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2023年7月の記事

バットマン フォーエヴァー

★★★
製作:1995年 米国 上映時間:119分 監督:ジョエル・シューマカー

 スパーヒーローであるバットマンが登場する映画は、正確にはこれまでに20作品もあるのだが、記憶に刻まれ始めたのは1989年に公開されたティム・バートン監督、マイケル・キートン主演の『バットマン』からであろう。
 その後クリストファー・ノーラン監督の描いた『バットマン ビギンズ』からは、かなりダーク色の濃い作品にイメージチェンジされていゆく。さらに『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』をきっかけに、他のアメコミヒーローとの共演というパターンに染まってゆくのである。
 そんな過去の作品群の中で、唯一見逃していたのが、本作の『バットマン フォーエヴァー』だったのだが、今更感もありそのまま放っておいた。ただ最近本作がTV放映されたので喜んで観賞した訳である。

 ストーリー的には、ロビン誕生の経緯を盛り込んではいるものの、特に目新しい展開は見られない。ただキャスト陣が豪華なのだ。ニコール・キッドマンをはじめ、敵役を演じたジム・キャリーとトミー・リー・ジョーンズの怪演が本作を盛り上げていた。
 逆に言うと、主役のバットマンを演じたヴァル・キルマーはイケメンなのだが、この敵役に食われて何となくぱっとしないのだ。そんな評価を得たためか、彼のバットマンは本作限りとなってしまったのである。

 
評:蔵研人

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時空の巫女

著者:今野敏

 自衛隊統合幕僚会議情報局の綾部は、米国防情報部から奇妙なレポートを受け取り困惑していた。そのレポートには、超常能力を持つ世界中の少年少女たちが同じ夢を見て怯えていると記されていたのである。そしてその夢とは、未だかつて見たこともない大爆発が延々と続き、地上の全てを焼き尽くし全ての人類が死に絶えるという恐怖の悪夢であった。
 同じ頃、原盤制作会社社長の飯島は、親会社の命令で新人アイドル発掘業務にとりかかることになる。そこでオーデションなどを開催するのだが、なかなかこれといった新人が見つからない。そんな中で偶然に、かつてネパールの生き神様だったチアキ・チェスとAV女優の池沢ちあきに辿り着く。なんと彼女たちの共通する「チアキ」という名前は、あの悪夢を見た少年少女たちが、救世主と崇める人物の名と一致していたのだった。

 とにかく構想が面白いし、文章が巧みで実に読み易い。そして自衛隊と芸能プロダクションとの異例な取り合わせや、その着眼点もただものではない気配を感じる。また会話の中で論じられる宇宙論や唯我論も、なかなか分かり易く興味深く解説されていた。著者の今野敏は実に多彩な知識ポケットを有しているようだ。ただひとつ文句を言えば、ラストが余りにも当たり前であっさりし過ぎていたことだろうか……。


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サクラ咲く

著者:辻村深月

 本書は光文社の『BOOK WITH YOU』として発行されているので、対象読者は中高校生ということになる。だから非常に読み易く読書が苦手な人でも、あっという間に読破してしまうことだろう。
 また本書にはタイトルの『サクラ咲く』のほか『約束の場所、約束の時間』と『世界で一番美しい宝石』の三篇の中編が掲載されている。この中の『サクラ咲く』と『約束の場所、約束の時間』は中学生が主人公でやや児童書といった感が拭えないが、『世界で一番美しい宝石』は高校生が主人公で、内容的にも大人が読んでも全く違和感がないだろう。
 
 この本を買った動機は、タイムトラベル系の話だと知ったからである。ただ三作のうち『約束の場所、約束の時間』だけがタイムトラベル系のストーリーであり、タイムマシンで未来から跳んできた少年と現代の少年との心温まる友情の話であった。
 また『サクラ咲く』は、中学生の男女グループの友情と淡い恋心に、図書室の本に挟まれていたメモの謎がからんだちょっぴりミステリアスな話だったが、ラストに合唱する歌の歌詞がなかなか良かったね。
 そして『世界で一番美しい宝石』では、高校の映画同好会の部長が、「図書室の君」と呼ばれる立花亜麻里に製作映画のヒロインを依頼するのだが、何度頼んでもなかなか引き受けてくれない。それでも小さいときに読んだ「宝石職人の話」が描かれている児童書を探してくれたら、OKしてもよいという返事をもらうのだったが……。

 なんとこの立花亜麻里と、『サクラ咲く』に登場した図書室のメモを書いた謎の人物がなんとなくダブってくるのだ。もしかすると彼女たちは、若かりし頃の辻村深月の分身なのではないだろうか。ジュニア向けの中編集であるが、いい年をしたおじさんにも楽しめたのは嬉しかったね。

評:蔵研人

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ポンペイ

★★★☆
製作:2018年 米国・独・カナダ 上映時間:105分 監督:ポール・W・S・アンダーソン

 1959年に製作された『ポンペイ最後の日』という映画があったが、本作はそのリメイク版である。そもそも『ポンペイ最後の日』は、西暦79年、ヴェスヴィオ火山の大噴火により火山灰に埋もれて消滅したローマ帝国の街ポンペイを舞台にした、初代リットン男爵ことエドワード・ブルワー=リットンの小説が原作であり何度も映画化されているようだ。本作もその一環ではあるが、ストーリーはかなりアレンジされているようである。ことにラストシーンが現実的な締めになっている。

 さて本作のネットでの評価はあまり芳しくないのだが、終盤の火山噴火と逃げ惑う人々のシーンは、まさに大スペクタクルそのもので絶賛に値するだろう。ただキャストにいま一つの物足りなさを感じたのは否めない。つまり主人公やヒロイン、悪役たちの全てが小粒で迫力感が湧かなかったのである。また悪役の議員がターミネーターのように不死身で強すぎたのが、かなり納得できなかったね。ただいずれにせよ、ネットの酷評ほど酷い映画ではなく、私的にはまずまず楽しめたとだけは言っておこう。
 
 
評:蔵研人

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耳をすませば

★★★★
製作:1995年 日本 上映時間:111分 監督:近藤喜文

 宮崎駿脚本のスタジオジブリ作品である。30年近く前に製作されたアニメ作品だが、全く違和感がなくストーリーに入り込めた。またヒロイン月島雫が恋心を抱く天沢聖司の声優が若かりし日の高橋一生だったというのにも驚いた。また父親役の声優だけが棒読みで浮いている感があったが、それもそのはず声優素人でジャーナリストの立花隆だというのだ。なぜ彼を起用したのかは不明だが、私にはせっかくの良い話に水を差されたような気がする。

 読書好きな女子中学生の少女・月島雫は、図書館で借りる本の貸し出しカードのほとんどに「天沢聖司」という名前があるのを見つける。それで顔も知らない天沢聖司の存在が気になってしかたがない。そんなある日、雫は電車の隣座席に座っていた奇妙な猫に導かれ、「地球屋」という不思議な雑貨店に迷い込む。そしてその店主である老人の孫が天沢聖司であることを知ることになる。それがきっかけで2人は徐々に距離を縮めてゆく。

 と言った学園ラブストーリーなのだが、単なる惚れた腫れたではなく、バイオリン職人を目指す聖司に後れを取るまいとして、必死に小説家を目指す雫の心情が見事に描かれている。そしてバロンという名の猫の人形にまつわる祖父の思い出話にも惹かれてしまうだろう。
 また頻繁に車が走り回る道路状況や、夕闇に輝く電車や飛行機、新聞配達の少年の姿、朝日が昇る景色などなど、さりげなく描かれた風景がヒロインの心情とリンクしているようで、なかなかきめ細かい演出力を感じてしまった。さらにテーマ曲のカントリーロードによって、ほっこり感としんみり感にふんわりと包まれてしまいそうなのだ。
 
評:蔵研人

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ピエロがお前を嘲笑う

★★★☆
製作:2014年 ドイツ 上映時間:106分 監督:バラン・ボー・オダー

 大胆不敵なハッキング事件を起こし、さらに殺人容疑で追われている天才ハッカーのベンヤミンが警察に自首し、その手口の全てを告白する。本作はその告白部分が約95%というユニークな構成である。珍しいドイツ製のサイバースリラー映画で、全編に仕掛けられたトリックが話題を呼び、ドイツ・アカデミー賞6部門にノミネートされたほか世界各地の映画祭でも支持されたようだ。

 あまりあらすじに触れ過ぎると、ネタバレになるので省略したいが、テーマがテーマだけにじっくり観ていないとよく分からなくなりそうだし、ある意味で前半は退屈かもしれない。だが後半になるとだんだん引き込まれてゆくはずである。そして終盤にどんでん返しが待っているのだが、さらにラストに再度どんでん返しが待ち構えているという、なかなか用意周到で凝りに凝った脚本であった。ただ無理やりという感も若干無きにしも非ず……かな。


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いちごの唄

★★★☆
製作:2019年 日本 上映時間:114分 監督:菅原伸太郎

 ちょっぴり知恵遅れだが、心優しい笹沢コウタは、高校時代に唯一の親友である伸二を事故で失っていた。それから10年後に、コウタはなんと高円寺で高校時代に憧れの君だった千日(チカ)と再会する。それも伸二が亡くなった七夕の日に……。それはまるで神のめぐり合わせとしか考えられない偶然であった。
 千日は連絡先を教えてくれないものの、1年後の七夕の日に同じ場所で逢うことを約束してくれる。こうして1年に一度しか会えない遠距離、いや「遠時間デイト」が何回か続くのであった。

 配給元はメジャーな映画会社ではないが、宮本信子、和久井映見、光石研などの一流俳優が脇を固めているので、しっかりした作品に仕上がっている。序盤こそ、コウタ役の古舘佑太郎のわざとらしい演技や短パン姿にやや辟易したが、じつはそれがキーポイントなのだと分かってからは、だんだん共感できるようになった。また単なる恋愛物語ではなく、作品全体を包むような優しさに心が和んでしまった。さらに曖昧なラストもそれなりに味があったね。
 最近はマンガの実写化とアニメに頼りっきりの邦画だが、製作費は少なくともこんな映画なら創れるだろう。といった見本のような映画であった。

 
評:蔵研人
 

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