敗を繰り返してしまうシーンにハラハラしてしまうのだ。
 さらには主人公を取り巻く女性たち、元妻の安田成美、TVディレクター長澤まさみ、保護司の妻梶芽衣子、組長の姉さんキムラ緑子、ソープ嬢桜木梨奈などなど、全員が自立した魅力的なキャラで印象的であったことも付け加えておこう。それにしてもじっくりと主役を張れる男優が、役所広司しかいなくなってしまったのが淋しいよね。

 
評:蔵研人

 

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2024年8月20日 (火)

トゥモロー・ウォー

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★★★☆
製作:2021年 米国 上映時間:138分 監督:クリス・マッケイ

 ある日突然、2051年からやってきた未来人たちが、人類は30年後に未知の生物と戦争になり、やがて敗北するという衝撃の事実を告げる。そして人類が生き残るためには、現代から兵士を未来に送り込み、戦いに参加するしかないのだと言う。
 それで全世界が一丸となり、次々と戦闘員を送り込むのだが、生還できるものは3割に満たなかった。だが地球と愛する子供たちを守るため、一般人たちも招集されることになる。
 元軍人で現在は高校教師をしている主人公のダンも、7日間の兵役を命じられ未来へと旅立つのだが、そこで司令官を務めていたのは、なんと自分の娘ミューリであった。さらに彼女は強力な未知の生物ホワイトスパイクのメスを倒せる毒物の研究もしていたのである。

 とにかく壮大なストーリーであり、ホワイトスパイクの造形もなかなか素晴らしい。ただ全世界が一丸となっているという割には、現代から送られてゆく戦士たちの人数が少ないし、ド素人過ぎてほとんど役に立たないところがショボイ。それはラストも同様で、全世界どころか米国軍自体も消極的で、個人レベルの探検隊しか組織できないと言うのも情けなさ過ぎる。なんとなく超大作とB級が混在したような微妙な作品ではあったが、ハラハラドキドキ感が半端ではなく、かなり楽しませてくれることも間違いないだろう。

 
評:蔵研人

 

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2024年8月18日 (日)

タイム・ダイレイション-死のベッド-

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★★★
製作:2016年 カナダ 上映時間:88分 監督:ジェフ・マー

 なんとなくタイムトラブル系を連想させる邦題だが、時間差のある電話ということを除けば、昔の呪いが込められた古いベッドの話と言うだけで、SF味はほとんどしないホラー作品であった。それなら原題の『BED OF THE DEAD』のままでよかったのに。
 なにやら騙された気分で少しムカムカする。また1996年に製作された韓国映画に『銀杏のベッド』という作品があったが、なんとなくそのパクリのような気がしたのは私だけであろうか。

 ストーリーは単純で、風俗宿で乱交パーティーを企んだ4人だったが、巨大な古めかしいベッドに横たわると、それぞれが次から次へと奇妙な幻覚を見て怪死してしまう。そして生き残った女性が携帯から警察に通報するのだが、電話を受けたのは彼女の時間とは2時間の時差があり、彼女は火災にあって既にベッドの上で死んでいるというのだ。というようなストーリーで、ほとんどがベッドの周辺で展開してゆく。

 まあB級ホラーと言ってしまえばそれまでだが、それほど怖くもなくエロ度も薄いので、彼女と観てもいいかもしれない。そしてあのラストシーンだけは、まさにB級ホラーの王道だね。ところでベッドは燃えたはずじゃなかったの……。
 
 
評:蔵研人

 

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2024年8月12日 (月)

タイムリーパー

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★★★
製作:2019年 カナダ 上映時間:92分 監督:トニー・ディーン・スミス

 ジェームスはなぜかときどき未来を垣間見ることができる。その能力を知り合いのギャングに見込まれて高価な宝石を売りさばくため預かるのだが、その宝石を巡ってギャングの手下たちと危険なチェイスがはじまるのだった。
 本作はタイムトラベルものなのだが、タイムマシン代わりに注射器を使って薬を体内に投入するという部分がユニークである。ただなぜそんなことができるのかの説明はほとんどなく、多分注射器は低予算のための苦肉の策なのであろう。

 またテーマ的には好きな分野だし、スピード感のあるストーリー展開や、過去と未来の複雑な絡みもなかなか面白いのだが、よくよく考えるとなんとなくバカバカしい話なのだ。つまり取って付けたような話で、全員が突っ込みどころ満載の納得できない行動ばかりしているし、終盤に奇抜などんでん返しがあるわけでもない。結局のところただただジェームスが、独りでドタバタ劇を演じていただけ、というオチもいかがなものであろうか。
 
評:蔵研人

 

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2024年8月 9日 (金)

パラレル多次元世界

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★★★
製作:2018年 カナダ 上映時間:104分 監督:イサーク・エスバン

 真夜中に犬の世話をするため部屋から出た女性が、マスクをした何者かに殺害される。そして犯人がマスクを外すと、なんとそいつは殺害された女性と同一人物だった。という奇妙なオープニングに心躍らされるのだが、タイトルを知っているので、すぐにパラレルワールドからやってきた自分自身なのだなと気が付いてしまう。
 つまり犯人が住む世界では既に夫が亡くなっているのだが、この世界ではまだ元気に暮らしている。それで犯人はまだ夫が生きているこの世界に引っ越してきたという訳である。もちろんそのために邪魔になる自分自身を消したのだ。
 ただ面白かったのはこのオープニングだけで、この後に続く話は4人の若者たちの話であり、パラレルワールドの入口以外はオープニングの女性とはなんの関連も持たない。

 さてひょんなことから、シェアハウスに住む若者4人が壁の中にある部屋をみつけて侵入すると、誰かが住んでいた痕跡が残っており、部屋の中には大きな鏡が立てかけてあった。そうこの部屋を使っていたのが、オープニングの犯人であり、そこにある鏡こそパラレルワールドへの入口だったのである。
 さらにこの鏡からは一つだけではなく、いくつものパラレルワールドに繋がっており、戻ってくるときだけは同じ場所に戻る仕組みになっていた。さらに別世界では時間が180倍に膨張しているため、別世界での15分間がこちらではたった5秒であることにも解明される。

 さらにパラレルワールドには自分と同一人物が住んでいて、世の中の仕組みも似ているのだが、モナ・リザの髪がショートカットだったり、進化した発明品が登場していたりと、微妙に異なっているのであった。彼等はそれを利用してアプリや新製品、絵画などをパクったりして金儲けに翻弄することになる。
 ただこんなことを続けていてもいいことばかり起こるはずがなく、4人の友情にもひび割れ現象が起こってくる。そんな中である日、大変な事件が起こってしまうのであった……。

 パラレルワールドそのものは、私好みの興味深いテーマではあるのだが、なんだかすっきりしない。本作がそこそこ面白かったのは認めるが、タイムトラベルやパラレルワールドを利用して金儲けをしたり、自分と入れ替わったりする話は新鮮味がないし、後半に大きなどんでん返しが仕込まれている訳でもなく、もう一捻りが欲しかったね。またしいて言えば本作の真のテーマは、「パラレルワールドを利用したひとの欲望と罪深さ」だったのだろうか……。
 
評:蔵研人

 

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2024年8月 4日 (日)

パラドクス

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★★★☆
製作:2018年 メキシコ 上映時間:101分 監督:アイザック・エスバン

 日本では珍しいメキシコ製の映画である。タイムループと言えばそんな展開ではあるが、どうもSFではなさそうだし、ホラーというほど怖くはない。どこか奥行きを感じるのだが、よく理解できない難解さと狂気が漂っている不条理スリラーと言うべきだろうか。

 刑事マルコに自宅へ踏み込まれたカルロスとオリバーの兄弟は、隙をついて非常階段から逃亡を図る。だが兄カルロスがマルコに足を撃たれて身動きが取れなくなってしまう。すると謎の爆発音が聞こえ、全ての扉が開かなくなってしまう。さらには9階から1階に降りてもまた9階に逆戻りしてしまうのだった。
 
 すると画面が真っ暗になって、全く異なるシーンへと移動してしまう。そこには反抗期の少年ダニエルと妹カミーラ、そして母親サンドラとその恋人ロベルトが旅の支度をしているではないか。旅の途中ガソリンスタンドでロベルトが、アレルギー体質のカミーラーにジュースを飲ませてしまう。そのためカミーラーが喘息を引き起こしてしまう。さらに喘息止めの吸入器をロベルトが踏んづけてしまい、怒り狂ったサンドラが家に引き返せと叫ぶ。
 それで一家は慌てて家に引き返すのだが、途中で謎の爆発音がして、行けども行けどもまた元の道に戻ってしまうのだった。そうあの非常階段での出来事と全く同じ無限ループが起こってしまったのである。

 一体これはどういうことなのだろうか、また非常階段での出来事と、この家族のドライブとはどういう関連があるのだろうか。全く何も分からないまま、突然画面は35年後の世界へと切り替わってしまうのである。なんとそこは……。

 前述したとおり、とにかく難解で理解しがたい作品なのだ。ただ35年のループを繰り返して若者が中年になり、中年が老人になり、老人が死ぬとまた中年にその運命が乗り移る、というような永遠の摂理を描いていることだけは間違いない。また人の人生を「回し車を死ぬまで回し続けるだけのハムスター」と同一視したような、皮肉で塗り固められた作品であることも否めないだろう。
 
 
評:蔵研人

 

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