ジャンプ
★★★☆
著者:佐藤正午
著者の佐藤正午は、1983年に『永遠の1/2』で「すばる文学賞」を受賞し作家デビューした。ただ当初は好き嫌いの分かれる地味な作家であったのだが、本作でベストセラーを記録してから『Y』、『身の上話』、『鳩の撃退法』、『月の満ち欠け』などのヒット作を生み出している。
本作では鈍感で融通の利かない下戸の主人公・三谷純之輔が、アブジンスキーという強烈なカクテルを飲んだために、彼女が失踪する事件を招いてしまうという話である。またそのカクテルだけではなく、もしあのとき出張を遅らせたら、もしあのとき電話に出ていれば、もしあのとき女と会っていなかったら、などなど「もしあのときこうしていれば」というテーマとしては『Y』と双璧をなしているようだ。
それにしても、延々と失踪した彼女捜しが続くのだが、実姉・友人・20年以上逢っていなかった父親やバーのマダムにまで連絡があったのに、なぜか恋人である三谷だけには何の連絡もない、と言う摩訶不思議さに読者はイライラしストレスが溜まってしまうかもしれない。ただし彼女の失踪理由は、最終章で50頁に亘って延々と説明される、という構成になっている。
ミステリーかと思ってずっと読み進めていたのだが、とどのつまりは恋愛小説だった。そしてもしかすると、この最終章のために創られた小説ではないかと感じたのは私だけであろうか。
評:蔵研人
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