ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
製作:2017年 米国 上映時間:116分 監督:スティーヴン・スピルバーグ
監督がスティーヴン・スピルバーグ、主演がメリル・ストリープとトム・ハンクスという超豪華なキャストであり、しかも実話をもとにした作品だというのだ。そしてテーマは、戦争と政治というかなり重いストーリーであり、当然アカデミー賞に輝くと思っていたのだが、残念ながらノミネートに留まってしまった。
ペンタゴン・ペーパーズとは、ベトナム戦争時にアメリカ政府が作成した極秘文書のことである。そこには歴代政権がベトナム戦争を行うために不正を繰り返してきたこと、またアメリカがベトナムに勝てないなどの分析が記載されていたのだ。だがそれは政府にとって不都合な事実として隠蔽され、多くの若者がベトナムで命を失ってしまったのである。本作ではこの事実を報道するまでの経緯と、関係者たちの葛藤などを見事に描いている。
新聞社の中にも、正義を貫き報道の自由を主張する者、反逆罪に問われ経営の破綻を心配する者と意見が分かれるのだが、最終決断するのがメリル・ストリープ扮するところの社主ケイ・グラハムであった。彼女は自殺した夫の後を継ぎ、ワシントンポストの経営を司っているのだが、それまでは子育てに専念していた主婦であり、全くのド素人で取締役会でも疎外感に襲われていた。
そんな彼女が国家を揺るがすほどの大決断を迫られるのだから、気の毒を通り越して残酷とも言えよう。だが本作は終盤の約30分間で、彼女がその大決断を下してから最高裁の判決が発表されるまでの過程が一番の見所なのである。さらに最後の最後に、あのニクソン大統領が辞任にまで至った「ウォーター・ゲート事件」の幕開けシーンが皮肉のように付け加えられていたのには苦笑してしまった。
評:蔵研人
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