ウルフ
★★★☆
製作:1994年 米国 上映時間:125分 監督:マイク・ニコルズ
これまでに狼男を題材にした映画は数えきれないほどある。その原典とも言われる代表作は1941年に製作された『狼男』(原題:The Wolf Man)であるが、その後製作された『ハウリング(1981年)』、『狼男アメリカン(1982年)』、『狼の血族(1984年)』などと並んで本作が製作されている。
本作はジャック・ニコルソンが狼男を演じているが、変身する前から狼男のような顔付をした彼にはぴったりのはまり役かもしれない。ただ本作で彼の演じる狼男は悪人ではなく、凶暴性はあるものの善人そのものであるところが、他の狼男映画とは一線を画するところだろう。
従って結局のところ悪役を演じるのは、ジャック・ニコルソン演じるところの出版局長ウィルの椅子を狙ってオーナーに取り入る、部下のスチュワートと彼と密通していたウィルの妻ということになる。ストーリーは単純で、古臭いB級ドラマといった感があったが、名優ジャック・ニコルソンの絶妙な演技と、ヒロイン・ミシェル・ファイファーの圧倒的な美貌に支えられて、それなりの映画に仕上げられていたと言ってもよいだろう。
評:蔵研人
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コメント
こんにちは、ケントさん。
いつも楽しく貴ブログを拝読しています。
今回紹介されている「ウルフ」について、コメントしたいと思います。
この映画は、巨大な企業が個人を飲み込んでしまうというプロットと、狼へと変身していく自己との葛藤を通して、狼男の神話のファンタジーを描いた作品だと思います。
怪奇映画の三大怪物のヒーローと言えば、"ドラキュラ"、"フランケンシュタイン"、"狼男"ですが、1990年代の前半は、フランシス・フォード・コッポラ監督、ゲイリー・オールドマン主演の「ドラキュラ」、ケネス・ブラナー監督、ロバート・デ・ニーロ主演の「フランケンシュタイン」があらたな着想でリメイクされ、第3の怪物、"狼男"もマイク・ニコルズ監督、ジャック・ニコルソン主演で製作されました。
この映画は、狼男への変身という題材を、ラブストーリーに仕立てた、"ロマンティック・ホラー"とでも言うべき作品で、ニューヨークの大手出版社に勤めるウィル(ジャック・ニコルソン)が、狼に噛まれた事から、会社で部下の野心家のスチュワート(ジェームズ・スペイダー)に足元をすくわれて、左遷人事で飛ばされそうになっていましたが、"野生に目覚め"たウィルは、仕事にも俄然、やる気を取り戻し、社長令嬢のローラ(ミシェル・ファイファー)と激しい恋に落ちたりします。
映画の前半部は、生き馬の目を抜くとも言われる、熾烈で過酷なニューヨークのビシネス社会の中で、冴えない企業戦士が狼に噛まれ、野生の力に戸惑いながらも、スーパービジネスマンへと変貌していく過程は、コメディすれすれの状況で描かれていきますが、さすがにマイク・ニコルズ監督、丁寧な描写を積み重ねていく事で、シリアス・ドラマ風の展開へと持っていきます。
この"ウィルVSライバルとの外的な戦い"と"狼へ変身していく自己との葛藤"というものが、見事に二重構造となっていて、恐らく、マイク・ニコルズ監督もジャック・ニコルソンも、この映画を単なるホラーとしてではなく、その「ふたつの戦い」を描く事が狙いだったのではないかと思います。
ウィルは、月夜の晩になると狼に変身し、セントラルパークを徘徊したりするのですが、朝になると記憶が全くないのです。
そんな折、ウィルの妻が獣のような生き物に惨殺されるという事件が発生します。
自分の仕業かもしれないという疑念にかられたウィルは、"理性と野性の間で苦悩"する事になります。
そして、理性で野性の行動を抑える事が出来なくなったウィルに、警察は嫌疑の目を向けていきます。
そんなウィルの理解者は、恋人のローラだけで、このローラとのロマンスは、まさに"美女と野獣"のようで、狼へ獣化していくウィルは、ローラを愛するがゆえに近付ける事が出来ません。
この映画は全編、ダークな色合いを基調とした映像が、ゴシック風の美しさを漂わせていて、オスカー受賞歴のある名手リック・ベイカーの特殊メイクが我々怪奇映画ファンを楽しませてくれます。
そして、この映画は、名優ジャクニコルソンと、私の大好きな俳優ジェームズ・スペイダーの白熱した演技合戦がさすがに見応えがありましたし、現代の"お伽噺"としても、十分に楽しめる映画になっていたと思います。
投稿: mirage | 2023年10月16日 (月) 11時14分