武蔵 むさし
★★★☆
製作:2019年 日本 上映時間:120分 監督:三上康雄
監督の三上康雄氏は、学生時代に自主製作映画を数多く手がけていたが、1980年に家業のミカミ工業を引き継ぎ家業に専念する。ところが映画製作への未練を断ち切れなかったのか、突然ミカミ工業の全株式を売却し、2013年に「蠢動 しゅんどう」で映画製作に復帰した。本作はその三上康雄監督の復帰後第2作である。
過去に宮本武蔵映画は数多くあるが、本作はよくある吉川英治版ではなく史実に基づくオリジナル版として描かれている。従ってその戦い方なども現実に近い手法で繰り広げられ、鋭さと渋さが漂う好感の持てる展開であった。
また時代劇はロケ地が限られ製作費が多くかかるため、最近は敬遠されがちである。だが本作はその難問をクリアすべく、なるべく金をかけず、慎重に撮影場所を選び、かつ陳腐にならぬように、映像美や音楽などを巧みに駆使して一応の面目は保っていた。
さらにキャスト陣も、武蔵役を細田善彦、小次郎役を松平健が演じるほか、目黒祐樹、水野真紀、若林豪らを配して万全を期しているところは流石である。ことに細田善彦の入魂の演技と充実した殺陣には驚かされた。また松平健、目黒祐樹、若林豪の存在感も伊達ではなかったな……。
本作では吉岡一門との闘いに始まり、鎖鎌の宍戸梅軒、宝蔵院流槍の道栄、そして巌流島での佐々木小次郎との決闘までをテンポよく描き続けている。さらに小次郎を剣術指南役にしてしまった細川家の後悔と苦悶、その裏で暗躍する徳川幕府の陰謀など、その現実的な歴史解釈にはなんとなく納得できるものがあった。ただ時間配分の関連だと思うが、吉岡一門との闘い以降の展開が、かなり駆け足だったのが気になったかもしれない。
評:蔵研人
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