老後の資金がありません
★★★☆
製作:2021年 日本 上映時間:115分 監督:前田哲
本作は第45回日本アカデミー賞で、天海祐希が主演女優賞、草笛光子が助演女優賞を受賞している。また三谷幸喜が監督でも脚本でもなく、おとぼけ役人として俳優として出演していた。なお原作は垣谷美雨の同名ベストセラー小説である。
老後資金が4千万円必要と言う時代に、後藤家には700万円の預金しかない。夫の後藤章は優柔不断で頼りなく、年頃の娘は我儘で奇妙な男とできちゃった結婚、食べ盛りの息子は大学生と言う状況だ。だから妻の篤子は壊れたバッグで我慢して、パートで家計の穴埋めをしていたのだが、次から次へと難問が降りかかるのだった。
まずは義父の葬式で約400万円の無駄遣いをしてしまう。さらに娘が豪華な結婚式をしたいと言い出す。ところが章の会社が倒産、篤子もパートをクビになる。そのうえ義母を引き取るはめになるのだが……。その義母は贅沢三昧で挙句の果てはオレオレ詐欺に引っ掛かり、結納で貰った100万円を失ってしまうのだ。さらに篤子が最後に頼った実家では、両親がサーフショップ開店のため借金漬けになっていたのである。
こう次から次へと不運と問題ばかり続くのだが、篤子はボーリングで憂さを晴らし、なんとか我慢し続けるのだった。だが離職中の章が子連れの若い女と楽しそうに歩いているのを目にして、とうとう切れてしまうのである。
それにしても悪いことの連鎖が続き過ぎて、観ているほうもストレスが溜まってくる。だがご心配なく。終盤になってやっと不幸から解放されて、誰もがほっこりと涙を流してしまうだろう。まあ終わり良ければ全て良しかな。なんともはや、赤いブランドバッグにはじまり、赤いブランドバッグで終わるという女性視点の作品だったね。
評:蔵研人
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