ゴジラ-1.0
★★★★
製作:2023年 日本 上映時間:125分 監督:山崎貴
本作はゴジラ映画の原点に立ち戻り、巨大化した本格的なゴジラ登場は、戦後まもない東京を舞台にしている。それにしても本作は、過去の全ゴジラシリーズの中でも、圧倒的な恐怖と迫力と完成度を誇っているではないか。また今回のゴジラは完璧なVFXだけではなく、涙を誘う人間ドラマとしても十分堪能できてしまうのだ。子役の女の子もいじらしいし、自らが犠牲になり、戦後の日本を若者たちに託してゆく男たちの生きざまにも感動してしまうだろう。
さらに試作ながらも『震電』と呼ばれた当時世界最速の戦闘機が、ゴジラに向かってゆく姿が初々しくて堪らない。この震電の開発がもっと早ければ、もしかすると米国に勝利したかもしれないと言われたほど優れた新鋭機で、私たちは子供の頃に、プラモデルの震電の雄姿に打ち震えたものである。
ところで本作は『シン・ゴジラ』と比べると、キャスト陣がやや小粒であり、政治家は介入してこないし、登場人物の数も圧倒的に少数である。だが少人数だからこそ人間ドラマが描けたのだと言えばその通りだし、時代背景も異なるので仕方がないのかもしれない。
またシン・ゴジラは、優秀な官僚と日本独自の技術をしてゴジラに立ち向かうという、日本的思考で塗り固めた作品だったのに対して、本作は個人優先のハリウッド的思考を前面に押し出しているところが興味深い。ただ在日米軍が、ソ連対策のため全く動けないという設定だけはよく理解できなかった。
さてネタバレになるので詳しくは書けないのだが、ラストの奇跡的なハッピーエンドはいかがなものであろうか。「自己犠牲をする必要はない」という現代流のメッセージは理解できるとしても、少なくともどちらか一人が死ななければ余りにも嘘臭いし、真の感動も生まれ得ないことは、山崎監督なら百も承知のはずだが……。
また典子の首に残っていた黒いアザが、一体何を意味しているのかが不明であり、その理由如何ではアンハッピーに繋がる恐れがあるのかもしれない。まあ裏の意図はともかく、表向きはハッピーエンドで収め、本作を米国へ輸出し易くするための妥協なのだろうか。
評:蔵研人
下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓
↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪
| 固定リンク | 0
コメント