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2024年2月23日 (金)

あなたの涙は蜜の味

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   本書は2019年に出版され好評を得た『あなたの不幸は蜜の味』の第二弾で、女性作家7人によるイヤミス傑作選となっている。さてそれにしても「イヤミス」とは一体どういう意味なのだろうか。
 簡単に言えば「後味の悪いミステリー」ということらしい。だからといってマイナス評価という訳ではなく、ある意味ホラー的な魅力があるとも言えるだろう。

 それでは、その全七作の短編を簡単に紹介してみようか。
「パッとしない子」 辻村深月
 小学校の教師・松尾美穂は、かつて国民的アイドルグループのメンバー高輪佑の弟の担任であり、彼等の少年時代の様子を良く知っていることが自慢の種であった。ところがある日テレビ番組収録のため高輪佑が学校にやってきて、久し振りに話を交わすことになるのだが……。松尾美穂と高輪佑の二人にしか知りえないそれぞれの思い出に、大きな格差が残されていたというある種の恐怖感を見事に描いている。

「福の神」 宇佐美まこと
 余りうまくいっていない三世帯家族だったが、ある日祖母が歯科で知り合った初老の女性を家に連れてくると、家族それぞれが抱えていた悩みが急に解消されゆく。……といったファンタジックホラーという趣の作品である。

「コミュニティ」 篠田節子
 遠藤家は不況の煽りを受け、ローンを残したままマンションを売却し、僻地にある狭くて古い団地に引っ越してくる。そこでは住民たちが異常なまでに団結し、度を超えた深い人間関係が定着していた。はじめは全く馴染めなかった妻が、いつの間にかそのコミュニティにどっぷりつかってしまう様子を見た夫は、そこに何ともいえない不快感と奇妙さを感じるのだが……。
 
「北口の女」 王谷 晶
 大物演歌歌手とその付き人の話で、七作中一番の短編である。本書の解説者は本作をベタ褒めしているのだが、残念ながら私にはその絶賛する感覚が全く湧かなかった。

「ひとりでいいのに」 降田 天
 双子の女性がそれぞれ抱く感情を実に巧みに描いている傑作。さすが書下ろし作品で、まさに本書にピッタリの内容であった。ただ過去に江戸川乱歩が『双生児』という似たような作品を上梓しているのが気になったかな。

「口封じ」 乃南アサ
 本書の中で一番不愉快な話かもしれない。それは病院で付添婦をしている主人公の余りにも酷い態度の連続が延々と続くからであろうか。そしてラストでの残酷な復讐劇にも身の毛がよだつ。

裏切らないで」 宮部みゆき
 イヤミスというよりは、オーソドックスな刑事・探偵ものという感がある。本書の中では一番の大御所作家なので期待していたのだが、どうも長編的な丁寧な序盤が災いして短編としての味を楽しめなかったのが残念であった。

評:蔵研人

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