パーフェクト・ケア
★★★★
製作:2021年 米国 上映時間:118分 監督:J・ブレイクソン
認知症などで判断能力の低下した老人たちに代わり、財産管理や法律行為を行う法定後見人であるマーラ・グレイソン(ロザムンド・パイク)が主役である。こう言えば、なんとなく社会的な貢献に身を挺している立派な女性のお話かと勘違いしてしまうかもしれない。
だが本作の主役マーラは、裁判所の厚い信頼を利用し、合法的に高齢者の資産を奪い取る悪徳後見人なのだ。そして彼女は医者や介護施設長などを抱き込んで、強引に裁判所の認可をとり、無理やり老人たちを施設に閉じ込め、老人不在の間に勝手に資産を処分してしまうのである。その素早い手際は実に見事であり、観ていて恐ろしくなるくらいだ。
こんな調子で老人たちをいたぶっていたのだが、ある日マーラが後見している裕福な老人が急死し、施設で最高級の部屋が空き部屋となってしまう。急遽その代わりを探し出さなければならない。焦った彼女は医者とつるんで、ほぼ健康状態である老女ジェニファーを、裁判所の許可証を提示して、無理やり施設に隔離してしまうのだった。ところがこの老女はただの老女ではなかった。実は恐ろしいマフィアのボスの母親だったのである。
起承転結、逆転また再逆転と、めまぐるしくストーリーが展開してゆく。そして社会派ドラマからホラー、ミステリー、さらにアクションドラマへと、どんどんチェンジしてゆくのでついてゆけなくなるかもしれない。だがマーラを演じたロザムンド・パイクの性悪女っぷりに、どっぷりと嵌められてしまう。さすがゴールデン・グローブ賞女優賞を受賞しただけの価値はあるね。
それにしても、どいつもこいつも悪人ばかりという映画も珍しい。さらに皮肉感が蔓延する脚本も面白い。ただマーラがまるでロボットのように、心身ともに余りにも強過ぎたことが鼻についた。またラストの結末は何となく予想通りだった。ああしないと不公平感だけが残ってしまうからね……。
評:蔵研人
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