ブルーベルベット
★★★
製作:1986年 米国 上映時間:121分 監督:デビッド・リンチ
デビッド・リンチ監督と言えばカルトの帝王とか鬼才と称される映画監督で、若いころは『イレイザーヘッド』や『エレファント・マン』などの作品に痺れたものである。ただ年を取るに従い、単に分かり難い映画としか感じられなくなってしまった。
父親の急病で倒れたため、休学届を出して田舎町ランバートンに帰郷した大学生のジェフリーが主人公である。まずこの父親が捻れたホースで散水している途中で倒れるのだが、その原因がいま一つよく分からない。そして父親が入院している病院の近くの草むらで、ジェフリーが『人間の耳』を発見するのだが、何となくそれも無理やり感が漂っていた。
その後ジェフリーが警官の娘・サンディと知り合って、ディープ・リヴァー荘に住む女性歌手ドロシーがこの事件に関係していることを知ってからは、急に素人探偵になって彼女の部屋に忍び込むのも不自然である。またなぜサンディを巻き込んだり、弱いくせに無茶をして危険を冒すのか、そんな彼の行動にも全く共感できないのだ。
さらにその後の異常セックスや不条理な暴力にも、ほとんど興奮もしないし驚きもない。これはすでにこの映画が製作されて37年も経過しているからかもしれない。時代の推移とは恐ろしいものである。未だに色褪せずに少し引き込まれたのは、ドロシーとオカマが歌う二曲の歌ぐらいかな……。
いずれにせよ、この監督はストーリーより感覚重視派なので、省略の連発なのだが、余り真面目に考えないほうがよいだろう。とはいえ終盤に突如スッポンポンで路上に現れたドロシーには、観ているほうが動転してしまった。それ以上に彼女の部屋の中で観た異常な光景には、完全に置いてけぼりを食らってしまった。なんであんな状態で二人が死んでいるの一体何だったのだろうか。よく分からないままの終劇であった。
評:蔵研人
下記のバナーをクリックしてもらえば嬉しいです(^^♪↓↓↓
↓ブログ村もついでにクリックお願いします(^^♪
| 固定リンク | 0
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- ゴジラ-1.0(2023.11.28)
- ファイナル・スコア(2023.11.16)
- オルカ(2023.10.31)
- ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2023.10.22)
- エデンの東(2023.10.14)
コメント