風が吹けば
著者:加藤実秋
高校生の健太が2009年から1984年にタイムスリップし、バイト先の雇用主である女性カメラマン和希の少女時代に遭遇し恋心を抱くという青春物語である。現代が2009年では既にもう現代自体も、過去の遺物になってしまっているのだが、古本なのでしかたがないのだ。
また過去に跳んだ先で知り合ったのが暴走族たちで、健太も知らず知らずにその仲間になってしまう。そしてその仲間たちの一人が少女時代の和希であり、健太はその和希にほのかな恋心を抱いてしまう。また何人かの気になる友人たちもできるのである。またタイトルの意味は、ある風が吹くと共にタイムスリップするからであろう。
さて本作の大半は、過去で健太が遭遇するベタな経験なのだが、本当の読み処はそれら過去の出来事ではない。終盤になって健太が現代に戻ったとき、過去に知り合った仲間たちがどのように成長しているのかと言うことに興味を惹かれるのだ。とは言っても、まあ大方が想像通りの展開だったのであるが、それがまた一番安心できる展開だったとも言えるだろう。
いずれにせよ余り捻りのない素直なストーリーなので、ある意味『お子様ランチ』かもしれない。ただ実に読み易く、1984年を垣間見ながら一気に読めてしまうところがサッパリしていてベターだったかもしれない。ただなぜ1984年なのだろうか、それは著者が18歳の青春時代だったからであろう。従って1984年に思い入れのない人には、余り郷愁は感じられないかもしれないね……。
評:蔵研人
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