愛しのアイリーン
★★★☆
製作:2018年 日本 上映時間:137分 監督:吉田恵輔
原作はあの社会不条理をえぐる『宮本から君へ』の作者・新井英樹の描いた同名漫画だという。道理で過激な描写が多いはずだ、と変に納得してしまうのだが、余りにもやりたい放題で放送禁止用語のオ××コを絶叫し過ぎるよね。漫画ならともかく実写映画では生々しくて下品極まりない。当然観る人を選んでしまうから、興行的にも余り得策ではないと思うのだが……。
パチンコ屋勤務で42歳まで恋愛の経験もなく生真面目だった岩男(安田顕)だったが、失恋の痛手から立ち直れずフィリピン嫁探しツアーに参加する。そしてフィリピン人の嫁アイリーン(ナッツ・シトイ)を連れて実家に帰省するのだが……。なんと実家では父親の葬式の真っ最中だった。驚いた参列者がざわつく中、ライフルを構えた喪服姿の母親ツル(木野花)が怖い形相で現れる。
序盤はややコミカルな展開なのだが、次第にセックス・人身売買・人種差別色が臭ってくる。さらに人種を超えた愛や、母親の狂気の愛などが練り込まれて、ストーリーは混沌とした怪しい流れに染まってゆくのだ。それにしても俳優たちの熱演は想像以上に凄まじかった。ことにさえない中年から眼光鋭い無謀な男へ変身する安田顕の芸達者ぶりと、たとたどしい日本語を操りながらも愛らしいナッツ・シトイの好演には絶大なる拍手を送りたい。
さらに何と言っても、いつも上品な役柄の多かった木野花の狂気じみた怪演には度肝を抜かれてしまった。僕的な感覚では、彼女の演技力はダントツで、彼女抜きでは本作は成立しなかったのではないか、と勝手に決めつけている。
それにしても凄まじい映画だ、製作費の少ない邦画が踏ん張れるのは、こうした作品だけなのだろうか。おもわず園子温監督の『冷たい熱帯魚』を思い出してしまった……。本来ならもっと高評価点をつけたかったのだが、余りにも下品な描写が多かったのでかなり減点してしまったかもしれない。
評:蔵研人
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