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2023年9月の記事

2023年9月29日 (金)

ストーリー・オブ・スーパーマン

★★★★
製作:2006年 米国 上映時間:110分 監督:ケビン・バーンズ

 スーパーマンファン必見の「スーパーマンの歴史をひも解く」ドキュメンタリー作品である。これまで世界中の人々に最も多大な影響を与えてきた最強のヒーローと言えば、何と言ってもスーパーマンであろう。

 その歴史をひも解くと、まず1938年に原作ジェリー・シーゲルと作画ジョー・シャスターによって創造され、アクション・コミックス誌第1号で初登場したのが始まりと言われている。その後コミックと並行してアニメ、ラジオ、映画、TVドラマなどが繰り返し製作されることになる。
 その中でも我々団塊の世代に一番馴染んでいるのは、1950年代にTVドラマとして放映された ジョージ・リーヴスのスーパーマンと1978年~1987年に製作されたクリストファー・リーヴのスーパーマンである。
 しかしながら奇しくも二人とも若くして自殺や事故が原因で亡くなっているし、その他の俳優やスタッフにも不幸が降りかかってくるという。これを「スーパーマンの呪い」と呼び、スーパーマン映画に出演したがらない俳優もいるというのだ。

 本作ではそれらの事実も踏まえながら、歴代のコミック、アニメ、実写映画、TVドラマなどの映像をふんだんに紹介してゆく。ただし本作は2006年に製作されたブランドン・ラウスの『スーパーマン リターンズ』のプレゼン的な作品のため、当然ながらそれ以降に製作されている『マン・オブ・スティール』、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』、『ジャスティス・リーグ』などについては言及がないので念のため。まあ私自身の中では、『マン・オブ・スティール』以降のダークなスーパーマンは、スーパーマン映画の本流ではないと思い込んでいるのだが……。
 
評:蔵研人

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2023年9月24日 (日)

時をとめた少女

著者:ロバート・F・ヤング

 タイトルとカバーイラストがとても魅力的ではないか。と言っても、もちろん著者があの『たんぽぽ娘』のロバート・F・ヤングだから本書を購入したのである。なぜかヤングは、日本では人気があるのに本国アメリカではマイナーな作家のようである。よく分からないが、これもお国柄の違いであろうか……。

 本作に収められているのは、タイトルの『時をとめた少女』のほか、『わが愛はひとつ』、『真鍮の都』、『妖精の棲む樹』、『花崗岩の女神』、『赤い小さな学校』、『約束の惑星』の7編が収められている。なおこのうち冒頭の3作がタイムトラベル絡みの話である。


 個人的には、メル・ギブソン主演映画『フォーエヴァー・ヤング 時を越えた告白』そっくりの『わが愛はひとつ』が一番面白かった。また時間と愛を絡ませたラブファンタジーは、ヤングの真骨頂であり、本作は最高傑作『たんぽぽ娘』の原点なのかもしれないね。タイムトラベルファンなら、是非とも読み比べて欲しいものである。

評:蔵研人

 

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2023年9月17日 (日)

スーパーマン4 最強の敵

★★☆
製作:1987年 米国 上映時間:93分 監督:シドニー・J・フューリー

 45年前にクリストファー・リーヴ版スーパーマンを初めて観たときは、感動に打ち震え自分もすっかりスーパーマンになりきっていて、劇場を出たときに思わず両手をあげてジャンプしてしまった記憶がある。それからずっとスーパーマンに取りつかれペンネームも蔵研人(クラ・ケント)とクラーク・ケントをもじっているのだ。さらにその後上映されているスーパーマン映画は全て劇場で観ているし、TVドラマも含めたDVDも全て所持している。

 さて久し振りに、クリストファー・リーヴ版スーパーマンシリーズ最終作を再鑑賞してみた。本作は主演のクリストファー・リーヴ自身がストーリー構成を考えたというが、残念ながらシリーズ中で最低の評価作になってしまったようである。
 日本では宿敵のルーサーが、スーパーマンの髪の毛から生み出したニュークリアマンとスーパーマンの対決が売りということで、『最強の敵』というサブタイトルをつけているようだ。ただ原題は『Superman VI The Quest for Peace』なので、「The Quest for Peace・平和の探求」つまりスーパーマンが核廃絶に力を尽くすということが、メインテーマになっているようである。

 評価の低い理由のひとつは、第二作でのロイス・レインとの関係がチャラになっていたり、彼女の扱いが雑だったりするところだろうか。というよりストーリーそのものが大雑把でインチキ臭いということかもしれない。太陽の中からニュークリアマンが服を着て産まれたり、スーパーマンが月を動かしてしまったり核ミサイルを収集したりと、余りにもマンガ的ハッタリシーンが多過ぎるのだ。
 さらには原題になったメインテーマの「平和の探求」も中途半端な形で終始し、いつの間にかニュークリアマンとの生産性のない戦いだけにスポットライトが当てられる流れだけになってしまったのも残念である。いずれにせよ、回を重ねるごとに天文学的に強くなり過ぎたスーパーマン映画の難しさ、いや限界点なのであろうか……。

評:蔵研人

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2023年9月13日 (水)

美女と野獣

★★★★
製作:2017年 米国 上映時間:130分 監督:ビル・コンドン

 エマ・ワトソン主演の実写映画である。ただ実写と言っても今どきのファンタジー映画ならCG満載ということになり、厳密にいえば実写とアニメの融合ということになるのかもしれない。
 そもそも『美女と野獣』と言えば、フランスの異類婚姻譚であり、1740年にヴィルヌーヴ夫人によって最初に書かれた小説だが、現在広く知られているのはそれを短縮して1756年に出版されたボーモン夫人版だという。その後数々の映画やテレビドラマ、あるいはバレエ、オペラ、ミュージカルなどの舞台で演じられているのだが、なんと言っても誰もがよく知っているのはディズニーのアニメであろう。

 本作はそのディズニーが製作した実写映画なのである。従って本作はアニメを忠実に再現したようだ。ただ完成度を高めるために、若干細かい部分で修正したらしい。いずれにせよ、ラストはディズニーのお約束である大団円で締めくくるので老若男女すべてが安心して楽しめることになる。
 

評:蔵研人

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2023年9月10日 (日)

隣のヒットマン

★★★☆
製作:2000年 米国 上映時間:99分 監督:ジョナサン・リン

 歯科医を開業しているオズ(マシュー・ペリー)は、妻ソフィの父が残した借金を抱え、テンテコ舞いの日々を送っている。もちろん思いやりゼロでわがまま放題のソフィとの仲もすっかり冷えきっていた。そんなとき、隣に殺し屋のジミー(ブルース・ウィリス)が引っ越してくる。シカゴを牛耳るマフィア、ラズロを裏切ったうえ死刑に追いやり、本人は刑期を終えて出所してきたばかりの身であった。
 だが隣人のよしみでジミーに無理やり付き合わされたオズは、ジミーが以外に悪い人間ではないと感じる。同様にジミーも生真面目でお人好しのオズを気に入ってしまうのだった。

 ところが妻ソフィは父親の残した借金返済のため、ジミーをラズロの息子ヤンニに売れと嫌がるオズに迫る。さらに生命保険目当てに、オズをも殺害しようとしていた。美人だが性格ブスで、とんでもない悪妻なのだ。さらに込み入ったことには、歯医者で助手をしているジルまでが絡んできてとんでもない展開になってくる。
 
 いずれにせよ、腕利きだが気の良い殺し屋という役柄としては、まさにブルース・ウィリスは適役だったね。またその妻シンシアを演じたナターシャ・ヘンストリッジの美しいこと。さすがモデルをしていただけあってスタイルも抜群で、本作では「可憐な名花」となっていた。ただ肝心の主役オズを演じたマシュー・ペリーが太り過ぎていて、かなりおバカなイメージがつきまとっていたのがちょっぴり残念だったね……。

 また本作はコメディー仕立てのアクション映画なので、ダイハードのような派手なシーンだけは期待しないように。ただし質のいいコメディタッチと、二組の幸せカップル誕生の瞬間を楽しめることだけは間違いないだろう。
 
 
評:蔵研人

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2023年9月 6日 (水)

ブルーベルベット

★★★
製作:1986年 米国 上映時間:121分 監督:デビッド・リンチ

 デビッド・リンチ監督と言えばカルトの帝王とか鬼才と称される映画監督で、若いころは『イレイザーヘッド』や『エレファント・マン』などの作品に痺れたものである。ただ年を取るに従い、単に分かり難い映画としか感じられなくなってしまった。

 父親の急病で倒れたため、休学届を出して田舎町ランバートンに帰郷した大学生のジェフリーが主人公である。まずこの父親が捻れたホースで散水している途中で倒れるのだが、その原因がいま一つよく分からない。そして父親が入院している病院の近くの草むらで、ジェフリーが『人間の耳』を発見するのだが、何となくそれも無理やり感が漂っていた。
 
 その後ジェフリーが警官の娘・サンディと知り合って、ディープ・リヴァー荘に住む女性歌手ドロシーがこの事件に関係していることを知ってからは、急に素人探偵になって彼女の部屋に忍び込むのも不自然である。またなぜサンディを巻き込んだり、弱いくせに無茶をして危険を冒すのか、そんな彼の行動にも全く共感できないのだ。
 さらにその後の異常セックスや不条理な暴力にも、ほとんど興奮もしないし驚きもない。これはすでにこの映画が製作されて37年も経過しているからかもしれない。時代の推移とは恐ろしいものである。未だに色褪せずに少し引き込まれたのは、ドロシーとオカマが歌う二曲の歌ぐらいかな……。

 いずれにせよ、この監督はストーリーより感覚重視派なので、省略の連発なのだが、余り真面目に考えないほうがよいだろう。とはいえ終盤に突如スッポンポンで路上に現れたドロシーには、観ているほうが動転してしまった。それ以上に彼女の部屋の中で観た異常な光景には、完全に置いてけぼりを食らってしまった。なんであんな状態で二人が死んでいるの一体何だったのだろうか。よく分からないままの終劇であった。


評:蔵研人

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2023年9月 2日 (土)

徳川家康 弱者の戦略

著者:磯田道史

 2023年のNHK大河ドラマは、松本潤が演じる『どうする家康』で、弱虫だった家康が少しずつ成長して、天下人になるまでを描いてゆくようである。本書ではその弱虫だった家康を歴史学的に検証しながら、逆境に学び続けた天下人の実態に迫ってゆくのである。
 家康は強力な超人パワーと実行力に満ち溢れていた信長や、権謀術数と巧みな人心掌握術に優れ、さらに膨大な兵力と資力を誇る秀吉のようなカリスマではない。だが己が経験したことや見聞きしたことをひとつひとつ地道に積み上げ、信長や秀吉が成し遂げられなかった15代にも及ぶ長期政権の礎を築いた努力と辛抱の人だったようだ。また優れた家臣に恵まれていた……というより家臣の使い方が非常に巧みだったのである。

 また当然のことながら、家康が天下人になるまでには、いくつかの障害と選択肢があった。まずは今川を裏切って織田と同盟を結んだこと、もしこの選択肢を誤っていれば、天下人どころか今川とともに滅んでいたことだろう。さらに武田信玄急死による武田軍廃絶や、本能寺の変で無事伊賀越えと成し遂げたという運の良さ、さらには天正大地震で秀吉側が莫大な被害を受けたことなど、数え上げたらきりがないほど悪運に恵まれていたようだ。

 さて今回の大河ドラマでは、家康の正室である築山殿をかなり美化しているのだが、歴史学的にはそもそも今川出身の築山殿にしてみれば、家康が今川を裏切った時点から恨み続けていたようであり、嫡男・信康においても、気性が激しく日頃より乱暴な振る舞いが多く、家康とは反目しあっていたとも言われている。従って単に信長の命令だけで、築山殿と信康を処断したわけではなく、家康の意向も含まれていたと解釈されているようだ。
 また秀吉による関東転封も、家康自身はさほど不服だったわけではなく、むしろ秀吉との棲み分けや石高の大幅増加、関東平野や江戸湾などの地勢にも惹かれて積極的に受け入れたようである。

 本書ではこのような話を織り込みながら、歴史学者的観点を踏まえながら分かり易く家康が天下人になれた経緯を描いてゆく。また190頁という新書版の薄さも手伝ってか、遅読の私でもたった3日であっという間に読破してしまった。寝苦しい夏の熱帯夜を忘れるためにも、是非手軽に本書を手に取ってみようではないか。

評:蔵研人

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