エデンの東
★★★☆
製作:1955年 米国 上映時間:115分 監督:エリア・カザン
あの名曲で有名になった名作映画『エデンの東』を久し振りに鑑賞してみた。本作はなんと60年前に製作されたのだが、今日でもほとんど色褪せていない。オープニングから約5分間は、あの名曲をバックに延々と岩礁だけのシーンが映し出されるのだが、このシーンは何を意味しているのだろうか……。
銀行から出てくる女性を付け回す若者、これが主役のキャル青年を演じるジェームズ・ディーンなのだが、まさか強盗でもストーカーでもあるまい。次第に分かってくるのだが、つまり彼女はキャルが幼い頃に、家族を捨てて家を出てしまった母親だったのである。
キャルは無断で家を出たり、暴言を吐いたりとかなり不良ぽい、だから父親にも愛されない。ところが本当は、淋しがり屋で繊細な神経の持ち主だった。一方弟のアーロンは優等生で父親に溺愛されており、すでに美人の婚約者アブラもいる。だが彼女は生真面目過ぎるアーロンに退屈感を抱き始め、次第に逞しいキャルに惹かれてゆくのだが……。
本作の原作はジョン・スタインベックの小説で、時代背景は第一次世界大戦中の1917年、舞台はカリフォルニア州の小都市サリナスの農場である。テーマは戦争への疑問と家族愛と葛藤、さらには淡い恋愛といったところであろうか。
そもそもタイトルの「エデンの東」とは、旧約聖書の一節に出てくる言葉で、アダムとイヴがエデンの園を追われた後に生まれた兄弟の間で、神への貢物による神の愛の差を巡り、兄弟殺しと嘘という罪が発生し、罪を犯した兄がエデンの東に追放される という物語である。本作では父親の誕生日に贈られたキャルとアーロンのプレゼントに対する父親の反応を巡って、平和だった一家に不幸が舞い降りてくるという流れになっている。
つまり本作は旧約聖書のオマージュ作品でもあり、父親からの愛を切望する息子の葛藤、反発、和解などを巧みに描いている。ただラストが余りにもあっけなかったのだけが心残りであった。
なお主演のジェームズ・ディーンは、本作で初主演しアカデミー主演男優賞にノミネートされる。さらに続けざまに『理由なき反抗』でも主役を演じ脚光を浴びるものの、残念ながら自動車事故に遭い24歳の若さでこの世を去った伝説的俳優である。
評:蔵研人
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