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2023年12月の記事

2023年12月31日 (日)

ゴジラvsコング

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★★★
製作:2021年 米国 上映時間:114分 監督:アダム・ウィンガード

 前作の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で宇宙怪獣・キングギドラを撃退し、地球の救世主になったはずのゴジラが突然目覚め、怒りを露わにしてしながら破壊活動をはじめるのだった。ゴジラが怒り狂った原因を掴めぬまま、人間たちはゴジラに対抗すべくコングを連れ出すのだが……。
 いつもながらハリウッドのVFX技術は凄まじいのだが、本作においても前作同様ストーリーは取って付けただけで、破壊と怪獣同士のプロレスごっこだけを売りにしている感がある。前作では、キングギドラ・モスラ・ラドンなど怪獣総進撃を描いてみせたが、今度は『キングコング対ゴジラ』の焼き直しかいな。さらに「メカゴジラ」のおまけまでついてきた。

 これらゴジラ対怪獣のプロレス映画は、日本ではもう完全に終わっている。ましてや2016年の『シン・ゴジラ』では政治とゴジラを描き、2023年の『ゴジラ-1.0』では、終戦直後の人間模様とゴジラ出現を重ね合わせて描いている。さらにゴジラ自体もパワーアップし、より凶悪な人類の敵として設定されているのである。もうハリウッド製のゴジラは時代遅れで、なんとなく今更観と虚しさが漂っている感があった。
 
 2024年には本作の続編として『ゴジラxコング 新たなる帝国』が上映される予定であるが、正直言って余り興味は惹かれない。それよりも日本製の『ゴジラ-1.0』の続編のほうを是非観てみたいね。
 

評:蔵研人

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2023年12月27日 (水)

月の満ち欠け

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著者:佐藤正午

 佐藤正午の作品を読むのは今回で二回目である。初めて読んだのは『Y』という小説なのだが、その妙な『Y』というタイトルの意味は、人生の分岐点と考えるらしい。あの日あのとき、もし別の選択をしていたら、現状とは全く異なる人生を歩んだかもしれない……。つまり「あの時に戻ってやり直しをしたい」という、人間の永遠のテーマを描いたファンタジックなストーリーであった。

 一方本作のほうは、輪廻転生のスピリチュアル・ラブ・ストーリーで、三人の男性と月の満ち欠けのように何度も生まれ変わるヒロイン瑠璃が紡ぐ30余年におよぶ時の流れと、さまよい続ける魂の物語といえるだろう。なお本作は第157回直木賞受賞作品であり、2022年に大泉洋、有村架純などのキャススィンクで映画化されている。映画のほうは本作を読んでから気付いたため、残念ながら今のところは未鑑賞であるが、できればすぐにでもDVDで観賞したいものである。

 とにかく本作はパズルのような時間の繋ぎ方をしながら進行してゆくため、じっくり読んでゆかないと登場人物たちの関連性を把握できない。できれば登場人物の相関図を創って欲しかったよね。ただ結末が気になって気になって、終盤は猛スピードで読み切ってしまった。その割りにはややあっけない結末だと感じたのは、私の読解力が不足しているためであろうか。もしかすると、二度読みする必要があるのかもしれない……。


評:蔵研人

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2023年12月24日 (日)

ザ・コア

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★★★☆
製作:2003年 米国 上映時間:134分 監督:ジョン・アミエル

 午前10時30分、ボストンでペースメーカーを身に付けていた32名の人々が一斉に突然死を遂げた。なんとその翌日の英国ロンドンのトラファルガー広場では、鳩の大群が突然方向感覚を失って暴れ始めたのである。さらにその2日後には、地球へ帰還途中のスペースシャトル・エンデバー号が、突如として制御不能に陥って河の中に緊急着陸するのだった。
 この一連の不可解な異常現象は、地球のコアの回転が停止していることが原因であり、磁場のなくなった地球は太陽光線をまともに受けて、1年以内に焼き尽くされることを意味していたのである。人類にはこれらを防ぐ手立てはないと思われたが、難しいがたったひとつだけ手段が残っていた。それは各部門の専門家6人が、棒状の探索機で海底を潜り続けて地殻を突き破り、マグマの中を突き進んで核弾頭をぶち込むという超荒業であった。

 SFなので荒唐無稽で超奇抜な発想なのは許せるとしても、探索機はどうしてマリアナ海溝最深部で水圧で押しつぶされないのか、さらにマグマの中でも溶けないのだろうか。嘘でもこじつけでもいいから、なんとなく納得できそうな科学的な根拠を示して欲しかったね。それが大人の観るSF映画だと思うのだが……。
 まあその辺りは大おまけで目をつぶるとして、ラストは主人公だけが生き残るというパニック映画お決まりのシーンなのだが、実に清々しく気分良く締めくくられていたのが救いであった。

評:蔵研人

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2023年12月17日 (日)

この嘘がばれないうちに

著者:川口俊和

 2017年に本屋大賞にノミネートされ翌年映画化された『コーヒーが冷めないうちに』のシリーズ2作目の作品である。今回も第1作同様、登場人物が過去に戻り、家族や友人恋人に伝えたい願いや想いを綴ってゆく。『親友』、『親子』、『恋人』、『夫婦』の4話で構成されているのだが、『恋人』だけは過去ではなく未来に跳んでゆくお話であった。

 やはりシリーズ化してしまうと、初回作のときのような驚きがないため、いささかマンネリ感が漂ってしまうようだ。また読み易くてほのぼのとした優しさは感じるものの、反面大きな刺激や躍動感のようなものが足りないし、びっくりするようなどんでん返しも用意されていない。だから面白くて次々と頁をめくって行くと言うよりは、なんとなく義務感にせっつかされて読んだ感があった。

 このシリーズは、本作以降に『思い出が消えないうちに』、『さよならも言えないうちに』、『やさしさを忘れぬうちに』と似たようなタイトルが3作続く。ただ本作を読んだ限りでは、何となくその内容が想像がつくので、もう本作で打ち止めにしようかと考えている。

評:蔵研人

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2023年12月13日 (水)

シークレットウィンドウ

★★★
製作:2004年 米国 上映時間:96分 監督:デヴィッド・コープ

 ある日突然、売れっ子小説家のモート・レイニーの住む小屋に、シューターと名乗る謎の男が現れて、「自分の書いた小説がお前に盗作された」といちゃもんをつけてくる。モートには全く覚えがないのだが、男は執拗にモートの前に訪れる。そしてモートに関わっている者たちを、次々に殺害し始めるのだ。一体シューターとは何者で、真の狙いは何なのかさっぱり分からないまま、モートは精神を病み追い詰められてゆくのだった。

 本作はスティーブン・キングの原作で、かなり恐ろしいストーリーなのだが、モートを演じているジョニーデップが、なんとなくおバカに見えてしまい怖さが半減してしまうのだ。どうもジョニーデップには、パイレーツのイメージがまとわりついていて、何を演じてもギャグ臭くなってしまうのだろうか。そういう意味では演技が上手い下手ではなく、役柄がマッチしていなかったのかもしれないね。

 いずれにせよ終盤に、謎の男シューターの正体がバレた時点でかなり失望してしまった。中盤まで散々振り回された挙句、このどんでん返しでは納得できない。つまりこの結末方法は、夢落ち同様の反則技だからである。
 

評:蔵研人

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2023年12月 6日 (水)

龍は眠る

著者:宮部みゆき

 古い本であるが、久々に宮部みゆきの本を読んだ。やはり読み易いし、細部にわたって調査が行き届いており、筆運びも達者なのでどんどん引き込まれてゆくのだ。本書はミステリー風味を漂わせているのだが、実は超能力者二人の苦悩を描いた社会ドラマと言ってもよいかもしれない。逆に言えば、派手な超能力合戦を期待すると裏切られることになるだろう。超能力と言っても、テレパシーとか予知とかいった類なのだが、一人のほうだけはテレポートもできるらしい。

 従って真の主人公は超能力青少年の二人なのだが、それにしては登場時間が短い。その代わり高坂昭吾というちょっぴり偏屈だが真面目で心優しい雑誌記者が、狂言回しとしてあたかも主人公のように立ち振る舞っているのである。彼が偏屈になったのは「子種がない」ということが原因らしい。だがその割には意外に女性にもてるところが羨ましいね。

 ストーリーは台風の夜に車を走らせていた高坂が、路上でパンクした自転車を引きずっている少年を、車に乗せて助けるところから始まる。少年は超能力者で近くのマンホールに子供が落ちたこと、さらにはマンホールの蓋を開けっ放しにした二人の男がいたことも知っていた。
 その二人の男は、悪気があって蓋を開けたのではなかったが、少年に責められてノイローゼになる。そしてこれを苦にした一人が自殺してしまうのだ。このあたりから摩訶不思議な手紙が、高坂のもとに届くようになるのである。
 
 一体謎の手紙は誰が書いたのか、さらにはこの手紙と関連したかのような拉致事件が勃発するのだが……。と著者はなかなか手綱を緩めず、少しづつ難問を振り撒いて行く。もうこうなったら、最後まで一気読みするしかなかろう。さすが宮部みゆきだね。ただ途中で犯人が想像できてしまったことと、その動機がいま一つ手垢がつき過ぎていたことだけが、ちょっぴり残念であった。

 この古い本を読んだ直後、奇しくも本作をTVドラマとして再放映していたので、さっそく録画して鑑賞してみた。前半はほぼ原作通りであったが、後半はやや端折って脚本を書いたようで、少し話の辻褄が合わなかった。唯一良かったのは聾唖者の女性だけだったかな。


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2023年12月 2日 (土)

夢工場ラムレス

著者:川邉徹

 著者の川邉徹は、WEAVERというロックバンドのドラマーで、ほぼ全ての楽曲の作詞も担当していた。その作詞の才能をさらに生かして、2018年に本作を書き上げて小説家デビューを果たしたという。また本作のほかにも『流星コーリング』など6作の小説を書き、漫画や写真集も上梓し、多彩な才能を披露している。

 夢の中で夢を夢だと認識したとき、もし青色の小さな扉を見つけたら、そこは夢をコントロールできる夢工場の入口なのだという。そしてそこで夢を修正することによって、現実も変えられるというファンタジックなお話集なのである。

 その中身は『未来の夢』、『過去の夢』、『理想の夢』、『他人の夢』、『管理人の夢』の5つのショートストーリを、オムニバス方式で繋ぎ合わせた構成になっている。また最終章では4つのストーリーを括りながら、夢工場の管理人の正体も明かされることになる。なかなかよくまとまった作風で、まさにデビュー作に相応しい堅実な出来栄えと言えよう。

 なお本作はタイムトラベルとは直接関係ないが、「夢の世界は過去も未来も思うが儘」ということになるので、あえてタイムトラベル系列の中に含ませてもらった次第である。

評:蔵研人

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