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2023年3月の記事

2023年3月31日 (金)

マーメイド・イン・パリ

★★★
製作:2020年 フランス 上映時間:102分 監督:マチアス・マルジウ
 
 本作はセーヌ川に浮かぶ老舗バー『フラワーバーガー』のオーナーの息子であり、パフォーマーでもあるガスパールと人魚・ルラのラブストーリーである。その二人(一人と一匹?)の関係は、ガスパールが、仕事帰りにセーヌ川の畔で傷ついた人魚を見つけ、治療のために奔走した後に自宅に連れ込むところから始まる。
 
 人魚に出逢った男たちは、その美しい歌声に魅了され、心臓が締め付けられて命を奪われてしまう。ところがなぜかガスパールだけは、その歌声を聞いても何の異常も起こさないのだ。それは彼が恋に破れ続けていて、恋する感情をなくしてしまったからのようであった。そんな二人であったが、いつしか恋に落ちてゆくのだった。果たしてガスパールは無事でいられるのだろうか。
 
 それにしても、半魚人との恋を描き、2017年のアカデミー賞を総なめした『シェイプ・オブ・ウォーター』となんとなく似ているではないか。少なくともポスターは、そっくりそのままパクッた感がある。ただ当然だが、映画の完成度は全く及ばない。
 
 また個人的な趣味の問題かもしれないが、タトゥーだらけで髭面の主人公には誠実さが感じられないし、人魚役の女優にもいまひとつ魅力を見いだせなかった。また終盤になって、主人公たちがいきなり病院に拘束されていたのはなぜだろうか。どうも編集途上でその経緯部分が、カットされてしまったような感がある。従って夫を人魚に殺された女医ミレナの描かれ方も、かなり中途半端になってしまったようだ。
 
 本作を簡単にまとめると、映像や音楽は素晴らしく、パリの夜景が良く似合うお洒落なフランス映画。ただ脚本とキャストにやや難があり、感情移入ができないし、カタルシスも得られない残念な作品とも言えるだろう。
 
評:蔵研人
 

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2023年3月27日 (月)

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル

★★★☆
製作:2018年 米国 上映時間:119分 監督:ジェイク・カスダン
 
 そもそも『ジュマンジ』とは1982年に発売された絵本の題名であり、映画の中ではボードゲームのタイトルでもある。第一作は1995年に製作され、あのロビン・ウィリアムズの当たり作になったのだが、2014年に彼が63歳で亡くなり、本続編ではロック様ことドウェイン・ジョンソンとジャック・ブラックが主演を張っている。
 またドウェイン・ジョンソンといえば、もとプロレスチャンピオンで筋肉もりもりのアクション俳優なのだが、本作では見事にコメディー俳優ぶりを披露し、新境地を開拓したようである。
 
 そして時代の推移とともに、ジュマンジそのものも、ボードゲームからビデオゲームにチェンジしているではないか。さらにビデオゲームに変化したことにより、前作のすごろく的発想から「三回死んだらゲームオーバー」などなど、アドベンチャー&RPGゲーム的な展開になったことも評価したい。笑いあり、アクションあり、青春ありで家族揃って観賞できる楽しい作品に仕上がっている。
 
 
評:蔵研人

 

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2023年3月23日 (木)

古い腕時計 きのう逢えたら…

著者:蘇部健一
 
 不思議な古い腕時計。この時計をある時計屋に持ってゆき修理を依頼すると、なんと昨日をもう一度体験できるのである。そうした小話がアンソロジー形式で8話収録されている。
 
片想いの結末
 片想いしている彼女のハートを射止めるため、トラックに撥ねられた彼女を助けるために昨日に戻るのだが……
 
四番打者は逆転ホームランを打ったか?
 少年の命を救うため、前日の失敗を繰り返さないように、もう一度バッターボックスに立つ病身の四番打者
 
最後の舞台
 漫才グランプリに優勝するため、昨日に戻ってもう一度瀕死の相方と舞台に立つ漫才師
 
起死回生の大穴
 借金返済のため、結果の分かっている昨日の競馬レースに有り金をはたき、人生の全てを賭けて挑む男
 
おばあちゃんとの約束
 入院しているおばあちゃんと約束した「SF小説大賞」の結果を待つ男のこころ
 
明日に架ける橋
 ひき逃げ事件の犯人が、時効前日に銀行強盗に遭遇してしまう話
 
運命の予感
 最後のプロ棋士試験のプレーオフの日。対戦相手がやってこなかったため不戦勝となるのだが、なにかすっきりしない囲碁棋士が、もう一度昨日を繰り返す話
 
エビローグ
 これは前述した『四番打者は逆転ホームランを打ったか?』の顛末である
 
 以上、昨日をやり直すことによって、人生が大きく変わってしまういろいろな男たちの話である。全話に不思議な時計屋さんが関わってくるところが、なんとなく『笑ゥせぇるすまん』のようで笑ってしまった。
 また平易な文体で読み易く、心が打たれて涙がこぼれる話もあり、そこそこ楽しめるはずである。ただ本書は連載物ではなく書下ろしだということで、短編集にするよりも、「群像劇風の長編」としてまとめたほうがもっと感動できる小説に仕上がったのでは、と思うのだがいかがであろうか。
 
評:蔵研人

 

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2023年3月18日 (土)

ペット・セメタリー

★★★
製作:2019年 米国 上映時間:101分 監督:ケヴィン・コルシュ
 
 スティーブン・キング原作の「ペット・セマタリー」が1989年に映画化されたが、本作はそのリメイク版である。
 医師のルイス・クリード、妻のレイチェル、娘のエリーと息子のゲイジ、猫のチャーチが美しい森の中にある新居に引っ越してくるところから始まる。静かで広くて素晴らしい家なのだが、すぐ目の前に国道があり、ときどき猛スピードで走ってくるトラックだけが気になる環境なのだった。
 
 そんなある日、その気になるトラックに猫のチャーチがひき殺されてしまうのである。そして物語はここから急展開となる。隣家に住むジャドが、チャーチの死体をペットセメタリーの森深くに埋めてしまうのだ。ここに死体を埋めると、生き返るという伝説があったからである。そして伝説通りチャーチは生き返るのだが、もはや以前のチャーチとは異なり凶暴性の塊のような猫に変貌していたのだった。
 それに気付いたルイスは、ジャドと相談したうえで危険なチャーチを殺害することを決心するのだが、どうしても殺害することが出来ず、遠い場所に捨てに行く。結局このためらいが仇となり、その後一家全員に不幸が襲い掛かってくることになるのであった。
 
 オリジナルを観たのは30年以上前なので、細かいことはほとんど覚えていない。ただかなり怖かったし、後に名作と言われるほど心理描写などが巧みだったような気がする。それに比べ本作は、映像がパワーアップしたものの、それほど怖く感じないし物悲しさや不気味さも薄れているようだ。
 まあ目新しさに欠けるためオリジナルを超えられないのは、続編の宿命なので仕方ないだろう。ただラストの展開はホラーからいきなり、コメディーにチェンジしてしまったようでいただけないよね。
 
 
評:蔵研人

 

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2023年3月13日 (月)

バンブルビー

★★★★
製作:2018年 米国 上映時間:114分 監督:トラヴィス・ナイト
 
 『トランスフォーマー』シリーズに登場するキャラクターのバンブルビーにスポットを当てたスピンオフ作品である。トランスフォーマーのようなスケール感はないのだが、バンブルビーと傷心の少女の友情がなかなか感動的であった。だからアクションだけが目当ての人にはやや物足りないかもしれないが、ストーリーがしっかりしているし、少女・チャーリー役のヘイリー・スタインフェルドの好感度も良かったので、逆に『トランスフォーマー』シリーズより面白かったと言ってもよいかもしれない。
 
 遥かかなたのサイバトロン星では、反乱軍ディセプコンの仕掛けた戦争で大混乱中だった。そこを命からがら脱出し、新天地を求めて地球にやってきた『B-127』だが、追ってきたブリッツウイングとの戦いで声と記憶を失ってしまう。そして瀕死の中で黄色いフォルクスワーゲン・ビートルをスキャンし姿を隠していた。
 一方最愛の父を亡くし、家庭の中でも居場所がなく、孤独な毎日を過ごしていたチャーリーは、海沿いにある小さな廃品置き場で黄色いボロボロの車を見つけるのだった。
 これがバンブルビーとチャーリーの出会いとなる。そしてチャーリーがそのボロ車を修理すると、眠っていたバンブルビーが目を覚まし、お互いに孤独な二人は次第に友情を育むようになる。やっとチャーリーに訪れた至福の毎日。……だがそんな幸せは長く続かなかった。なんとサイバトロン星から、追手のロボット2台が地球に到着したのである。
 
 かなり無理やりで、突っ込見所の多い展開が続くのだが、そもそもロボット星という構成そのものが荒唐無稽なSFなので、細かいことをごちゃごちゃ言っても意味がないだろう。それよりも違和感のない映像や、ロボットと少女の胸が熱くなる友情に素直に感動しようではないか。
 もともとトランスフォーマーのテーマは、人間(サム)とトランスフォーマー(バンブルビー)との友情だったはずである。それがシリーズ化されてアクション中心になってしまった。従って友情をテーマとした本作は、『トランスフォーマー』シリーズの原点に回帰した傑作と言ってもよいだろう。
 
 
評:蔵研人

 

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2023年3月10日 (金)

神狩り

★★★
著者:山田正紀
 
 タイトルを見て、半村良の『獣人伝説』を彷彿させられたのだが、かなり期待外れであった。神に始まって、宇宙論にまで発展してゆくのだが、その壮大なテーマの割にストーリー展開がこじんまりとし過ぎている。また最後に申し訳程度にNASAの一員が登場するのだが、全体的に登場人物が少なく小粒揃いで本作のテーマにそぐわない感がある。
 それに加えて、ストーリーそのものが単調で退屈感を拭えなかった。先日読了した『チョウたちの時間』もそうだが、残念ながらこの作家の小説は、ぼくの感性とは波長が合わないようである。
 
評:蔵研人

 

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2023年3月 6日 (月)

ジュラシック・ワールド 炎の王国

★★★☆
製作:2018年 米国 上映時間:128分 監督:J・A・バヨナ
 
 本作は『ジュラシック・ワールド』の続編で、映画「ジュラシック・パーク」シリーズの第5作目である。
 ジュラシック・パーク崩壊後も、イスラ・ヌブラル島では恐竜達が自由に島中を徘徊して生きていたが、島北部のシボ山で火山噴火が起き、島の恐竜達は絶滅の危機にさらされていた。だが米国議会は恐竜たちを救出せず、自然の成り行きに任せると決議を下したのである。
 そんな折、恐竜保護を目的とした団体DPGを設立した「ジュラシック・ワールド」の元運用管理者クレア・ディアリングは、恐竜たちを救出するため、大富豪のベンジャミン・ロックウッドを訪ね、彼の支援・サポートを取り付けるのだが……。
 
 とにかく回を重ねるごとに、恐竜たちのド迫力映像がパワーアップしている。そしてハラハラドキドキはマンネリ化しているにも拘らず、それでも思わず身を引いてしまうほどである。もちろんCGを駆使しているとしても、一体どのようにしてこのような迫力のある映像を創り出すのか不思議でたまらない。
 ただ島から本土に恐竜たちを運び込んだり、遺伝子操作で新種の凶暴な恐竜を生み出したりと、なんだか恐竜映画というより「怪獣映画」になってしまった感がある。それにしても野に放たれた恐竜たちの行く末は……。次回作が楽しみにならざるを得ない。いずれにせよ、少なくとも興行的には大成功間違いなしの映画だね。
 
評:蔵研人

 

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2023年3月 1日 (水)

男と女の観覧車

★★★☆
製作:2017年 米国 上映時間:101分 監督:ウッディ・アレン
 
 主役は元女優だが、今は落ちぶれてコニーアイランドの遊園地内にあるレストランで、嫌々ウエイトレスをしている中年女ジニーである。彼女は年配男のハンプティと再婚し、連れ子のリッチーと三人で観覧車の見える安い部屋で暮らしていた。
 しかしもともとが派手好きな彼女は、ハンプティとの平凡で地味な毎日に失望し、海岸で監視員のアルバイトをしながら劇作家を目指している若い男ミッキーと不倫してしまうのである。そしてミッキーとの甘い未来を夢見ていた。ところがそこに突然、ギャングと駆け落ちし音信不通になっていたハンプティの娘キャロライナが出現し、全てが大きく狂い出してゆくのだった。
 
 ほとんど全編が、主人公ジニーのイライラと怒りと葛藤の連続なので、観ているほうもだんだん憂鬱になってくる。ということは逆に言えば、それほどジニーを演じているケイト・ウィンスレットの演技力が卓越しているということの証なのであろう。
 本作には会話劇的なシーンが多く、ジニーが濃いメイクの鋭い眼差しで、振られた彼氏に大見えを切る痛々しいシーン等は、まるで舞台劇を観ているかのようである。また息子は放火癖があり言うことを聞かない、旦那は年配でさえない、仕事は面白くない、不倫相手とは上手くいかない、これではまるでないない尽くしの暗くて悲しくて救いようのない映画ではないかと、誰もが錯覚してしまうはずだ。ただもう少し深読みすれば、実はウッディ・アレン監督が仕掛けた「自己中人間たちへの皮肉で塗りつぶされた映画」なのだと気づくことだろう。
「結局人生なんて、どうあがいても思うようにはならず、夢は大きく膨らんでも、まるで観覧車のようにいつの間にか元に戻ってしまうのさ……」
 
 
評:蔵研人

 

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